How to control the blood vessel formation using the promoter and the promoter shows the endothelial cell specificity专利检索- .....血管内皮生长因子专利检索查询-专利查询网 (2024)

本発明は、被験者の特定の細胞領域の血管形成を制御するために使用できる核酸構築物、医薬組成物及び方法に関する。 より詳しく述べると、本発明は、内皮細胞特異的プロモーターの活性を示す、単離されたポリヌクレオチド配列及びその使用方法に関し、並びにさらによりくわしく述べると、内皮細胞にて増大した活性及び特異性を示す修正プレプロエンドセリン−1(PPE−1)プロモーター及び特定の細胞サブセットの細胞傷害性を活性化するのに使用して迷入血管の新生もしくは細胞の増殖が特徴である疾患を治療することができるか又は新生血管の増殖を誘発するのに使用して虚血性疾患を治療できる核酸構築物に関する。 本発明はさらに、低酸素症及び血管形成などの生理的症状に応答してPPEプロモーターの発現を高めるPPEプロモーターの修正並びに新規な血管形成内皮特異的併用療法に関する。

血管形成
血管形成は、新しい血管の成長、すなわち、毛細管内皮細胞による移動、増殖及び管形成に主に依存するプロセスである。 血管形成のとき、内皮細胞はその静止期から抜け出し、迅速に増殖する。 血管形成性表現型への細胞の移行に関わる分子機構は明らかにされていないが、新しい血管の形成をもたらす一連の事象が詳しく報告されている[Hanahan,D. 、Science、277、48〜50(1997)]。 血管の成長には、内皮の出芽[Risau,W. 、Nature、386、671〜674(1997)]又は挿入成長[Patan,S. et al. 、Microvasc. Res. 、51、260〜272(1996)]のいずれかが伴う。 最初の経路では、下記の事象列が生じ得る:(a)血管の基底部(通常は後毛細管小静脈)及び間質基質の溶解;(b)刺激に向かう内皮細胞の遊走;(c)先導する内皮細胞の後について行く内皮細胞の増殖;(d)内皮の列/芽における内腔の形成(管形成);(e)血液の流れを可能にするための芽の交会吻合による枝分れ及びループの形成;(f)周皮細胞(すなわち、内皮周囲細胞及び平滑筋細胞)による血管の外皮化;及び(g)未成熟な血管の周りでの基底膜の形成。 新しい血管はまた、二次的な経路によっても、すなわち、既に存在する血管の内腔への間質組織柱の挿入によっても形成され得る。 これらの柱のその後の成長及びそれらの安定化は、血管内腔の区画化及び局所的な血管網の再構成をもたらす。

血管形成は低酸素濃度の条件下(虚血及び腫瘍の転移等)で起こり、従って新生血管形成における重要な環境要因であることができる。 エリスロポイエチン、トランスフェリン及びその受容体、グルコース移送及び解糖経路の大部分の遺伝子、LDH、PDGF−BB、エンドセリン−1(ET−1)、VEGF及びVEGF受容体を含むいくつかの遺伝子の発現は、これらの遺伝子の転写を制御する低酸素状態応答因子(Hypoxic Response Element (HRE))に対する低酸素症誘導性因子(Hypoxia Inducible Factor(HIF−1))の特異的結合によって低酸素条件下で誘導される。 低酸素条件に対する応答におけるこれらの遺伝子の発現は細胞が低酸素条件下で機能することを可能にする。

血管形成プロセスは、腫瘍又は正常細胞並びに細胞外マトリックスの組成物によって分泌される血管形成増殖因子によって、及び内皮酵素の活性によって制御される(Nicosia and Ottinetti,1990,Lab.Invest.,63,115)。 血管形成の初期段階の間、内皮細胞芽は、既に存在する血管の基底膜の間隙を通って出現する(Nicosia and Ottinetti,1990,supra;Schoefl,1963,Virehous Arch,Pathol.Anat.337,97−141;Ausprunk and Folkman,1977,Microvasc.Res.14,53−65;Paku and Paweletz,1991,Lab.Invest.63,334−346)。 新しい血管が形成されるにつれ、それらの基底膜は、血管形成応答に影響を与えると考えられている複雑な構造上及び組成上の変化を受ける(Nicosia,et.al.,1994,Exp Biology.164,197−206)。

血管形成と病理
各種の血管形成の因子が血管形成の過程を支配している。 異常状態の間、プロ血管形成因子と抗血管形成因子の間の微妙なバランスが破壊されて、非自己制限性の内皮細胞及び内皮周囲細胞の増殖が誘発されると解される。 血管形成は、正常状態の下では高度に制御されたプロセスであるが、血管形成の制御されていない状態が続くことによって多くの疾患(「血管形成病」として特徴付けられている)が起こる。 このような病状では、制御されていない血管形成によって、特定の疾患が直接起こるか又は既存の病状を悪化させることがある。 例えば、眼の血管新生は、失明の最も一般的な原因として関与し、眼のほぼ20種の疾患の病状の原因になっている。 関節炎などのいくつかの既存の症状の場合、新しく生成した毛細血管は関節に侵入して軟骨を破壊する。 糖尿病の場合、網膜に新たに生成した毛細血管は、硝子体液に侵入して出血と失明を起こす。 最近まで、眼の血管新生による諸疾患、関節炎、皮膚病及び腫瘍に起こる血管形成は治療によって阻止することが困難であった。

不均衡な血管形成は様々な病気の状態の象徴であり、しばしば病気の状態の進行を支援する。 例えば、固形腫瘍においては、血管内皮細胞は正常な組織より約35倍も迅速に分裂する(Denekamp and Hobson,1982 Br.J.Cancer 46:711−20)。 かかる異常な増殖は腫瘍の増殖及び転移のために必要である(Folkman,1986 Cancer Res.46:467−73)。

血管内皮細胞増殖はリューマチ性関節炎、乾癬及び滑膜炎の如き慢性炎症疾患においても重要であり、そこではこれらの細胞は炎症部位内に放出された増殖因子に応答して増殖する(Brown & Weiss,1988,Ann.Rheum.Dis.47:881−5)。

アテローム症においては、アテローム性斑の形成は血管中の内皮細胞のモノクローナル拡大によって引き起こされる(Alpern−Elran 1989,J.Neurosurg.70:942−5)。 さらに、糖尿病性網膜症においては、失明は、非制御の血管形成及び網膜の消耗を刺激する眼の基底膜の変化によって生ずると考えられている(West and Kumar,1988,Lancet 1:715−6)。

内皮細胞は移植片拒絶にも関与している。 同種移植片拒絶の過程においては、内皮細胞は接着性決定基を発現し、これが白血球を移植片の部位に指向させる。 移植片の内皮細胞上への白血球接着分子の誘導は、炎症性損傷で生ずることが知られているような局所的に放出されたサイトカインによって誘導されることがあり得る。

他方、停止された血管形成は、アテローム症が誘導する冠状動脈閉塞(例えば、狭心症)におけるような、不慮の損傷又は手術による壊死傷害におけるような、又は潰瘍の如き胃腸の損傷におけるような疾患の発展における主要な因子でもある。

従って、血管形成プロセスを制御又は修飾することは、根底にある病気の状態の進行に対するこのプロセスの寄与を制限することにおいて、並びにそれらの病因論を研究するための価値ある手段を提供することにおいて重要な治療的役割を有しうる。

最近、阻害的なものであれ刺激的なものであれ内皮制御剤の開発における有意義な進展があった。 例えば、βFGFタンパク質を成体ラットの腹膜腔に位置するコラーゲンで被覆されたマトリックス内に投与すると、良く血管形成された正常に灌流された構造が生じた(Thompson,et al.,PNAS 86:7928−7932,1989)。 成体イヌの冠状閉塞を起こしている冠状動脈中にβFGFタンパク質を注入すると、減少した心筋不完、小さい心筋梗塞及び増大した血気がもたらされたことが報告されている(Yanagisawa−Miwa,et al.,Science 257:1401−1403,1992)。 同様の結果はβFGFタンパク質を用いた心筋虚血の動物モデルにおいても報告されている(Harada,et al.,J Clin Invest 94:623−630,1994,Unger,et al.,Am J Physiol 266:H1588−H1595,1994)。

しかしながら、長く持続する機能的な血管の多量形成のためには、上述のタンパク質因子の繰返しの又は長期間の送達が必要であり、従って臨床設定におけるそれらの使用を制限する。 さらに、血管形成を制御する因子の生産に関連する高い費用に加えて、これらの因子の効果的な送達は冠状動脈中に配置されるカテーテルの使用を必要とし、これは治療の費用及び困難性をさらに増大させる。

従って、すべての抗血管形成治療の基本的な目標は、増殖中の微小血管の病巣をその正常な休止期に戻すこと、及びその再成長を防止することである[Cancer:Principles&Practice of Oncology(第5版、編者:Vincent T.DeVita,Jr.、Samuel Hellman、Steven A.Rosenberg)、Lippincott−Raven Publishers、Philadelphia(1997年)]。 同様に、プロ血管形成治療は、必要とされる血管形成因子を回復することのみならず、それらの適当な均衡を再建することに向けられている(Dor,et al.Ann NY Acad Sci 2003;995;208−16)(プロ血管形成治療及び抗血管形成治療の広範な総説については、Zhang et al Acta Bioch and Biophys Cinica,2003:35:873−880、及びMariani et al.MedGenMed 2003,5:22;及びFolkman,Semin.Onc 2002,29:15−18を参照のこと)。

抗血管形成治療
抗血管形成治療は、腫瘍成長(例えば、網膜症、良性及び悪性の血管形成腫瘍)の進行を遅らせることができるので、確固たる臨床的方法である。

一般に、毛細血管の制御されない成長によって引き起こされる疾患(糖尿病網膜症、乾癬、関節炎、血管腫、腫瘍の成長及び転移など)はどれも、抗血管形成治療の標的である。

例えば、臨床的に確認できないサイズ(例えば、数mm )を越えての固形腫瘍の進行性成長には、新しい血管が継続して形成されること(腫瘍血管形成として知られているプロセス)が要求される。 腫瘍の成長及び転移は血管形成依存的である。 腫瘍は、腫瘍自身が成長するために栄養分及び酸素を送達するための新しい毛細血管の成長を継続して刺激しなければならない。 従って、腫瘍血管形成の防止又は腫瘍の存在する血管の選択的な破壊(血管標的化治療)のいずれかが抗血管形成腫瘍治療の基礎である。

近年、多数の抗血管形成作用剤が、悪性疾患を処置するために開発されており、そのうちのいくつかが既に臨床試験中である(総説については、Herbst et al.(2002)、Semin.Oncol.、29:66〜77、及びMariani et al,MedGenMed 2003;5:22を参照のこと)。

腫瘍抗血管形成処置のための最も研究されている標的は、ヒトにおける血管形成を調節する支配的なプロセス、すなわち、血管内皮増殖因子(VEGF)のその受容体(VEGFR)との相互作用である。 VEGFRの血管形成作用を調節する作用剤には、(i)VEGFタンパク質自体又は受容体に向けられた抗体(例えば、rhuMAb VEGF,Avastin);(ii)VEGFRチロシンキナーゼに対する小分子化合物(例えば、ZD6474及びSU5416);(iii)VEGFRにより標的化されるリボザイムが含まれる。

他の新規な血管形成阻害剤には、2−メトキシエストラジオール(2−ME2)(他にない特徴的な抗腫瘍性及び抗血管形成性を有する、エストラジオールの天然の代謝産物)、ならびにアンギオスタチン及びエンドスタチン(それぞれプラスミノーゲン及びコラーゲンXVIIIのタンパク質分解切断フラグメント)が含まれる。

前臨床モデルでは有望であるが、今日まで、臨床試験で試験されたすべての抗血管形成作用剤の全身投与では、成功率が限られていること、そして、血小板減少症、白血球減少症及び喀血を含む相当の毒性が明らかにされている。 これらの結果は、進行した悪性腫瘍に対する治療として現在の腫瘍血管形成作用剤を使用することには限界があり得ることを示唆している。 O'Reilly et al. は、抗血管形成治療の開始と抗腫瘍効果との間での時間のずれにより、治療に対する応答の前に初期の腫瘍成長が生じ得ることを示している[O'Reilly S et al. (1998)、Proc Am Soc Clin Oncol、17:217a]。 さらに、最近の研究では、血管形成の調節が毛細血管床の間で異なり得ることが示唆され、このことは、抗血管形成治療は器官/組織特異的に最適化する必要があり得ることを示唆している[Arap et al. (1998)、Science、279:377〜380]。

興味深いことに、良好でない結果もまた、平滑筋細胞増殖に向けられた抗血管形成治療(例えば、ヘパリン、ヘパリンペプチドによる処置)が冠状動脈疾患患者における心筋虚血に対して行われたときに得られている[Liu et al. 、Circulation、79:1374〜1387(1989);Goldman et al. 、Atherosclerosis、65:215〜225(1987);Wolinsky et al. 、JACC、15(2):475〜481(1990)]。 心臓血管疾患を処置するためのそのような作用剤の使用に関連する様々な制限には、(i)心臓血管疾患患者に対して許容できないレベルの危険性をもたらす全身毒性;(ii)手術後の血管創傷治癒の妨害;(iii)周囲の内皮及び/又は他の内側平滑筋細胞に対して生じ得る損傷が含まれた。

したがって、抗血管形成因子の全身投与に伴うこれら及びその他の障害(すなわち生体外で不安定であることによる製造上の制限及び高い投与量が必要であること並びにボーラス投与の最高動態(peak kinetics)の効果が最適でないこと)によって、血管形成に関連する疾患を治療する際の血管形成因子の有効利用が制限されている。

癌に対する抗血管形成遺伝子治療
原発腫瘍及び転移腫瘍における腫瘍細胞の増殖は、栄養素の供給が制限されると、アポトーシスの速度が増大することによって相殺される。 休眠中の原発性又は転移性の腫瘍は、「血管形成のスイッチ」が生じて栄養素の供給がその腫瘍の大きさに対して十分であればいつでも転移を起こし始める。

血管形成のスイッチは下記のいくつかの機構によって起こる。
1. VEGFとbFGFなどのプロ血管形成遺伝子の、癌遺伝子によるアップレギュレーション又はトロンボスポンジンなどの血管サプレッサーのダウンレギュレーション 2. 低酸素誘発因子−1(HIF−1)の、腫瘍関連低酸素状態による活性化 3. 腫瘍細胞が誘発する腫瘍床繊維芽細胞によるプロ血管形成タンパク質の分泌 4. 骨髄内皮前駆細胞の腫瘍への移行

血管形成の活性化因子と抑制因子の間の相対的バランス(上記表1参照)は、腫瘍を静止状態に維持するのに重要である。 抑制因子のレベルが減少するか又は活性化因子のレベルが増大すると上記バランスが変化して腫瘍の血管形成が起こり腫瘍が増殖する。

腫瘍組織の、直近の血管に対する厚さが150−200μmを超えると、腫瘍組織に対する酸素の拡散が不十分である。 その結果、当然のことながら、このような寸法を超える細胞はすべて、すでに血管形成のスイッチがオンになっている。 その腫瘍組織の増殖速度は、その血管による供給に依存している。 しかし、血管形成のスイッチが生じるとすぐに、アポトーシスの速度は1/3−1/4まで低下する(24)。 さらに、栄養素の供給と異化代謝産物の放出は、腫瘍のアポトーシスを低下させる新生血管の唯一の作用ではない。 微小血管系の内皮細胞は、抗アポトーシス因子類、マイトジェン類並びに腫瘍細胞のアポトーシスをさらに抑制するb−FGF、HB−EGF、IL−6、G−CSF、IGF−1及びPDGFなどの生存因子も分泌する。

腫瘍細胞は、突然変異速度が高いため遺伝子が不安定であるから天然細胞より有利である。 例えば、p53遺伝子が突然変異するとアポトーシス速度は抑制される。 さらに、腫瘍遺伝子の、プロ血管形成又は血管形成のサプレッサー制御の癌遺伝子が変化すると(ras癌遺伝子など)、血管形成のスイッチを誘発する。 しかし、高い突然変異速度は、癌遺伝子の不安定さの唯一の機構ではない。 腫瘍細胞が「アポトーシス体(apoptotic body)」を取り込み、その結果非正倍数性になりさらに遺伝子の不安定性が増大する証拠がある。 一般に、癌は血管形成に依存している。 癌は、遺伝子が不安定であるので、そのアポトーシス速度を抑制して転移腫瘍の播種を可能にするプロ血管形成サイトカインのバランスをとることができる。

ヒトの血管系は10兆個以上の内皮細胞を含んでいる。 正常な静止内皮細胞の寿命は1000日を超えている。 腫瘍の進行に関与している血管形成内皮細胞は、迅速に増殖するが、そのゲノム安定性が腫瘍細胞と異なるので、薬物耐性が小さく突然変異のクローン発生の可能性が少ない。 さらに、腫瘍進行の律速因子は血管形成であるから、血管形成内皮細胞に対する治療によって、非常に効率の高い治療法が得られる。 実際、いくつかの抗血管形成物質が全身治療の可能性のある候補として役立つであろう。 しかし、これらの薬剤は、タンパク質なので静脈投与する場合が多いから、製造が難しくなりかつ維持が困難になる。 抗血管形成遺伝子を送達することは、タンパク質を連続的に分泌する可能性がある一解決策である。

血管形成プロセスを調節する新しい遺伝子の同定とともに、体細胞遺伝子治療が、これらの制限を克服するために試みられている。 多大の努が、癌、心臓血管疾患及び末梢血管疾患の遺伝子治療法を開発することに向けられているが、効果的かつ特異的な遺伝子送達に対する大きな障害が依然として存在する[総説については、Feldman AL(2000)、Cancer、89(6):1181〜94を参照のこと]。 一般に、組換えウイルスベクターを運搬体として使用する、目的とする遺伝子による遺伝子治療の主要な制限因子は、目的とする遺伝子を標的組織に特異的に指向させる能力である。

これらの制限を克服するための試みには、細胞傷害性遺伝子にコンジュゲート化された組織特異的なプロモーターの使用が含まれていた。 例えば、内皮特異的なプロモーターの制御下で発現する細胞傷害性遺伝子の内皮細胞標的化が、TNFαを内皮細胞において特異的に発現させるためにKDRプロモーター又はE−セレクチンプロモーターを使用したJagger et al. により記載されている[Jaggar RT et al. 、Hum Gene Ther(1997)、8(18):2239〜47]。 Ozaki et al. は、ヘルペス単純ウイルスのチミジンキナーゼ(HSV−tk)をHUVECに送達するためにフォンヴィレブランド因子(vWF)プロモーターを使用した[Hum Gene Ther(1996)、7(13):1483〜90]。 しかしながら、これらのプロモーターは、弱い活性を示しただけであり、高レベルの発現をもたらさなかった。

いくつかの内皮細胞特異的なプロモーターが先行技術に記載されている。 例えば、Aird et al. ,[Proc. Natl. Acad. Sci. (1995)92:7567−571]は、in vivoでの組織特異的発現をもたらしうるヒトのフォンヴィレブランド因子遺伝子の5′及び3′制御配列を単離している。 しかし、これらの配列は不均一なパターンのレポータートランスジーン発現のみを媒介することができる。 トランスジェニックマウス中でフォンヴィレブランド制御因子の制御下に配置された細菌のLacZレポーター遺伝子は、卵黄嚢及び成体の脳における内皮細胞の部分集団でのトランスジーンの発現を示した。 しかし、脾臓、、肝臓、腎臓、心臓、精巣及び大動脈の血管床並びにトロンボモジュリン部位では発現は検出されなかった。

Korhonen J. et al[Blood(1995)96:1828−35]は、マウス胚の血管系全体でのトランスジーンの均一な発現に寄与するヒト及びマウスのTIE遺伝子プロモーターを単離した。 しかし、成体での発現は肺及び腎臓の血管に限定されており、心臓、脳及び肝臓では発現は検出されなかった。 同様の結果がSchlaeger M. et al. によって得られている。 彼らはTIE−2プロモーターの1.2kbの5′フランキング領域を単離し、胚性マウスの内皮細胞に制限されたトランスジーンの発現を示した[Schlaeger TM et al. (1995)Development 121:1089−1098]。

従って、これらの配列のいずれも成体動物において又はすべての発達段階のすべての内皮細胞において均一に作用するものではない。 さらに、これらの配列のいくつかは内皮に制限されていなかった。

Kong及びCrystalにより提示された代わりの方法では、抗血管形成因子の腫瘍特異的な発現が含まれた。 しかしながら、今日まで、内因性抗血管形成作用剤の組換え形態の毒性は明らかにされていない。 だが、いくつかの合成された抗血管形成作用剤は前臨床モデルにおいて毒性を伴っている[Kong及びCrystal(1998)、J. Natl. Cancer Inst. 、90:273〜76]。

アンギオスタチンもまた可能な抗血管形成作用として使用されている[Falkman et al. 、Cell、1997(1月24日)、88(2):277〜85]。 しかしながら、腫瘍における血管形成の調節に関与する因子の重複性のために、アンギオスタチン治療は単独では効果的であるとはほとんど考えられていない。

今日まで、有望な臨床試験が、Avastin(登録商標)又はBay−43906(登録商標)のような抗血管形成治療法は、腫瘍を囲む血管の新たな発生を制限することによって腫瘍転移の進行を遅らせることができることを示している。 しかし、新しい血管の生成を阻害し及び/又は新生血管を部分的に破壊することは、既存の新生血管の大部分又はすべてを破壊する劇的な抗血管形成作用が必要な癌症状にとっては不十分である。

プレプロエンドセリン−1(PPE−1)プロモーター
エンドセリン類(ET)は、1988年にMasakiらによって発見されたが、3種の遺伝子:ET−1、ET−2及びET−3からなっている。 エンドセリン−1(ET−1)すなわち21アミノ酸のペプチドは、最初、内皮細胞が合成する強力な血管収縮薬かつ平滑筋マイトジェンとして記述された。 ET−1は血管上皮細胞で発現されるが、平滑筋細胞、気道や胃腸の上皮細胞、ニューロン及び糸球体血管間膜細胞などの他の細胞でもいくらか発現される。 その発現は、低酸素症、心臓血管疾患、炎症、喘息、糖尿病及び癌などの各種の病態生理学的症状の下で誘発される。 エンドセリン−1は産生をトリガーし、VEGFやPDGFなどの血管形成因子と相互に作用して血管形成の過程で役割を演じる。

Huらは、エンドセリン−1のプロモーターのアンチセンスストランドに位置する低酸素応答因子(HRE)を同定した。 この配列は、エンドセリン−1プロモーター(ヒト、ラット及びマウスの遺伝子)を低酸素症によって正の調節を行なうために必要な低酸素症誘発因子−1の結合部位である。 低酸素症は強力な生体信号であり、エリスロポエチン(Epo)、VEGF及び各種解糖酵素などのいくつかの遺伝子の発現を誘発する。 コア配列(8塩基対)が低酸素状態に応答するすべての遺伝子に保持され、そして隣接する領域は他の遺伝子と異なる。 ET−1低酸素応答因子は、GATA−2結合部位とAP−1結合部位の間に位置している。

Buらは、内皮細胞特異的転写活性を与えて、制限されているタンパク質又はタンパク質複合体を内皮細胞に結合するように見えるマウスPPE−1プロモーター(mET−1)中に、複合調節領域を同定した。 この領域は、内皮特異的陽性転写配列と呼称されるが、少なくとも三つの機能配列で構成され、マウスPPE−1プロモーターの−364bpと−320bpの間に位置している。 この三つの配列すべてが完全な活動のために必要である。 一つ又は三つのコピーが、最小mET−1プロモーター中に構築されると、生体外での内皮細胞のレポーター遺伝子の発現は、配列無しの最小プロモーターと比べて2−10倍に増大する。

米国特許第5747340号は、マウスPPE−1プロモーター及びその一部の使用を教示している。 しかしながら、この特許は、内皮特異性を保存しつつ、PPEプロモーターにより達成される発現レベルを増加させるために、内皮特異的エンハンサーが利用されうることを暗示も示唆もしていない。 さらに、この特許は、PPE−1プロモーターが、低酸素条件下で、より高い転写レベルへと誘導されることを教示していない。

遺伝子によって指向された酵素プロドラッグ治療(GDEAP)
この戦略は「自殺遺伝子治療」とも呼称される。 この戦略では、癌細胞内の活性細胞傷害作用因中に不活性のプロドラッグが保持される。 GDEPTで最も広く使用される2種の遺伝子は、ガンシクロビル(GCV)の投与と併用した単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−TK/GCV)及び5−フルオロシトシン(5FC)の投与と併用したイー・コリ(E.Coli)シトシンデアミナーゼ(CD)の遺伝子である。 このHSV−TK/GCV系は、詳細な前臨床医学的評価及び臨床試験を受けている。 今日まで、HSV−TK/GCV系は、発熱、GCVの全身毒性、骨髄抑制及び軽度−中度の肝毒性などの有意でない作用を示している。

このHSV−TK/GCV系は、Kraiselburdらが1976年に初めて報告した。 HSV−TK/GCV含有プラスミドをトランスフェクトされた細胞又はHSV−TK/GCV含有ベクターを形質導入された細胞は、アクシロビル、ガンシクロビル(GCV)、バルシクロビル及びファムシクロビルなどの薬剤のスーパーファミリーに対して敏感になっている。 グアノシン類似体のGCVは遺伝子治療の成分の中で最も活性の高い薬剤である。 HSV−TK陽性細胞は、ウイルスTKを産生し、このウイルスTKはGCVをリン酸化して一リン酸GCV(GCV−MP)にする際、ヒトTKより1000倍有効である。 GCV−MPは、未変性のチミジンキナーゼによってリン酸化されて二リン酸GCVになり最終的に三リン酸GCV(GCV−TP)になる。

GCV−TPは、強力なDNAポリメラーゼ阻害剤であり、新生ストランドに取り込まれDNAの伸長を止めて結局細胞死を起こすことによってDNAの合成を止める。 GCVは、HSV−TK陽性細胞に対して圧倒的に作用するので、その有害作用は、小さいか又はまれであり、そしてその作用として主なものは血小板減少症、好中球減少症及び腎毒性がある。 さらに、GCVの毒性は、DNA合成に基づいているので、主に増殖中の細胞に作用する。 HSV−TK/GCV系は、最近、癌の遺伝子治療の臨床試験に広く利用されている。 それにも拘わらず、試験結果は期待はずれであり、形質導入率が低いため、大部分が生体内に限定されている。

最近の研究で、HSV−TK/GCVの細胞傷害性の機構の特徴が明らかになった。 その研究は、G2−M DNAの損傷チェックポイントの活性化による後期S又はG2相における細胞周期の中断を明らかにした。 これらの事象が、不可逆性の細胞死及び細胞死に関連する巻添え作用をもたらすことが分かった。 強い細胞の拡大は、HSV−TK/GCV系を投与された細胞の公知の形状変化である。 このような形状変化は、特定の細胞骨格の再配列が原因である。 ストレスアクチンファイバー及び太い中間フィラメントのネットが、細胞周期の中断に続いて現れる。

HSV−TK/GCV系は「巻添え作用」と呼称される増幅ポテンシャルを利用する。 この巻添え作用は、HSV−TK陽性細胞がHSV−TK陰性細胞のキリング(killing)を誘発する現象を支持している。

巻添え作用:この巻添え作用は、HSV−TK陽性細胞とHSV−TK陰性細胞それぞれの1:9混合物が、GCVを添加した後、完全に細胞を殺すようになることを発見したMooltenらが初めて報告した。 巻添え作用のいくつかの特徴が記述されている:
1. 巻添え作用は、細胞−細胞の接触に強く依存していることが分かった。
2. その程度は、細胞型が異なると異なる。
3. 巻添え作用は、同種の細胞型に限定されず異なる細胞型の混合物にも限定されない。
4. より高レベルのHSV−TK発現が、より高い巻添え作用と相互に関連していることが分かった。

Culverらは、生体内モデルでの巻添え作用を初めて証明した。 彼らは、HSV−TK陽性腫瘍細胞を異なる比率で移植すると腫瘍が退縮することを証明した。 生体外のモデルと異なり、細胞−細胞の接触が生体内の巻添え作用に不可欠であることは分かっていなかった。 Kianmaneshらは、異なる肝臓葉(そのいくつかだけがHSV−TK陽性であった)に腫瘍細胞を移植することによって遠隔巻添え作用を証明した。 HSV−TK陽性とHSV−TK陰生の病巣の両者が退縮した。 巻添え作用は、生体内で異なる起源由来の細胞間にも証明された。 全体的にみて、HSV−TKとその巻添え作用は、遺伝子送達系で実現すると腫瘍抑圧に有効な手段になる。 しかし、今日まで臨床試験は限定された結果しか示さなかった。

したがって、毒性副作用及び従来技術の抗血管形成法の特徴である限定的な成功を避けながら被験者の特定の組織の領域における血管形成を有効に調節する新規な方法を提供する高度に特異的で信頼性が高い血管形成特異的なプロモーター及び核酸構築物が必要なことは広く知られており、それを得れば非常に有利であろう。

本発明の一側面によって、配列番号:16に記載の配列の少なくとも一部に共有結合された配列番号:15に記載の配列の少なくとも一部を有するシス調節因子を含む単離されたポリヌクレオチドが提供され、その単離されたポリヌクレオチドは、それに転写的に連結されたポリヌクレオチド配列の真核生物における転写を指向させることができる。 また、前記単離されたポリヌクレオチドを含む核酸構築物、本発明の核酸構築物を含む細胞及び細胞で接種されるスカフォルドも提供される。

記載された好ましい実施態様のさらなる特徴によって、前記核酸構築物はさらに、前記シス調節因子の調節制御下で配置された核酸配列を含有している。 その核酸配列はさらに、血管形成調節因子をコードしていてもよい。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記核酸配列は、VEGF、p55、アンギオポエチン−1、bFGF及びPDGF−BBからなる群から選択される。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記スカフォルドは、合成ポリマー、細胞接着分子又は細胞外マトリックスタンパク質で構成されている。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記合成ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシアパタイト(HA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ−1−ラクチドで強化されたε−カプロラクトンと1−乳酸の編物(KN−PCLA)、同織布(WV−PCLA)、相互に結合された多孔質カルシウムヒドロキシアパタイトセラミックス(IP−CHA)、ポリD,L−乳酸−ポリエチレングリコール(PLA−PEG)、不飽和ポリエステルポリ(プロピレングリコール−コ−フマル酸)(PPF)、ポリラクチド−コ−グリコリド(PLAGA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)及びポリフォスファゼンからなる群から選択される。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、細胞接着分子は、インテグリン、細胞間接着分子(ICAM)1、N−CAM、カドヘリン、テネイシン、ギセリン及び神経損傷誘発タンパク質2(ニンジュリン2)からなる群から選択される。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、細胞外マトリックスタンパク質は、フィブリノーゲン、コラーゲン、フィブロネクチン、ビメンチン、微小管結合タンパク質1D、神経突起生成因子(NOF)、細菌セルロース(BC)、ラミニン及びゼラチンからなる群から選択される。

本発明のさらに別の側面によって、配列番号:16に記載の配列の少なくとも一部に共有結合された配列番号:15に記載の配列の少なくとも一部を含むシス調節因子の転写制御下に配置された対象の核酸配列を含有する核酸構築物を、被験者に投与することによって実施される、真核細胞に対象の核酸配列を発現させる方法が提供される。

本発明のさらに別の側面によって、(a)内皮細胞特異的プロモーター、(b)配列番号:5に記載の低酸素応答因子の少なくとも一つのコピー及び(c)血管形成調節因子をコードしかつプロモーターと低酸素応答因子の調節制御下にある核酸配列を含む核酸構築物を、組織中に発現させることによって行なう組織の血管形成を調節する方法が提供される。

本発明のさらに別の側面によって、血管形成調節因子をコードしかつ配列番号:16に記載の配列の少なくとも一部に共有結合された配列番号:15に記載の配列の少なくとも一部を含むシス調節因子の調節制御下にある核酸配列を含む核酸構築物を組織中に発現させて、組織中の血管形成を調節することによって行なう組織中の血管形成を調節する方法が提供される。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、投与は、全身生体内投与;被験者の身体から取り出した細胞にエクスビボ投与し次いでその細胞を被験者の身体中に再導入する方法及び局所生体内投与からなる群から選択される方法で実施される。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、組織は自然の又は遺伝子工学的に処置された組織である。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記核酸配列はプロ血管形成因子をコードし、血管形成を調節することは血管形成をアップレギュレートすることである。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記核酸配列は、血管形成の阻害剤をコードし、血管形成を調節することは血管形成をダウンレギュレートすることである。

本発明のさらに別の側面によって、(a)細胞傷害性分子のエフェクタードメインに融合されたリガンド結合ドメインを含むキメラポリペプチドをコードする第一ポリヌクレオチド領域及び(b)特定の組織又は細胞における前記キメラポリペプチドの発現を指向させることができるシス調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含有する核酸構築物が提供される。 前記リガンド結合ドメインは、特定の組織又は細胞に存在するリガンドに結合できるように選択され、そして前記リガンドがリガンド結合ドメインに結合すると、細胞傷害性分子のエフェクタードメインが活性化される。 本発明の核酸構築物で形質転換された真核細胞も提供される。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記シス調節因子は、PPE−1プロモーター、PPE−1−3xプロモーター、TIE−1プロモーター、TIE−2プロモーター、エンドグリンプロモーター、フォンヴィレブランドプロモーター、KDR/flk−1プロモーター、FLT−1プロモーター、Egr−1プロモーター、ICAM−1プロモーター、VCAM−1プロモーター、PECAM−1プロモーター及び大動脈カルボキシペプチダーゼ様タンパク質(ACLP)プロモーターからなる群から選択される内皮細胞特異的又は内皮周囲細胞特異的のプロモーターである。

記載された好ましい実施態様の別の特徴によって、リガンド結合ドメインは、細胞表面の受容体のリガンド結合ドメインである。 その細胞表面の受容体は、受容体チロシンキナーゼ、受容体セリンキナーゼ、受容体トレオニンキナーゼ、細胞接着分子及びホスファターゼ受容体からなる群から選択できる。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、細胞傷害性分子は、Fas、TNFR及びTRAILからなる群から選択される。

本発明のさらに別の側面によって、血管形成細胞の部分集団に細胞傷害性を生成するように設計され配置構成された核酸構築物を被験者に投与することによって実施される被験者の組織の血管形成をダウンレギュレートする方法が提供される。 その核酸構築物は、(a)細胞傷害性分子のエフェクタードメインに融合されたリガンド結合ドメインを含むキメラポリペプチドをコードする第一ポリヌクレオチド領域及び(b)血管形成細胞の部分集団におけるキメラポリペプチドの発現を指向させるためのシス調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含有している。 前記リガンド結合ドメインは、血管形成細胞の部分集団中に存在するリガンドに結合できるか又はその部分集団に提供されるように選択され、そしてリガンドがリガンド結合領域に結合すると、前記細胞傷害性分子のエフェクタードメインを活性化させて組織の血管形成をダウンレギュレートする。

本発明のさらに別の側面によって、(a)血管形成細胞の部分集団に細胞傷害性を発生するように設計され配置構成された核酸構築物であって、(i)リガンドがリガンド結合ドメインに結合すると続いて活性化されるように選択された、細胞傷害性分子のエフェクタードメインに融合されたリガンド結合ドメインを含有するキメラポリペプチドをコードする第一ポリヌクレオチド領域及び(ii)血管形成細胞の部分集団中におけるキメラポリペプチドの発現を指向させるシス活動調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含有する核酸構築物を、被験者の組織中に発現させ;次いで(b)被験者にリガンドを投与して組織の血管形成をダウンレギュレートすることによって実施される被験者の組織の血管形成をダウンレギュレートする方法が提供される。

本発明のさらに別の側面によって、有効成分として、血管形成細胞の部分集団に細胞傷害性を発生するように設計され配置構成された核酸構築物及び医薬的に許容できる担体を含有する、被験者の組織の血管形成をダウンレギュレートする医薬組成物が提供される。 その核酸構築物は、(a)細胞傷害性分子のエフェクタードメインに融合されたリガンド結合ドメインを含有するキメラポリペプチドをコードする第一ポリヌクレオチド領域、及び(b)血管形成細胞の部分集団中における前記キメラポリペプチドの発現を指向させるシス調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含有し、そのリガンド結合ドメインは、特定の組織又は細胞中に存在するリガンドに結合できるように選択され、その結果リガンドがリガンド結合領域に結合すると細胞傷害性分子のエフェクタードメインが活性化される。

本発明のさらに別の側面によって、過剰の血管新生に関連する疾患又は症状を治療する方法が提供される。 この方法は、血管形成細胞の部分集団に細胞傷害性を発生するように設計され配置構成された核酸構築物であって、(i)細胞傷害性分子のエフェクタードメインに融合されたリガンド結合ドメインを含有するキメラポリペプチドをコードする第一ポリヌクレオチド領域及び(ii)血管形成細胞の部分集団中における前記キメラポリペプチドの発現を指向させるシス活動調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含有する核酸構築物の治療有効量を、投与することによって実施され、そしてそのリガンド結合ドメインは血管形成細胞の部分集団中に存在するリガンドに結合するように選択されるか又はその部分集団に提供され、その結果リガンドがリガンド結合領域に結合すると、細胞傷害性分子のエフェクタードメインが活性化されて組織の血管形成がダウンレギュレートされ、過剰の血管新生に関連する疾患又は症状が治療される。 また、腫瘍の細胞に細胞傷害性を発生させるように設計され配置構成された核酸構築物の治療有効量を治療のため投与することによって行われる被験者の腫瘍を治療する方法も提供される。

本発明のさらに別の側面によって、血管形成細胞の部分集団に血管形成を発生するように設計され配置構成された核酸構築物の治療有効量を治療のために投与し、その結果、組織の血管形成をアップレギュレートして虚血に関連する疾患又は症状を治療することによって行なわれる虚血に関連する疾患又は症状を治療する方法が提供される。 その核酸構築物は、(i)プロ血管形成因子をコードする第一ポリヌクレオチド領域及び(ii)血管形成細胞の部分集団におけるプロ血管形成因子の発現を指向させるためのシス調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含有している。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、虚血に関連する疾患又は症状は、創傷の治癒、虚血性発作、虚血性心臓疾患及び胃腸の損傷からなる群から選択される。

本発明のさらに別の側面によって、(a)血管形成細胞に細胞傷害性を発生するように設計され配置構成された核酸構築物であって、(i)自殺遺伝子をコードする第一ポリヌクレオチド領域及び(ii)血管形成細胞内における自殺遺伝子の発現を指向させることができるシス活動調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含有する核酸構築物を組織中に発現させ、次いで(b)組織に、プロドラッグが自殺遺伝子によって毒性化合物に変換されると組織のアポトーシスを起こすのに十分な治療有効量のプロドラッグを被験者に投与して、組織の血管形成をダウンレギュレートすることによって行なわれる被験者の組織の血管形成をダウンレギュレートする方法が提供される。

本発明のさらに別の側面によって、有効成分として、血管形成細胞に細胞傷害性を発生するように設計され配置構成された核酸構築物及び医薬的に許容できる担体を含有する、被験者の組織の血管形成をダウンレギュレートする医薬組成物が提供される。 その核酸構築物は、(a)プロドラッグを毒性化合物に変換できる自殺遺伝子をコードする第一ポリヌクレオチド領域及び(b)血管形成細胞における自殺遺伝子の発現を指向させることができるシス活動調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含有している。

本発明のさらに別の側面によって、(a)プロドラッグを毒性化合物に変換できる自殺遺伝子をコードする第一ポリヌクレオチド領域及び(b)血管形成細胞における自殺遺伝子の発現を指向させることができるシス調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含有する核酸構築物が提供される。 また、本発明の核酸構築物で形質転換された真核細胞も提供される。

本発明のさらに別の側面によって、血管形成細胞に細胞傷害性を発生するように設計され配置構成された核酸構築物を被験者に投与することによって実施される、被験者の組織の血管形成をダウンレギュレートする方法が提供される。 その核酸構築物は、(a)自殺遺伝子をコードする第一ポリヌクレオチド領域及び(b)血管形成細胞中における自殺遺伝子の発現を指向させることができるシス調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含有し、その自殺遺伝子としては、プロドラッグを、細胞障害性を起こすことができる毒性化合物に変換できるものが選択され、その結果、組織の血管形成がダウンレギュレートされる。 本発明のさらに別の実施態様によって、血管形成細胞に細胞傷害性を発生するように設計され配置構成された本発明の核酸構築物の治療有効量を投与して、組織の血管形成をダウンレギュレートし、過剰血管新生に関連する疾患又は症状を治療することによって行われる過剰血管新生に関連する疾患又は症状を治療する方法が提供される。

本発明のさらに別の側面によって、腫瘍の細胞に細胞傷害性を発生するように設計され配置構成された核酸構築物であって、(i)自殺遺伝子をコードする第一ポリヌクレオチド領域及び(ii)腫瘍の細胞における自殺遺伝子の発現を指向させることができるシス活動調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含有し、その自殺遺伝子としては、プロドラッグを、腫瘍細胞に細胞傷害性を生じさせることができる毒性化合物に変換できるものが選択されている核酸構築物の治療有効量を投与することによって実施される被験者の腫瘍を治療する方法が提供される。

本発明のさらに別の側面によって、包装材料、本発明の核酸構築物、及び血管形成の少なくとも一つのモジュレーターを含む製造物であって、前記モジュレーターは前記内皮特異的プロモーターの活性を相乗作用方式でさらに増強することができるように選択され、前記包装材料は、前記核酸構築物及び前記血管形成のモジュレーターが血管形成に関連する疾患又は症状を被験者において治療するためのものであることを示すラベル又は包装挿入物を含む製造物が提供される。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、自殺遺伝子は、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ、痘帯状疱疹ウイルスのチミジンキナーゼ及び細菌のシトシンデアミナーゼの遺伝子からなる群から選択される。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、プロドラッグは、ガンシクロビル、アシクロビル、1−5−ヨードウラシル、FIAU、5−フルオロシトシン、6−メトキシプリンアラビノシド及びそれらの誘導体からなる群から選択される。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、自殺遺伝子は単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼの遺伝子であり、そしてプロドラッグはガンシクロビル、アシクロビル、FIAU又はそれらの誘導体である。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、自殺遺伝子は細菌のシトシンデアミダーゼの遺伝子であり、そして前記プロドラッグは5−フルオロシトシン又はその誘導体である。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、自殺遺伝子は水痘帯状疱疹ウイルスのチミジンキナーゼの遺伝子であり、そして前記プロドラッグは6−メトキシプリンアラビノシド又はその誘導体である。

記載された好ましい実施態様のさらなる特徴によって、前記治療法には、相乗作用方式で前記細胞傷害性をさらに高めることができる少なくとも一つの追加の治療法を選択し、併用して被験者に施すことが含まれている。 その少なくとも一つの追加の治療法は、化学療法、放射線療法、放射線療法と光力学療法、外科療法、栄養療法、切除療法、放射線療法と化学療法を併用した方法、小線源療法(brachiotherapy)、陽子線療法、免疫療法、細胞療法及び陽子線放射線外科療法を含む群から選択できる。

下記の本発明の好ましい実施態様のさらなる特徴によって、核酸配列は、配列番号:16に記載の配列の少なくとも一部に共有結合された配列番号:15に記載の配列の少なくとも一部を含むシス調節因子を含有する単離されたポリヌクレオチドを含有し、その単離されたポリヌクレオチドは、それに転写的に連結されたポリヌクレオチド配列の真核細胞における転写を指向させることができる。 配列番号:15に記載の配列の少なくとも一部は、前記シス調節因子中の配列番号:16に記載の配列の少なくとも一部の上流に配置してもよく又は配列番号:16に記載の配列の少なくとも一部は配列番号:15に記載の配列の前記少なくとも一部の上流に配置してもよい。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、シス調節因子はさらに、配列番号:6に記載の配列の少なくとも一つのコピー又は配列番号:6の少なくとも二つのコピーを含有している。 その配列番号:6の少なくとも二つのコピーは隣接していてもよい。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、配列番号:15に記載の配列の少なくとも一部が配列番号:16に記載の配列の少なくとも一部にリンカーポリペプチドの配列を介して共有結合されている。 そのリンカーポリペプチドの配列はプロモーター及び/又はエンハンサーの配列でもよい。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号:1に記載の配列の少なくとも一つのコピーを含んでいる。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、単離されたポリヌクレオチドはさらに低酸素応答因子を含んでいるが、その低酸素応答因子は好ましくは配列番号:5に記載の配列の少なくとも一つのコピーを含んでいる。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、シス調節因子は配列番号:7に記載の配列である。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、核酸構築物はさらに、条件付で複製するアデノウイルスを含んでいる。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記シス調節因子は、PPE−1プロモーター、PPE−1−3xプロモーター、TIE−1プロモーター、TIE−2プロモーター、エンドグリンプロモーター、フォンヴィレブランドプロモーター、KDR/flk−1プロモーター、FLT−1プロモーター、Egr−1プロモーター、ICAM−1プロモーター、VCAM−1プロモーター、PECAM−1プロモーター及び大動脈カルボキシペプチダーゼ様タンパク質(ACLP)プロモーターからなる群から選択される内皮細胞特異的又は内皮周囲細胞特異的プロモーターである。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記方法は、アデノウイルスのコピー数を増大することができるか及び/又は血管形成調節因子の発現を増大することができるように選択された少なくとも一つの化合物を組織又は被験者に投与することをさらに含む。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、追加の化合物はコルチコステロイド及び/又はN−アセチルシステインである。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記方法は、相乗作用方式でシス調節因子又は内皮特異的プロモーターの活性をさらに増強することができるように選択された少なくとも一つの血管形成のモジュレーターを組織又は被験者に投与することをさらに含む。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記少なくとも一つの血管形成のモジュレーターはエンドセリン受容体アンタゴニストである。 エンドセリン受容体アンタゴニストは、二重A型及びB型エンドセリン受容体アンタゴニスト、又はB型特異的アンタゴニストであることができる。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、B型特異的エンドセリン受容体アンタゴニストはA192,621;BQ788;Res 701−1及びRo 46−8443からなる群から選択される。

記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、エンドセリン受容体アンタゴニストは、Bosentanを除くエンドセリン受容体アンタゴニストである。

本発明のシス調節因子を含む核酸構築物及び単離ポリヌクレオチドは、腫瘍、転移腫瘍性疾患及び虚血性疾患の如き内皮細胞における過剰の又は不十分な血管形成に関連する様々な疾患及び症状を治療するための医薬の製造において使用されることができる。 記載された好ましい実施態様のさらに別の特徴によって、前記医薬は、シス調節因子又は内皮特異的プロモーターの活性を相乗作用方式でさらに増強することができるように選択された血管形成のモジュレーターと共に、及び/又はアデノウイルスのコピー数を増大することができるか及び/又は血管形成調節因子の発現を増大することができるように選択された少なくとも一つの化合物と共に使用されることができる。

本発明は、新規のエンハンサー配列付きシス調節因子を含む単離されたポリヌクレオチド配列及びその使用法を提供することによって、現在知られている配置構成の欠点を成功裡に処理できる。 この新規のエンハンサー配列は、導入遺伝子の発現を組織特異的に調節し並びに各種の障害、疾患及び症状を遺伝子治療で治療するのに使う核酸構築物及び医薬組成物を製造するのに使用できる。 具体的に述べると、本発明のシス調節因子、単離されたポリヌクレオチド及び医薬組成物を、選択された導入遺伝子とともに使用して、内皮細胞の血管形成を特異的にアップレギュレート及び/又はダウンレギュレートして、腫瘍、転移腫瘍性疾患及び虚血性疾患を治療できる。

図面の簡単な記述
本発明は、例のみとして、添付された図面を参照してここに記載される。 次に図面を詳細に特に参照することにより、示される特定の事項は、例としてであり、かつ本発明の好ましい実施形態の例示的な議論のためだけであり、そして本発明の原理及び概念的局面の最も有用かつ容易に理解される記載であると考えられるものを提供するために示されることに重点が置かれている。 この点に関して、本発明の基本的な理解のために必要とされるよりも詳しく本発明の構造的詳細を示すことはなされていないが、図面とともに理解される説明により、本発明のいくつかの形態がいかにして実際に具体化され得るかが当業者には明らかになる。

図1a〜bはTNFR1の細胞外領域ならびにFasの膜貫通領域及び細胞内領域から構築され、pcDNA3プラスミドにクローン化されたFasキメラ遺伝子(a)又はアデノウイルスベクターにクローン化されたFasキメラ遺伝子(b)の概略図である。

図2a〜bはプロアポトーシス遺伝子(Fasキメラ及びTNFR1)のアポトーシス活性を例示する。 図2aには、pcDNA−3−TNFR1(下段パネル)又は対照空ベクター(上段パネル)のいずれか、及びGFPをコードする発現ベクターでトランスフェクションされたウシ大動脈内皮細胞(BAEC)が例示される。 図2bには、pcDNA−3−Fas−c(下段パネル)又は対照空ベクター(上段パネル)のいずれか、及びGFPをコードする発現ベクターでトランスフェクションされた293細胞が例示される。 トランスフェクション細胞は、蛍光顕微鏡観察を使用して可視化され、アポトーシス活性が形態学的に決定された。

図3a〜fはプロアポトーシス遺伝子でトランスフェクションされたBAEC細胞の電子顕微鏡観察像である。 トランスフェクションの24時間後、BAEC細胞を2.5%グルタルアルデヒドで固定処置し、加工した。 アポトーシス過程の連続した段階にある細胞が示される。

図4はトランスフェクションされたBAEC細胞及び293細胞における示されたプロアポトーシス遺伝子のアポトーシス活性を定量するヒストグラムである。

図5aはAdPPE−Fas−cのPCR分析を示す。 レーン1〜2−PPE−1プロモーター及びFas−c遺伝子を包含するプロモーターを使用して得られたPCR産物。 レーン3〜4−Fas−cプライマーを使用して得られたPCR産物。 レーン5〜6−テンプレートDNAの非存在下で得られたPCR産物。

図5bは、AdPPE−Fas−cでトランスフェクションされたBAEC細胞のウエスタンブロット分析である。 タンパク質サンプルをSDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロースメンブランに転写し、そしてTNFR1の細胞外部分に対して指向されたポリクローナル抗体でプローブした。 レーン1〜2−pcDNA3−Fas−cのBAECトランスフェクション細胞(陽性対照)。 レーン3〜4−AdPPE−Fas−cウイルスの示されたMOIでトランスフェクションされたBAEC細胞。 レーン5−非トランスフェクション細胞。 レーン6〜7−AdPPE−Lucの示されたMOIでトランスフェクションされたBAEC細胞。

図6a〜dは内皮細胞のアポトーシスに対するFas−キメラの過剰発現の影響を例示する顕微鏡写真である。 BAEC細胞に、Ad−PPE−1−3x−Fas−キメラ(図6a);Ad−PPE−1−3x−ルシフェラーゼ(図6b);Ad−PPE−1−3x−Fas−キメラ及びAd−PPE−1−3x−GFP(図6c);Ad−PPE−1−3x−ルシフェラーゼ及びAd−PPE−1−3x−GFP(図6d)を、それぞれ1000のMOIで感染させた。 顕微鏡写真は、感染の72時間後、x10の倍率で撮影された。

図7は内皮細胞に対するAd−PPE−1−3x−Fas−キメラのアポトーシス特異的作用を例示するヒストグラムである。 内皮細胞(BAEC、HUVEC)及び非内皮細胞(正常な皮膚繊維芽細胞−NSF)の生存率を、Ad−PPE−1−3x−Fas−キメラウイルス又は対照(ルシフェラーゼ)ウイルスのいずれかによる感染の72時間後にクリタルバイオレット染色によって定量した。

図8はFas−キメラにより媒介されるアポトーシスに対するTNFα投与の用量応答作用を示す。 BAECにAd−PPE−1−3x−Fas−cを感染させた。 感染の48時間後、TNFを増殖培地に(示された用量で)加えた。 生存率を、その24時間後にクリタルバイオレットアッセイによって測定した。

図9a〜eはTNFαリガンド及びFas−c受容体の共同作用により媒介される内皮細胞特異的なアポトーシスを例示する顕微鏡写真である。 示された細胞は、Ad−PPE−1−3x−Fas−cによる感染後48時間、TNFα(10ng/ml)の存在下又は非存在下でインキュベーションされた。 クリタルバイオレット染色が感染の72時間後に行われた。

図10aは、内皮細胞に対するAd−CMV−Fas−cのTNFα依存的アポトーシス作用を例示する用量応答曲線である。 Ad−CMV−Fas−キメラの示されたMOIを感染させたBAEC細胞の生存率をTNFαとのインキュベーション後に測定した。

図10b〜図10dは、非内皮細胞NSFに対する、TNFαリガンド及びAd−CMV−Fas−キメラのアポトーシス作用を例示する。 図10b−対照ウイルスを感染させたNSF。 図10c−Ad−CMV−Fas−キメラを感染させたNSF。 図10d−Ad−CMV−Fas−キメラを感染させ、TNF(10ng/ml)とインキュベーションされたNSF。

図11a〜cはAd−PPE−1−3x−Fas−cのインビボ抗腫瘍作用を例示する。 B16メラノーマ細胞を接種したマウスに対して、腫瘍が触診可能となったときに、Ad−PPE−1−3x−Fas−c、Ad−CMV−Fas−キメラ、対照ウイルス又は生理食塩水を静脈内注射した。

図11a−処置期間中に測定された腫瘍面積。 図11b−処置期間が終了した時の腫瘍重量。 図11c−Ad−PPE−1−3x−Fas−c処置マウス及び対照マウスにおける腫瘍の状態を表す画像。

図12は、対照としてB2B細胞系(エンドセリンを発現する気管支の細胞系)を使用した、ウシ及びヒト両方の内皮細胞系におけるルシフェラーゼ発現に対する、本発明のエンハンサー因子の効果を例示するヒストグラムである。

図13は、様々な細胞系におけるルシフェラーゼ発現に対する、アデノウイルスベクター内の本発明のプロモーターの内皮特異性を例示するヒストグラムである。

図14A及び14Bは、BAEC細胞系における、本発明のAd5PPE−1−3X(14A)及びAd5CMV(14B)対照構築物の調節下でのGFP発現を例示する光学顕微鏡写真である。

図15は、内皮細胞及び非内皮細胞におけるpACPPE−1−3Xp55、pACPPE−1−3Xルシフェラーゼ、及びpCCMVp55により誘導されたアポトーシス率(%)のヒストグラムである。

図16は、本発明に係るエンハンサー因子のプロモーター構築物への導入の、低酸素応答に対する効果を例示するヒストグラムである。

図17は、本発明に係るエンハンサー因子の、アデノベクター構築物のプロモーターへの導入の、低酸素応答に対する効果を例示するヒストグラムである。

図18は、本発明に係るエンハンサー因子のプロモーターへの導入の、ウシ及びヒトの内皮のエンドセリン発現細胞系における発現レベルに対する効果を例示するヒストグラムである。

図19は、内皮プロモーター(PPE−1)又は対照(CMV)プロモーターいずれかを含有しているアデノウイルス構築物の注射後に、様々な器官において観察されたレポーター遺伝子の発現レベルを例示するヒストグラムである。

図20A〜Bは、構築物を注射されたマウスの肝組織におけるAd5CMVGFP構築物(図20A)及びAd5PPE−1−GFP構築物(図20B)の細胞発現を例示する二つの光学顕微鏡写真である。

図21は、本発明に係るエンハンサー因子のプロモーターへの導入の、内皮細胞系及び非内皮細胞系における発現レベルに対する効果を例示するヒストグラムである。

図22は、本発明に係るエンハンサー因子のプロモーターへの導入の、内皮細胞系及び非内皮細胞系における発現レベルに対する効果を例示するヒストグラムである。

図23A〜Cは、Ad5PPE−1−3XGFPにより形質導入された細胞、Ad5PPE−1GFPにより形質導入された細胞、及びAd5CMVGFPにより形質導入された細胞におけるGFP発現を例示する顕微鏡写真である。

図24A〜Bは、moi−1のAd5PPE−1−3XGFP及びAd5CMVGFPによりそれぞれ形質導入されたSMCにおけるGFP発現を例示する。

図25A〜Bは、HeLa細胞において行われた図24A〜Bの実験と類似の実験の結果を示す。

図26A〜Bは、HepG2細胞において行われた図24A〜Bの実験と類似の実験の結果を示す。

図27A〜Bは、NSF細胞において行われた図24A〜Bの実験と類似の実験の結果を示す。

図28A〜Bはそれぞれ、Ad5PPE−1GFP及びAd5PPE−1−3XGFPを注射されたマウスの血管を裏打ちしている内皮細胞におけるGFP発現を例示する顕微鏡写真である。

図29A〜Cは、注射されたマウスの腎組織からの結果を例示する顕微鏡写真である。 Ad5CMVGFPを注射されたマウス(図29A)、Ad5PPE−1GFP(図29B;わずかに高度のGFP発現が血管壁に可視である;矢印によって示されている)、及びAd5PPE−1−3XGFP(図29C)。

図30A〜Cは、脾組織切片に対して行われた、図29A〜Cに図示された実験と類似の実験を例示する。

図31A〜D及び図31C'〜D'は、生理食塩水を注射された対照マウス(図31A)、Ad5CMVGFPを注射されたマウス(図31B)、Ad5PPE−1GFPを注射されたマウス(図31C)、及びAd5PPE−1−3XGFPを注射されたマウス(図31D)の転移肺におけるGFP発現を例示する。 抗Cd31免疫染色(図31C'〜31D')は、各転移組織におけるGFP発現及びCD31発現の共局在を確証している。

図32は、マウスPPE−1プロモーターを含有しているプラスミドによりトランスフェクトされたBAECにおけるルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)が、トランスフェクトされた細胞を低酸素条件下でインキュベートした場合に、有意に高くなることを例示するヒストグラムである。

図33は、Ad5PPE−1Luc及びAd5CMVLucが利用されたことを除き、図32と同様のヒストグラムである。

図34は、種々の細胞系における低酸素の効果を示す、図33と同様のヒストグラムである。

図35は、本発明の3X配列の、BAEC細胞におけるPPE−1低酸素応答に対する効果を例示するヒストグラムである。 細胞は、Ad5PPE−1Luc及びAd5PPE−1−3XLucにより形質導入された。

図36は、大腿動脈結紮後のPPE−1−Lucトランスジェニックマウスの様々な組織におけるルシフェラーゼ発現のレベルを示すヒストグラムである。

図37A〜Bは、本発明と併せて利用された構築物のプラスミド地図である。

図38A〜Fはマウスの虚血肢における血液灌流及び血管形成に対するAd5PPE−1−3XVEGF及びAd5CMVVEGFの効果を示す。 図38A〜Dは結紮の21日後に捕らえられた様々な処置群からのマウスの虚血肢における灌流の代表的な超音波(US)血管造影画像である。 黄色のシグナルは強い灌流を表す。 画像の右側は肢の遠位末端を表す。 図38A:Ad5PPE−1−3XVEGF処置マウス;図38B:Ad5CMVVEGF処置マウス;図38C:対照の生理食塩水処置マウス;図38D:対照の正常な肢。 図38E〜Fは様々な処置群のUS画像におけるシグナルの平均強度を示すヒストグラム(38E);様々な処置群におけるCD31+細胞/mm の数として測定された平均毛管密度を示すヒストグラム(図38F)である。

図39は、Ad5PPE−1Luc(白バー)及びAd5CMVLuc(黒バー)により形質導入された増殖期及び休止期のウシ大動脈内皮細胞(BAEC)におけるルシフェラーゼ活性を例示するヒストグラムである。

図40は、VEGF添加後の正常増殖中、休止状態、及び急速増殖中のAd5PPE−1Lucにより形質導入されたBAECにおけるルシフェラーゼ活性を例示するヒストグラムである。

図41A〜Bは、Ad5PPE−1Luc及びAd5CMVLucを注射された正常C57BL/6マウスの大動脈(図41A)及び肝臓(図41B)におけるルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。 活性は、注射後1日目(n=13)、5日目(n=34)、14日目(n=32)、30日目(n=20)、及び90日目(n=11)に決定された。

図42A〜Bは、注射された正常なBALB/Cマウスにおける、Ad5PPE−1Luc(白バー)又はAd5CMVLuc(黒バー)の注射後5日目(図42A)及び14日目(図42B)(各時点についてn=10)に検出された相対ルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。 活性は、各動物の全身ルシフェラーゼ発現に対する比率(%)として表されている。

図43は、スーダン−IVにより着色されたApoE欠損マウスから解剖された大動脈を図示する先行技術の画像である。 胸大動脈は、比較的少ない赤色に染色されたアテローム性動脈硬化巣を含有しており、腹領域は、多くの赤色に染色されたアテローム性動脈硬化巣を含んでいる。 ( 125 I−HDL及び、 125 I−BSAによる大動脈アテローム性動脈硬化巣の画像法(A.Shaish et al、Pathobiology 2001;69:225−29)より編集した)。

図44は、Ad5PPE−1Luc(白バー;n=12)又はAd5CMVLuc(黒バー;n=12)のApoE欠損マウスへの全身注射後5日目に検出された絶対ルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。 高い病巣レベルを含有している腹大動脈から、及び、胸区域(低い病巣レベル)から、ルシフェラーゼ活性が観察された。

図45は、創傷治癒中のC57BL/6誘導マウスへのAd5PPE−1Luc(黒バー)又はAd5CMVLuc(白バー)の全身注射後5日目の絶対ルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。

図46は、ルイス肺癌誘導マウスの正常肺、転移肺、及び原発腫瘍におけるルシフェラーゼ活性を例示するヒストグラムである。 ルイス肺癌は、原発腫瘍モデルについては背部へ、転移モデルについては足蹠へ、D122−96細胞を注射することによって誘導された。 ルシフェラーゼ活性は、Ad5PPE−1Luc(n=9;白バー)又はAd5CMVLuc(n=12;黒バー)の全身注射後5日目に測定された。 活性は光単位/μgタンパク質として表されている。

図47A〜Dは、Ad5PPE−1GFPの腫瘍内注射後のLLC保持マウスの肺及び腫瘍におけるGFP発現及び組織形態学を例示する顕微鏡写真である。 組織は、OCT中で凍結させられ、低温槽によって10μmに切片化された。 写真は全て、25×の倍率で撮影された。 図47A−肺転移の血管形成性血管におけるGFP;図47B−図47Aに描写された切片のCD31抗体免疫染色;図47C−原発腫瘍の血管におけるGFP発現;図47D−血管を例示するCの切片の位相差。

図48は、Ad5CMVLuc、Ad5PPE−1Luc、及びAd5PPE−1−3X−Lucを注射されたルイス肺癌誘導マウスの正常肺及び転移肺におけるルシフェラーゼ発現を例示するヒストグラムである。 ルイス肺癌は、転移モデルについては足蹠に注射されたD122−96細胞によって誘導された。 ルシフェラーゼ活性は、Ad5CMVLuc(n=7;黒バー)、Ad5PPE−1Luc(n=6;灰色バー)、又はAd5PPE−1−3XLuc(n=13;茶色バー)の全身注射後5日目に測定された。 活性は光単位/μgタンパク質として表されている。

図49は、Ad5CMV、Ad5PPE−1Luc、及びAd5PPE−1(3X)を注射されたルイス肺癌誘導マウスの正常肺及び肺転移における肝臓活性に対する比率(%)(肝臓を100%とした場合)としてのルシフェラーゼ活性を例示するヒストグラムである。

図50A〜Bは、Ad5PPE−1−3X−GFPを注射されたLLC肺転移を有するマウスにおけるGFP発現(図50A)及びCd31免疫染色(図50B)の共局在を例示する顕微鏡写真である。

図51は、大腿結紮後2日目、5日目、10日目、及び18日目のPPE−1ルシフェラーゼトランスジェニックマウスの筋肉(虚血及び正常)、並びに対照(非結紮動物−0日目;各群n=8)におけるルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。

図52は、大腿結紮後5日目(n=6)、10日目(n=6)、及び18日目(n=8)のPPE−1ルシフェラーゼトランスジェニックマウスの肝臓、肺、及び筋肉内(虚血及び正常)大動脈、並びに対照(非結紮動物−0日目)におけるルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。

図53は、Ad5CMVLuc(黒バー)又はAd5PPE−1Luc(白バー)を原発腫瘍内に注射されたLLCマウスの肝臓、肺、及び原発腫瘍において検出されたルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。

図54A〜Hは様々なトランスジーンの組織特異的又は構成的発現の組織分布を示すインサイチュー(in−situ)ハイブリダイゼーション画像である。 図54A〜Cはそれぞれ以下のマウスからの代表的な虚血筋肉におけるVEGF特異的アンチセンスプローブを用いたインサイチューハイブリダイゼーションを示す:図54AはAd5PPE−1−3XVEGF処置マウス;図54BはAd5CMVVEGF処置マウス;図54Cは生理食塩水処置マウス;図54DはAd5CMVVEGF処置マウスからの肝臓切片。 矢印は正に染色された細胞を示す。 図54E〜Gはそれぞれ以下のマウスからの代表的な虚血筋肉のPDGF−B特異的アンチセンスプローブを用いたインサイチューハイブリダイゼーションを示す:図54EはAd5PPE−1−3XPDGF−B処置マウス;図54FはAd5CMVPDGF−B処置マウス;図54Gは生理食塩水処置マウス;図54HはAd5CMVPDGF−B処置マウスからの肝臓切片。

図55A〜Bはマウスの虚血肢における血液灌流及び血管形成に対するAd5PPE−1−3XVEGF又はAd5CMVVEGFの長期間の効果を示すヒストグラムである。 図55Aは大腿動脈結紮後50日目の様々な処置群のUS画像におけるシグナルの平均強度を示すヒストグラムであり、図55Bは大腿動脈結紮後70日目の様々な処置群におけるCD31+細胞/mm の数として測定された平均毛管密度を示すヒストグラムである。

図56A〜Dはマウスの虚血肢における新生血管形成に対するAd5PPE−1−3XPDGF−Bの初期及び長期間の効果を示すヒストグラムである。 図56A〜BはUS画像形成によって測定された平均灌流強度(図56Aは大腿動脈結紮後30日目のものであり;図56Bは大腿動脈結紮後80日目のものである)を示す。 図56C〜Dは様々な処置群におけるCD31+細胞/mm の数として測定された平均毛管密度(図56Cは大腿動脈結紮後35日目のものであり;図56Dは大腿動脈結紮後90日目のものである)を示す。

図57A〜Gはマウス虚血肢における新生血管形成及び血液の流れに対する内皮特異的又は構成的プロモーターの制御下での、PDGF−B及びVEGFを単独で又は組合せて用いた血管形成治療の長期間の効果を示す。 図57Aは大腿動脈結紮後80日目の様々な処置群のUS画像におけるシグナルの平均強度を示し、図57Bは大腿動脈結紮後90日目の様々な処置群におけるCD31+細胞/mm の数として測定された平均毛管密度を示す。 図57C〜Gは大腿動脈結紮後90日目の虚血肢筋肉における成熟した血管に対する平滑筋細胞の増加を示す。 平滑筋は抗α−SMアクチン抗体を用いて免疫染色される(赤色で、X20)。 図57CはAd5PPE−1−3XPDGF−B処置マウス;図57Dは組合せ治療で処置されたマウス;図57EはAd5PPE−1−3XVEGF処置マウス;図57Fは対照のAd5PPE−1−3XGFP処置マウス;図57Gは正常な反対側の肢を示す(大きな血管のみが染色されていることに注意すること)。

図58は動脈結紮後50日目のマウス虚血肢における血液灌流に対するPDGF−B単独での又は血管形成因子VEGFとの組合せでの効果を示す。

図59は遺伝子によって指向された酸素プロドラッグ治療(GDEPT)の基本原理を示す模式図である。

図60A−BはプラスミドpEL8(3x)−TKの構造を示す模式マップである。 図60AはプラスミドpEL8(3x)−TKの構造を示す模式マップである。 図60BはプラスミドpACPPE−1(3x)−1−TKのマップである。

図61は、AdPPE−1(3x)−TKベクターのPCR産物をアガロースゲルで分離しUV蛍光で可視化したものを示す図である。 二種のプライマーすなわち前進プライマーの5'−ctcttgattcttgaactctg−3'(プレ−プロエンドセリンプロモーターの配列中の455−474bp)(配列番号:9)及び逆進プライマーの5'−taaggcatgcccattgttat−3'(HSV−TK遺伝子の配列中の1065−1084bp)(配列番号:10)を使用した。 他のベクターに特異的なプライマーはPCR産物を提供しなかった。 AdPPE−1(3x)−TKウイルスにおけるPPE−1(3x)プロモーター及びHSV−TK遺伝子の存在を証明する1kbのバンドに注目されたい。 レーン1:100bpの大きさのマーカーラダー。 レーン2: pACPPE−1(3x)−TKプラスミド。 レーン3:AdPPE−1(3x)−TKウイルス。 レーン4:DNAなし。

図62A−Cは、ベクターのAdPPE−1(3x)−TK(図62A)、AdPPE−1(3x)−Luc(図62B)及びAdCMV−TK(図62C)の線状模式マップである。

図63は、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの上部内皮細胞の細胞傷害性を示す一連の顕微鏡写真である。 ウシ大動脈の内皮細胞(BAEC)に、0.1、1、10、100及び1000の感染多重度(m.o.i.)でAdPPE−1(3x)−TK、AdCMV−TK及びAdPPE−1(3x)−Lucを形質導入した。 形質導入してから4時間後にGCV(1μg/ml)を添加した。 対照は、ベクターを形質導入してGCV無し又はこの形質導入なしでGVCを添加された細胞である。 試験は、96ウエルプレートを使ってグループごとに12ウエルずつ二回行なった。 両対照ともに細胞死を誘発しなかった(データ記載せず)。 AdCMV−TKより有意に低いm. o. i. にてAdPPE−1(3x)+GCVで処置した細胞に明らかな細胞傷害性に特徴的な形状の変化(細胞の拡大、伸長及び膨張)及び細胞傷害性(集密状態の喪失)に注目されたい。 AdPPE−1(3x)−Lucを形質導入された細胞は健康のままであった(大きさが小さく、丸くて集密状態)。

図64は、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの内皮細胞の細胞傷害性を示すグラフである。 BAECを96ウエルのプレート内に調製し、次いで図13に示したようにして形質導入を行い、形質導入を行なってから4時間後に1μg/mlのGCVを添加し、ベクターを添加してから10日後に、クリスタルバイオレットで染色して細胞の生存能力を測定した。 m. o. i. が高い場合、AdPPE−1(3x)+GVCの細胞傷害性が高いことに注目されたい。

図65は、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTK及びガンシクロビルの投与の内皮細胞の細胞傷害性の優れた相乗作用を示す一連の顕微鏡写真である。 ウシ大動脈の内皮細胞(BAEC)に、10の感染多重度(m.o.i.)で上記のようにしてAdPPE−1(3x)−TK、AdCMV−TK及びAdPPE−1(3x)−Lucを形質導入し、形質導入してから4時間後に、順次濃度を上げたGCV(表示したように、0.001−10μg/mlの濃度)を添加した。 対照は、GCV無しのベクターの形質導入又はベクター無しのGCVの添加の細胞であった。 試験は、96ウエルプレートを使ってグループごとに12ウエルずつ二回行なった。 両対照ともに細胞死を誘発しなかった(データ記載せず)。 AdCMV−TKに暴露した細胞より有意に低い濃度のGCVにてAdPPE−1(3x)+GCVで処置した細胞に明らかな細胞傷害性に特徴的な形状の変化(細胞の拡大、伸長及び膨張)及び細胞傷害性(集密状態の喪失)に注目されたい。

図66は、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTK及びガンシクロビル投与の内皮細胞の細胞傷害性の相乗作用を示すグラフである。 BAECを96ウエルのプレートで調製し、次いで図65に示したようにして形質導入を行い、形質導入を行なってから4時間後に、順次濃度を上げたGCV(0.0001−10μg/mlの濃度)を添加した。 ベクターを添加してから10日後に、クリスタルバイオレットで染色して細胞の生存能力を測定した。 AdCMV−TKの構成TKの強い発現と比較して、0.01μg/mlより高いGCVの濃度におけるAdPPE−1(3x)+GCVの高い細胞傷害性に注目されたい。

図67は、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTK及びガンシクロビル投与の内皮細胞の細胞傷害性の特異的相乗作用を示す一連の顕微鏡写真である。 内皮細胞[ウシ大動脈の内皮細胞(BAEC)、ヒトの臍静脈内皮細胞(HUVEC)]及び非内皮細胞[ヒトの肝臓癌細胞(HepG−2)、ヒトの正常な皮膚繊維芽細胞(NSF)]に、10の m. o. i. でAdPPE−1(3x)−TK、AdPPE−1(3x)−Luc 又はAdCMV−TKを形質導入し、形質導入してから4時間後に、1μg/mlのGCVを添加した。 試験は、96ウエルプレートを使って、グループごとに12ウエルずつ二回行なった。 細胞傷害性と細胞の形状変化は、形質導入してから4日後に、顕微鏡で検出した。 BAEC及びHUVECの培養物中のAdPPE−1(3x)−TK+GCVの高い細胞傷害作用[細胞傷害性に特徴的な形状の変化(細胞の拡大、伸長及び膨張)及び細胞傷害性(集密状態の喪失)]並びにHepG−2とNSFにはこの作用がないこと(細胞が小さく、丸くかつ集密状態のままである)に注目されたい。 AdPPE−1(3x)−Luc+GCVはすべての細胞型に対して非毒性であった。

図68は、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTK及びガンシクロビル投与の内皮細胞の細胞傷害性の特異的相乗作用を示すヒストグラムである。 内皮細胞(BAECとHUBEC)及び非内皮細胞(HepG−2とNSF)を96ウエルのプレートに調製し、図67に示したようにして形質導入し、形質導入を行なってから4時間後に、GCV(1μg/ml)を添加した。 ベクターを添加してから10日後に、クリスタルバイオレットで染色して細胞の生存能力を測定した。 AdCMV−TK+GCVの非特異的細胞傷害性と比較して、AdPPE−1(3x)+GCVの高い特異的細胞傷害性に注目されたい。

図69は、極端に高い感染多重度におけるPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTK及びガンシクロビル投与の内皮細胞傷害性の選択的相乗作用を示す一連の顕微鏡写真である。 非内皮細胞(NSF)に、図66に示したようにして100という高い m. o. i. にてAdPPE−1(3x)−TK、AdPPE−1(3x)−Luc 又はAdCMV−TKを形質導入し、形質導入してから4時間後に、1μg/mlのGCVを投与した。 試験は、96ウエルプレートを使って、グループごとに12ウエルずつ二回行なった。 細胞傷害性と細胞の形状変化は、形質導入してから4日後に、顕微鏡で検出した。 AdCMV−TK+GCVの非特異的細胞傷害性と比較して、NSF細胞の形状に対してAdPPE−1(3x)−TK+GCVの作用がないことに注目されたい。

図70は、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による転移腫瘍増殖の相乗抑制効果を示す一連の写真である。 14週齢の雄のC57BL/6マウス(n=77)の左足蹠に、ルイス肺癌(LLC)の腫瘍細胞を接種してルイス肺癌の肺転移腫瘍を誘発させ、原發腫瘍の大きさが7mmに到達したとき直ちにその足を切断した。 5日後に、10 11 PFUのアデノウイルスベクター[AdPPE−1(3x)−TK+GCV;AdCMV−TK+GCV;GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK]を尾の静脈に注射し、続いて14日目に100mg/kgのGCVを注射した。 これらマウスを、ベクター注射後24日目に殺し次いで肺を取り出して検査と分析を行った。 対照のマウスには生理食塩水とGCVを注射した。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウスの肺の転移腫瘍の拡大の程度が、AdCMV−TK+GCV;GCV無しのAdPPE−1及びアデノウイルス無しのGCVで処置したマウスと比べて有意に低下していることに注目されたい。

図71は、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による転移腫瘍増殖の相乗抑制効果を示すヒストグラムである。 肺転移腫瘍をC57BL/6マウスに誘発させ、次いでそのマウスを、上記のようにして10 11 PFUのアデノウイルスベクター[AdPPE−1(3x)−TK+GCV;AdCMV−TK+GCV;GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK]及びGCV(100mg/kg)で処置した。 ベクターを注射してから24日目に、これらマウスを殺し次いで肺を取り出して肺への転移腫瘍を評価した。 対照のマウスには生理食塩水とGCVを投与した。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウスの転移腫瘍塊は、GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK(85%より大きい)並びにAdCMV−TK+GCV及び生理食塩水とGCVの対照(75%より大きい)の転移腫瘍塊と比べて有意に抑制されていることに注目されたい。

図72a−72cは、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による転移腫瘍病状の相乗抑制効果を示す肺への転移腫瘍塊の代表的な組織病理学的切片を示す。 肺転移腫瘍をC57BL/6マウスに誘発させ、次いでそのマウスを、上記のようにして10 11 PFUのアデノウイルスベクター[AdPPE−1(3x)−TK+GCV;AdCMV−TK+GCV;GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK]及びGCV(100mg/kg)で処置した。 ベクターを注射してから24日目に、これらマウスを殺し次いで肺の転移腫瘍組織(図72a及び72b)又は肺の組織(図72c)の切片を作り次いでヘマトキシリンとエオシンで染色した。 AdPPE−1(3x)−TK+GCV投与による、中心部の塊状壊死及び肺から転移腫瘍への単核性浸潤の多数のクラスター(図72a及び72b)に注目されたい。

図73a−73bは、誘発させたLLCの肺転移腫瘍をTUNELと抗カスパーゼ−3で染色したものの代表的な組織病理学的切片であり、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による腫瘍アポトーシスの相乗促進を示している。 図71a−72bに記載されているようにして誘発させて調製したLLCの肺転移腫瘍由来の切片を固定しパラフィン中に包埋し、次いでKlenow−FragE1(米国マチューセッツ州ケンブリッジ所在のOncogene)(図73a)及び抗カスパーゼ−3特異的免疫病理組織(73b)を使ってdeoxynucleotide transferase−mediated aUTP−nick end−labeling(TUNEL)検定法によってアポトーシスの指標を検定した。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVを静脈注射して処置したマウス由来の肺の転移腫瘍の増大したアポトーシスに注目されたい。

図74aと74bは、肺転移腫瘍をTUNEL及び抗カスパーゼ−3で染色した、誘発させたLLCの肺転移腫瘍の代表的な病理組織の切片であり、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による内皮特異的の腫瘍アポトーシスの相乗促進を示している。 図73a−73bに記載されているようにして誘発させて調製したLLCの肺転移腫瘍の切片を固定しパラフィン中に包埋し、次いでKlenow−FragE1(米国マチューセッツ州ケンブリッジ所在のOncogene)(図74a)及び抗カスパーゼ−3特異的免疫病理組織(74b)を使ってdeoxynucleotide transferase−mediated aUTP−nick end−labeling(TUNEL)検定法によってアポトーシスの指標を検定した。 黒色の矢印は赤血球を示し、赤色の矢印はアポトーシスの内皮細胞を示しそして白色の矢印はアポトーシスの腫瘍細胞を示す。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVを静脈注射して処置したマウス由来の肺の転移腫瘍の血管内皮領域の増大したアポトーシスに注目されたい。

図75a−75dは、マウスの肺癌由来の代表的な免疫病理組織の切片であり、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による、血管形成の内皮特異的相乗阻害を示している。 図73a−73bに記載されているようにして誘発させて調製したLLCの肺転移腫瘍(図75a)、肝臓(図75c)及び正常の肺組織(図75b)の切片を固定し、パラフィン中に包埋して、抗CD−31免疫蛍光法によって血管形成の指標を検定した。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウス由来の肺転移腫瘍の短くて不明瞭な血管及びその連続性と分枝が無いことに注目されたい。 図75dは、肺転移腫瘍の血管新生(血管形成)のコンピュータを利用して行った血管密度の評価結果を示すヒストグラムである(Image Pro−Plus,Media Cyberneticks Incorporated)。 左のバー:AdPPE−1(3x)−TK+GCV;右のバー:GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK。

図76は、マウスの肝臓の組織の代表的な病理組織の切片であり、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与に肝毒性がないことを示している。 図73a−73bに記載されているようにして誘発させて調製したLLCの肺転移腫瘍を有するマウスの肝臓由来の切片を固定し、パラフィン中に包埋し、次いでヘマトキシリンとエオシンで染色した。 構成的に発現されたAdCMV−TK+GCVで処置したマウス由来の肝臓の強い細胞傷害性(右側パネル)と比べて、AdPPE−1(3x)−TK+GCV(3x)で処置したマウス由来の肝臓には細胞傷害性の指標が無い(左側パネル)ことに注目されたい。

図77は、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現の器官特異的発現及びガンシクロビル(GCV)の投与を説明するRT−PCR分析の結果を示す。 LLCの肺転移腫瘍を、図73a−73bに記載されているようにして、9頭の15週齢の雄のC57BL/6マウスに誘発させて調製した。 アデノウイルスベクター[AdPPE−1(3x)−TK及びAdCMV−TK]及び生理食塩水の対照を、原発腫瘍を除いてから14日後に静脈注射した。 ベクターを注射してから6日後に、マウスを殺し、器官を収穫した。 異なる器官のRNAを下記のようにして抽出し、次いでPPE−1(3x)とHSV−TKの転写物を、PPE−1(3x)プロモーター及びHSV−TK遺伝子のプライマーを使ってRT−PCR PCRで増幅した。 PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの内皮特異的発現(中心部下のパネル)に注目されたい。

図78aと78bは、Balb/cマウスの結腸癌の腫瘍モデルの治療量以下で非毒性の照射の範囲を示すグラフである。 8週齢の雄のBalb/cマウス20頭の左大腿部にCT−26結腸癌の細胞を接種し、次いで腫瘍の直径が4−6mmになったときに、全身麻酔下で、0、5、10又は15Gyで局所照射を行なった。 腫瘍容積を利用して(76a)、腫瘍軸を、式V=π/6xα xβ(αは短軸でありβは長軸である)に従って計算した。 5Gyの線量によって、腫瘍の進行のごく部分的な統計的に有意でない遅延(図78a)及び統計的に有意でない体重減少(図78b)が起こった。

図79a−79gは、治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、マウス結腸癌の腫瘍増殖の相乗抑制効果を示す。 8週齢の雄のBalb/Cマウス100頭に、CT−26結腸癌の腫瘍細胞を接種した。 腫瘍軸が4−6mmになったとき直ちに、10 11 PFUのウイルスベクター[AdPPE−1(3x)−TK又はAdCMV−TK]を、尾の静脈に静脈注射し、続いて、指定の場所に、14日間、毎日GCVを腹腔内注射した(100mg/kg体重)。 ベクター投与後3日目、マウスに5Gyの線量で局所照射した。 腫瘍の容積を、式V=π/6xα xβ(αは短軸でありβは長軸である)に従って評価した。 図79aはベクターを注射後14日目の平均腫瘍容積±S. E. を示す。 図79bは、放射線療法で処置したグループの平均腫瘍容積の経時変化を示す。 図79cは、AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウスの平均腫瘍容積の経時変化を示す。 図79dは、AdCMV−TK+GCVで処置したマウスの平均腫瘍容積の経時変化を示す。 図79eは、対照の生理食塩水+GCVで処置したマウスの平均腫瘍容積の経時変化を示す。 図79fは、GCV無しのAdPPE−1(3x)−TKで処置したマウスの平均腫瘍容積の経時変化を示す。 図79gは、殺した日のBalb/CマウスのCT−26原発腫瘍の肉眼で見た病状の代表的例である。 放射線療法は、非標的ベクターのAdCMV−TKに比べて、血管形成内皮細胞転写標的ベクターのAdPPE−1(3x)−TKだけを有意に強化した(p=0.04)(図79c−79f)。 ウイルスベクター類による処置法はすべて、放射線療法無しでは無効であった。

図80a−80bは、治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、マウスの結腸癌の腫瘍壊死の相乗誘発を示す原発CT−26腫瘍の代表的な病理組織の切片である。 図79a−79gに記載したようにして誘発させて調製したCT−26結腸癌腫瘍の切片を固定し、パラフィン中に包埋し、次いでヘマトキシリンとエオシンで染色した。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVと低線量放射線療法の併用による壊死の領域(図80a)及び粒状化組織の領域(図80b)に注目されたい。

図81a−81bは、誘発された原発結腸癌腫瘍をTUNELと抗カスパーゼ−3で染色したものの代表的な病理組織切片であり、放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、内皮細胞と腫瘍のアポトーシスの相乗促進を示している。 図77a−77gに記載したようにして誘発させ調製したCT−26原発結腸癌腫瘍の切片を固定し、パラフィン中に包埋し、次いでKlenow−FragE1(米国マチューセッツ州ケンブリッジ所在のOncogene)(図81a)及び抗カスパーゼ−3特異的免疫病理組織(81b)を使ってdeoxynucleotide transferase−mediated aUTP−nick end−labeling(TUNEL)検定法によってアポトーシスの指標を検定した。 放射線療法及び静脈投与のAdPPE−1(3x)−TK+GCVの併用で処置したマウス由来の腫瘍の塊状アポトーシス(図81a)及びカスパーゼ−3陽性内皮細胞(81b)に注目されたい。

図82は、抗カスパーゼ−3で染色された誘発原発結腸癌腫瘍の代表的な病理組織の切片であり、放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、内皮細胞と腫瘍のアポトーシスの相乗促進効力を示している。 図79a−79gに記載したようにして誘発させ調製したCT−26原発結腸癌腫瘍の切片を固定し、パラフィン中に包埋し、次いで抗カスパーゼ−3特異的免疫病理組織によってアポトーシスの指標を検定した。 黒色の矢印は赤血球を示し、赤色の矢印はアポトーシスの内皮細胞を示しそして白色の矢印はアポトーシスの腫瘍細胞を示す。 GCV依存性のアポトーシス作用に注目されたい。

図83aと83bは、抗CD−31で染色した肝臓組織及び誘発された原発結腸癌腫瘍の代表的な病理組織の切片であり、放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用によって、腫瘍の血管新生の阻害が相乗的に促進されたことを示している。 図79a−79gに記載したようにして誘発させ調製した肝臓組織(83b)及びCT−26原発結腸癌腫瘍(83a)の切片を固定し、パラフィン中に包埋し、免疫組織病理学的試験のために内皮特異的抗CD−31と反応させた。 黒色の矢印は赤血球を示し、赤色の矢印はアポトーシスの内皮細胞を示しそして白色の矢印はアポトーシスの腫瘍細胞を示す。 肝臓細胞の正常な血管系(83b)と比べて、放射線療法及び静脈投与のAdPPE−1(3x)−TK+GCVの併用で処置したマウス由来の腫瘍の広範囲にわたる血管の破壊(83a)に注目されたい。

図84は、放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現及びガンシクロビル(GCV)の投与の組織特異的細胞傷害性を示すマウス肝臓組織の代表的な病理組織の切片である。 ベクター(AdPPE−1(3x)−TK及びAdCMV−TK)とGCVそれぞれ単独に及びその併用に暴露したマウスの肝臓由来の切片を固定し、パラフィン中に包埋し、次いでヘマトキシリンとエオシンで染色した。 AdCMV−TKとガンシクロビルによる典型的にゆるやか肝毒性(左のパネル)及びAdPPE−1(3x)−TKで処置した肝臓に血管異常の無いこと(右パネル)に注目されたい。

図85aと85bは、C57B1/6肺癌転移腫瘍モデルにおける治療線量以下の非毒性照射の範囲を示すグラフである。 8週齢で雄のC57B16マウス35頭の左足蹠にルイス肺癌(LLC)細胞を接種し、次いで全身麻酔下にて、胸壁に0、5、10又は15Gyで放射線照射を行い、8日目に原発腫瘍を除いた。 マウスは、腫瘍を除いた後28日目に殺した。 体重の減少が転移腫瘍疾患を示した。 5Gyの線量は治療線量(図85a)でも毒性線量(図85b)でもなかった。

図86a−86dは、治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、マウス肺癌の転移腫瘍疾患の相乗抑制効果を示している。 8週齢で雄のBalb/Cマウス180頭の左の足蹠にLLC細胞を接種した。 原発腫瘍が発生したとき直ちに、全身麻酔下でその足を切断した。 切断後5日目に、10 10 PFUのベクター[AdPPE−1(3x)−TK又はAdCMV−TK]を尾の静脈に注射し、続いて14日間、毎日、GCV(100mg/kg)の腹腔内注射を行った。 ベクター注射後3日目に、マウスの胸壁に対して5Gyの線量の放射線治療を一回、全身麻酔下で行なった。 図86aは放射線を照射しベクター無しで55日間にわたって処置したマウスの生存率を示す。 図86bはAdPPE−1(3x)−TKで処置したマウスの生存率を示す。 図86cはAdCMV−TKで処置したマウスの生存率を示す。 図86dは生理食塩水で処置した対照マウスの生存率を示す。 放射線療法は、非標的化ベクターAdCMV−TKに比べて、血管形成内皮細胞転写標的化ベクターAdPPE−1(3x)−TKだけを有意に強化したこと(図86b−86d)に注目されたい。 ウイルスベクターによる処置法はすべて、放射線療法なしでは無効であった。

図87a−87cは、CMVプロモーターの制御下のFas−cの内皮細胞の細胞傷害性を示す一連のヒストグラムである。 ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)に、100moi(左)、1000moi(右)及び10000moi(左下)のCMV−FAS(ダーク)又はCMV−LUC(グレイ、負の対照)を形質導入してから72時間後に及び各種濃度のヒトTNF−αリガンドを添加して24時間後、クリスタルバイオレットで染色した。 高いmoiとTNF−α濃度によって、BAC細胞の生存率が低下することに注目されたい。

図88は、CMV−LUC(赤色正方形)に比べて、CMV−FAS(青色菱形)による293細胞におけるウイルスの複製の増大した拡張を示すプラーク発生のグラフである。 CMV−FASとCMV−LUCのCsClバンドストックの力価を、下記のようにして、PFU検定法で測定した。 データは、プラーク検定の2−3日ごとに見つけたプラークの数を、logのスケールでプロットした。

図89aと89bは、CMV−ルシフェラーゼと比べて、CMV−Fas−cによるウイルス感染の細胞間の拡張(プラー−キング)の高い比率を示す293細胞培養物の一連の写真である。 感染させた後4日目に、同じ希釈率のCMV−FAS(左)及びCMV−LUC(右)由来のプラークの写真を撮った。 CMV−FAS由来のプラークはCMV−LUC由来のプラークより明らかに大きく、これは、恐らくアポトーシスによって誘発される細胞間の拡張の比率の高いことを示している。

図90は、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のFas−c及びドキソルビシンの投与の特異的相乗内皮細胞傷害性を示すヒストグラムである。 BAE細胞に、ベクター(PPE−1(3x)−FASを形質導入(10 moi)してから48時間後に、その細胞を100nMのドキソルビシンに暴露した(Dox+PPE−Fas=ドキソルビシン+PPE−1(3x)−Fas−c(オレンジ色);Dox=ドキソルビシンのみ(緑色);PPE−Fas=PPE−1(3x)−Fas(赤色);処置せず=黒色)。細胞にベクターを形質導入してから96時間後に、その細胞をクリスタルバイオレットで染色して、細胞生存率を顕微鏡で評価した。AdPPE−1(3x)−Fas−1とドキソルビシンの間の内皮細胞傷害性の有意な相乗作用に注目されたい。

図91a−91bは、エンドセリン(PPE−1 3x)の制御下のVEGFによる、遺伝子工学的に処置された組織構築物における血管形成の高い誘発を示すグラフである。 遺伝子工学的に処置された組織構築物(その手順は開示せず)を、培地にVEGFの補助あり又は無しで(50ng/ml)で増殖させた。 平行構築物を、Ad5PPEC−1−3x VEGFウイルス又は対照のAd5PPEC−1−3x GFPアデノウイルス(対照ウイルス)(4時間)に感染させた。 その構築物を、2週間培養した後、固定し、包埋し、切片を作り染色した。 血管新生を、1mm 当たりの血管の数及び血管が新生した切片の面積の百分率で示した。 図91aは、細胞にAd5PPEC−1−3x VEGFが感染すると、遺伝子工学的に加工された前記構築物に形成される血管様構造物の数と大きさに対して誘導効果があることを示している。 VEGF〜培地(VEGF培地)に暴露された構築物に比べて、Ad5PPEC−1−3x VEGFを形質導入された組織構築物(VEGFウイルス)の血管新生の両パラメータが劇的に増大する(4−5倍)ことに注目されたい。 図91bは、Ad5PPEC−1−3x GFPの対照と比べて、Ad5PPEC−1−3x VEGFが感染した細胞とともに増殖させた移植組織構築物の生存率と血管新生の程度が高いことを示すLUCルミネッセンスの強度のヒストグラムである。

図92は野生型のマウスPPE−1プロモーターのDNA配列である。 このプロモーターは、内因性内皮特異的陽性転写配列(黒色イタリック体)、NF−1応答配列(ピンク色イタリック体)、GATA−2配列(赤色イタリック体)、HIF−1応答配列(青色イタリック体)、AP−1サイト(緑色イタリック体)、CAAT信号(オレンジ色イタリック体)及びTATAボックス(紫色イタリック体)を含んでいる。

図93は、マウスの修飾されたプレプロエンドセリンプロモーターの3xフラグメントの配列である。 そのフラグメントは、二つの完全な内皮細胞特異的陽性転写配列(赤色)及び原配列の逆転された1/2として配置されている二つの部分(青色)すなわち配列番号:15(転写配列の配列番号:6の3'部分由来のヌクレオチド)及び配列番号:16(転写配列の配列番号:6の5'部分由来のヌクレオチド)を含んでいる。

図94は、トランスジェニックマウスのPPE−1(3x)プロモーターの制御下のLUC遺伝子の発現が細胞特異的にBosentanによって誘発されて増大することを示すヒストグラムである。

図95aと95bは、PPE−1(3x)プロモーターの制御下で発現される導入遺伝子に対する宿主の免疫応答が無いこと(ELISA法で測定)を示すヒストグラムである。 PPE−1(3x)Fas−cで処置されたマウスに引起こされる小さい抗TNF−R1応答(図95a)と比べて非特異的な抗アデノベクター応答(図95b)に注目されたい。

図96は、内皮細胞におけるPPE−1プロモーターの制御下でのLUC遺伝子の発現のET−B特異的増大を示すヒストグラムである。 ウシ大動脈内皮細胞は、上述のようにしてPPE−1ルシフェラーゼ構築物(pEL−8)で一過的に形質導入された。 様々な濃度のエンドセリンアンタゴニストでの一時間の後処置の後、相対的ルシフェラーゼ活性が計算された。 相対的ルシフェラーゼ活性は、β−ガラクトシダーゼ単位に対する光単位の比率として計算され、β−ガラクトシダーゼ活性は、構成的に活性なlacZ構築物の共形質導入から生じた。 値は、非処置細胞に対して示された(濃度0μM=100%)。 値は、三連の平均±S. E. を表す。 P<0.05は非処置細胞と比較された(Studentのt検定)。 BQ788でのLUC発現の用量依存的ET−1 特異的増大(灰色の棒)、及びET−1 特異的阻害剤BQ123での増大の欠如(黒色の棒)に注目されたい。

図97A及び図97Bは、二重ET−1 及びET−1 阻害剤Bosentanトランスジェニックマウスによるプレプロエンセリン合成及び分泌の増大を示すヒストグラムである。 プレプロエンドセリン−1(PPE−1)プロモーターの制御下でLUC遺伝子を発現するトランスジェニックマウスは、Bosentan(100mg/kg)で30日間処置された。 図97Aは、トランスジェニックマウスの肺から抽出されたトータルRNAのヒストグラムを示し、図97Bは、プレプロエンドセリン−1 mRNAレベル(半定量的RT−PCRによって測定された)のヒストグラムを示す。 これらの値は、β−アクチンに対して正規化され、次に任意単位でグラフとして表された。 図97Bは、対照における免疫活性エンドセリン−1(ET−1)レベル(白棒)、又はBosentan処置されたマウスにおける免疫活性エンドセリン−1(ET−1)レベル(灰色の斜線を付した棒)を示す。 結果は、対照の未処置マウスに対する5匹のマウスの平均±S. E. として表される(Studentのt検定)。

図98は、アデノウイルスベクターで形質転換された内皮細胞における組換えタンパク質発現のコルチコステロイドでの増大を示すヒストグラムである。 BAECは、10〜10 のMOIでの構成的CMVプロモーターの制御下でのLUC遺伝子を有するアデノウイルス構築物での感染に先立つ48時間にわたって、3μMのデキサメタソンにさらされた(灰色の棒)か、又はステロイドなしであった(黒色の棒)。 組換え遺伝子の発現は、細胞中のμg総タンパク質に対するルシフェラーゼの%として表される。 1000のMOIでの300%までの、すべてのMOIにおけるコルチコステロイドでの一貫した発現の増大に注目されたい。

図99は、PPE−1プロモーターの制御下での組換えタンパク質の内皮細胞中の発現のコルチコステロイドによる増大を示す蛍光顕微鏡写真である。 BAECは、AdPPE−GFPでの感染(100のMOIで48時間の間)の前にデキサメタソン(3μM)に48時間さらされた。 写真は二つの代表的ウェルについてのものであり、それぞれ対照(上)及びデキサメタソン処置BAEC(下)である。 デキサメタソン処置細胞における有意に強い緑色蛍光シグナルに注目されたい。

本発明は、内皮細胞特異的プロモーターの活性を示すポリヌクレオチド配列及びその使用法の発明である。 さらに詳しく述べると、本発明は、内皮細胞において増大した活性と特異性を示す修飾プレプロエンドセリン−1(PPE−1)プロモーター、及び特定の細胞のサブセットのアポトーシスを活性化するのに使用することができ、その結果、異常な血管新生又は細胞増殖を特徴とする疾患を治療できる核酸構築物に関する。 さらに本発明は、低酸素症及び血管形成などの生理学的症状に応答してその発現を高めるPPEプロモーターの修飾、及び新規の血管形成内皮特異的な併用療法に関する。

本発明の少なくとも一つの実施態様を詳細に説明する前に、本発明は、以下の記載において示された又は実施例に例示された詳細に、その適用が制限されないことを理解されたい。 本発明は、他の実施態様も可能であり、又は様々な方式で実行もしくは実施されうる。 又、本明細書において利用された語法及び術語は、記載の目的のためのものであり、制限的なものと見なすべきではないことも理解されたい。

不均衡な血管形成は各種症状の特徴であり、その異常状態を進行させ続けることが多い。 例えば、固形腫瘍の血管内皮細胞は、正常組織の血管内皮細胞の約35倍の速さで分裂する(Denekamp and Hobson,1982 Br.J.Cancer 46:711−20)。 このような異常な増殖は、腫瘍が増殖し転移腫瘍するのに必要である(Folkman,1986 Cancer Res.46:467−73)。 また血管内皮細胞の増殖は、リウマチ様関節炎、乾癬及び滑膜炎などの慢性炎症疾患の場合にも重要であり、これらの疾患では、これらの細胞がその炎症部位内に放出される増殖因子に応答して増殖する(Brown & Weiss,1988 Ann.Rheum.Dis.47:881−5)。 また一方では、心臓虚血、末梢血管の疾病、創傷の治癒、火傷の瘢痕などの虚血症状の場合、血管形成が誘発されると治癒作用がある(Thompson,et al.,PNAS 86:7928−7932,1998)ので、有利である。

したがって、血管形成の過程を調節又は修飾することは、根底にある疾病状態の病状の進行に対するこの過程の寄与を制限するのに重要な治療面での役割を有し、かつこのような疾患の病因を研究する価値ある手段を提供する。 最近、阻害するか又は刺激するように設計された内皮調節薬剤の開発が有意に進展した(最新の総説については、Mariani et al GenMedGen 2003,5:22参照)。 しかし、プロ血管形成及び長く連続した機能性血管の塊状形成の用途では、上記タンパク質因子を繰り返し長期間送達する必要があるので、臨床に使用するには制限がある。 さらに、血管形成調節因子の製造に伴う高コストに加えて、これら因子を有効に送達するには、カテーテルを使って冠状動脈に入れる必要があるので、さらに費用が増大しかつ治療が困難になる。

今日まで、有望な臨床試験は、Avastin(登録商標)又はBay−43906(登録商標)のような抗血管形成治療法が、腫瘍を囲む血管の新たな生成を制限することによって、転移腫瘍の進行を弱めることができることを示している。 しかし、新血管の形成を阻害し及び/又は新血管を部分的に破壊することでは、既存の新生血管のほとんど又はすべてを破壊して腫瘍の壊死を誘発する劇的な抗血管形成作用が必要な癌症状には不十分であることがある。 さらに、臨床試験で試験されたすべての抗血管形成薬剤の全身投与は、今日まで病状発現前のモデルでは有望であるが、成功率に限度があり、かつ血小板減少、白血球減少及び喀血などの注目すべき毒性があることが分かっている。 したがって、治療薬剤の内皮特異的ターゲッティングは、プロ血管形成療法及び抗血管形成療法に不可欠である。 内皮特異的プロモーターは当該技術分野で報告されており、その例としては、flk−1、Flt−1、Tie−2 VW因子及びエンドセリン−1がある(Gu et al.の米国特許第6,200,751号、Williams et al.の米国特許第5,916,763号及びHarats et al.の米国特許第5,747,340号参照。なおこれらの特許は本願に援用するものである)。 内皮特異的プロモーターの制御下で発現される治療遺伝子の内皮細胞ターゲッティングも当該技術分野で報告されている。 例えば、Jagger et al. は、KDR又はE−選択プロモーターを使って、内皮細胞内に特異的にTNFαを発現させたが[Jagger RT et al. Hum Gene Ther(1997)8(18):2239−47]、一方Ozaki et al. はフォンヴィレブランド因子(vWF)プロモーターを使って、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−tk)をHUVECに送達した[Hum Gene Ther(1996)7(13):1483−90]。 これらのプロモーターは内皮細胞特異的と考えられるが、研究結果は、これらプロモーターのうち多くのものが、内皮細胞に発現を指向させるのに非効率的であり、必要とする完全な特異性を欠いており、弱い活性しか示さず高レベルの発現をさせることができなかった。

治療に使う、より有効でかつ特異的な内皮プロモーターを構築する一方法は、組織特異的エンハンサーの配列を同定して含有させる方法である。 内皮細胞に特異的なエンハンサーの配列は、例えばBu et al. (J.Biol Chem.(1997)272(19):32613−32622)がすでに報告しており、彼等は、PPE−1のエンハンサーの配列の3コピー(配列ETE−C、ETE−D及びETE−Eを含む)が、生体外で内皮細胞特異性を有するプロモーター配列を提供することを証明した。 しかし、そのエンハンサーの配列の生体内での有用性は全く証明できなかった。

下記実施例の項で明確に例示するように、本発明の発明者らは、そのエンハンサーの配列が生体内での治療用途に適していることを証明した。 さらに、独特の修飾された3回繰返し(3x)エンハンサーの配列の一部(配列番号:7)を創製し次いで生体外及び生体内で内皮特異的遺伝子の発現を指向させるその配列の活性を評価することによって、本発明の発明者らは、新規の再配列された配向の3xエンハンサーの部分を含有する高い活性のエンハンサー配列を構築した。 この修飾されたエンハンサー配列は、血管形成にかかわる増殖性内皮細胞に対して増大した特異性及び生体内の正常な内皮細胞において無視できる程度の活性を示す。 したがって、本発明の発明者らは、最初に、再配置構成されたときに、隣接するプロモーターの配列に高い活性を与えるエンハンサー配列の部分を同定した。

したがって、本発明の一側面によって、シス調節因子を含む単離されたポリヌクレチドが提供され、このシス調節因子は、それに転写的に連結されるポリヌクレオチドの真核細胞内における転写を指向させることができる。 この単離されたポリヌクレオチドは、配列番号:16に記載の配列の少なくとも一部に共有結合された配列番号:15に記載の配列の少なくとも一部を含有している。 好ましい一実施態様では、配列番号:15に記載の配列の前記少なくとも一部は、前記シス調節因子において、配列番号:16に記載の配列の前記少なくとも一部の上流に位置している。 さらに別の好ましい実施態様では、配列番号:16に記載の配列の前記少なくとも一部は、前記シス調節因子において、配列番号:15に記載の配列の前記少なくとも一部の上流に位置している。

配列番号:15は、3'末端に追加のグアニルヌクレオチドが連結されているマウスの内皮特異的エンハンサー配列(配列番号:6)のヌクレオチドの27−44位を表すポリヌクレオチド配列であり、そして配列番号:16は、マウスの内皮特異的エンハンサー配列(配列番号:6)のヌクレオチドの1−19位を表すポリヌクレオチド配列である。

本明細書及び前掲の特許請求の範囲の用語「エンハンサー」は、好ましくは限定されないが細胞特異的な方式でプロモーターの転写活性を増大するいかなるポリヌクレオチド配列も意味する。 用語「組織特異的エンハンサー」は、本願で使用する場合、組織依存性又はコンテキスト依存性の方式でプロモーターの転写活性を増大するエンハンサーを意味する。 このような「組織特異的なエンハンサー」は、非適合の組織又は環境の中でプロモーターの転写活性を低下させ、阻害し又は封じ込めることさえあることは分かるであろう。

本発明のいくつかの実施態様によって、前記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号:15と16の少なくとも一部の隣接コピーを含んでいる。 このような配列は、好ましくは頭−尾配向で配置されているが、当該技術分野で公知の他の配向例えば逆配向(尾−尾配向又は頭−頭配向)、相補配向(「a」の「t」による置換、「t」の「a」による置換、「g」の「c」による置換、及び「c」の「g」による置換)、逆相補配向などを構築できる。 配列番号:15に記載の配列の前記少なくとも一部は、配列番号:16に記載の前記少なくとも一部に直接、共有結合させることができ、又は好ましい実施態様では、これら二つの配列は、リンカーのポリヌクレオチド配列によって連結できる。 用語「リンカーのポリヌクレオチド」は本願で使用する場合、二つ以上の隣接するポリヌクレオチド(例えば配列番号:15と16)の間に連結されるポリヌクレオチド配列を意味する。 このような好ましいリンカー配列の一つは、例えば、配列番号:7の55−57位のヌクレオチドに記載のリンカー配列であるトリヌクレオチド配列「cca」である。 他の適切なリンカー配列は、全追加エンハンサー配列、未変性又は人工の、例えば配列番号:15、配列番号:16の複数のコピー、PPE−1の1xエンハンサー配列、追加の全プロモーター、低酸素応答因子(例えば配列番号:5)などを含んでいてもよい。

用語「配列番号:15...に記載の配列の一部」又は「配列番号:16...に記載の配列の一部」は、本願で使用する場合、その指定配列中の5'末端、3'末端又はこれら末端の間の少なくとも8個の隣接ヌクレオチドを表す配列であると定義する。 したがって、例えば配列番号:15の1−17位までの1ヌクレオチドのインクレメントにおける、1−8位、1−9位、1−10位、1−11位…のヌクレオチドを表す配列は、すべて、本発明の配列番号:15の一部を構成し、同様に、配列番号:15の2−17位までの2−9位、2−10位、2−11位…のヌクレオチドを表すすべての配列;配列番号:15の3−17位までの3−10位、3−11位、3−12位…のヌクレオチドを表すすべての配列は、配列番号:15の10−17位のヌクレオチドを表す配列までを含めて本発明の配列番号:15の一部を構成している。 同様に、配列番号:16の1−19位までのヌクレオチドの1ヌクレオチドのインクレメントにおける、1−8位、1−9位、1−10位、1−11位…のヌクレオチドを表す配列は、すべて、本発明の配列番号:16の一部を構成し、2−9位、2−10位. . . のヌクレオチドを表す配列は上記のとおりである。

本発明を実施する間に、前記修飾されたエンハンサーPPE−1(3x)が、配列番号:16に記載の配列に連結された配列番号:15に記載の配列を含有し、この配列にはマウス内皮特異的エンハンサー配列(1x)(配列番号:7参照)のコピーがすぐ上流とすぐ下流に隣接していることが明らかになった。 したがって、好ましい一実施態様では、本発明のシス調節因子はさらに、配列番号:6に記載の配列の少なくとも一つのコピーを含んでいる。 さらに好ましい実施態様では、シス調節因子は、配列番号:6に記載の配列の少なくとも二つのコピーを含んでいる。 最も好ましい実施態様では、本発明のシス調節因子は配列番号:7に記載の配列である。

好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、内皮細胞特異的プロモーター配列因子をさらに含む。 この明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のため、「プロモーター」という用語は、下流の目的の配列のRNA転写を媒介することができる任意のポリヌクレオチド配列をさす。 内皮特異的プロモーター因子は、例えば、PPE−1プロモーターの少なくとも1コピーを含むことができる。 本発明の核酸構築物により利用され得る好適なプロモーター/エンハンサーの例には、内皮特異的なプロモーター、例えば、プレプロエンドセリン−1(PPE−1)プロモーター(Harats D、J Clin Invest、1995(3月)、95(3):1335〜44)、PPE−1−3xプロモーター[PCT/IL01/01059;Varda−Bloom N、Gene Ther、2001(6月)、8(11):819〜27]、TIE−1プロモーター(S79347、S79346)及びTIE−2プロモーター(U53603)[Sato TN、Proc Natl Acad Sci USA、1993(10月15日)、90(20):9355〜8]、エンドグリンプロモーター[Y11653;Rius C、Blood、1998(12月15日)、92(12):4677〜90]、フォンヴィレブランド因子[AF152417;Collins CJ、Proc Natl Acad Sci USA、1987(7月)、84(13):4393〜7]、KDR/flk−1プロモーター[X89777、X89776;Ronicke V、Circ Res、1996(8月)、79(2):277〜85]、FLT−1プロモーター[D64016、AJ224863;Morishita K、:J Biol Chem、1995(11月17日)、270(46):27948〜53]、Egr−1プロモーター[AJ245926;Sukhatme VP、Oncogene Res、1987(9月/10月)、1(4):343〜55]、E−セレクチンプロモーター[Y12462;Collins T、J Biol Chem、1991(2月5日)、266(4):2466〜73]、内皮接着分子プロモーター、例えば、ICAM−1[X84737;Horley KJ、EMBO J、1989(10月)、8(10):2889〜96]、VCAM−1[M92431;Iademarco MF、J Biol Chem、1992(8月15日)、267(23):16323〜9]、PECAM−1[AJ313330、X96849;CD31、Newman PJ、Science、1990(3月9日)、247(4947):1219〜22]、血管平滑筋特異的因子、例えば、CArGボックス X53154及び大動脈カルボキシペプチダーゼ様タンパク質(ACLP)プロモーター[AF332596;Layne MD、Circ Res、2002、90:728〜736]、そして大動脈優先的発現遺伝子−1[Yen−Hsu Chen、J. Biol. Chem. 、第276巻第50号、47658〜47663、2001年12月14日]が含まれる。 例えばEPCRプロモーター(Gu et alに対する米国特許第6200751号)及びVEGFプロモーター(Williams et alに対する米国特許出願第5916763号)のような他の好適な内皮特異的プロモーターは、当該分野において周知である。

用語「血管形成のモジュレーター」は、本願で使用する場合、組織における血管形成を阻害又は増大することができる分子又は化合物であると定義する。 かかる血管形成のモジュレーターは、血管形成の重要な標的(例えばエンドセリン受容体)のアンタゴニストの如き抗血管形成因子、又は内皮特異的プロモーター活性のアップレギュレーション又はダウンレギュレーションを生じる血管形成因子であることができる。

所望の核酸配列の各種組織中での発現を指向させるために、他の非内皮プロモーターも上記単離されたポリヌクレオチド中に組み込むことができることは分かるであろう。 本発明の構築物とともに使用するのに適したプロモーターは当該技術分野で公知である。 これらのプロモーターとしては、限定されないが、ウイルスのプロモーター(例えば、レトロウイルスITR類、LTR類、極初期ウイルスのプロモーター(IEp)(例えばヘルペスウイルスIEp(例えばICP4−IEp及びICP0−IEp)及びサイトメガロウイルス(CMV)IEp)並びにその外のウイルスプロモーター(例えば後発ウイルスプロモーター、潜伏活性プロモーター(LAP類)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター及びマウス白血病ウイルス(MLV)プロモーター)がある。他の適切なプロモーターは、エンハンサー配列類(例えばウサギβ−グロビン調節因子)、構成的に活性のプロモーター類(例えばβ−アクチンプロモーターなど)、信号特異的及び/又は組織特異的なプロモーター類(例えば誘導プロモーター及び/又は抑制プロモーター例えばTNFもしくはRU486に応答するプロモーター、メタロチオニンプロモーター、PSAプロモーターなど)並びに腫瘍特異的プロモーター例えばテロメラーゼ、プラスチン及びヘキソナーゼのプロモーターを含む真核プロモーターである。

好ましくは、前記単離されたポリヌクレオチドは、さらに低酸素応答因子、例えば配列番号:5に記載の配列の少なくとも一つのコピーを含有している。

本発明の単離された核酸配列は、真核組織、特に増殖性内皮細胞、例えば血管形成にかかわる内皮細胞における遺伝子の発現を調節するのに又は休止中の内皮細胞における遺伝子発現を沈黙させる(阻害する)のに使用できる。

したがって、本発明の単離されたポリヌクレオチド配列は、場合によっては、その単離されたポリヌクレオチドの調節制御下に配置されている核酸構築物をさらに含む核酸配列の一部として提供される。 本発明の核酸構築物は、さらに、追加のポリヌクレオチド配列、例えば選択マーカーもしくはレポーターポリペプチドをコードする配列;細菌の複製起点をコードする配列;単一mRNAからいくつものタンパク質を翻訳できる配列(IRES);プロモーター−キメラポリペプチドをコードする領域及び/又は哺乳類の発現ベクターに一般に含まれている配列をゲノム統合する配列、例えばInvitrogenから入手できるpcDNA3、pcDNA3.1(+/−)、pZeoSV2(+/−)、pSecTag2、pDisplay、pEF/mye/cyto、pCMV/myc/cyto、pCR3.1;Promegaから入手できるpCI;Stratageneから入手できるpBK−RSVとpBK−CMV;Clontechから入手できるpTRES及びこれらの誘導体などを含有していてもよい。 このような核酸構築物は、好ましくは、哺乳類の細胞の発現のために配置構成され、ウイルス起源のものでもよい。 哺乳類の発現に適切な核酸構築物の多数の例は当該技術分野ではよく知られており、以下の実施例の章で、いくつかのこのような構築物について詳細に述べる。

本明細書及び前掲の特許請求の範囲では、用語「調節制御下で配置された核酸配列…」は、RNAポリメラーゼによって転写される能力を有するポリヌクレオチド配列であって、その転写は本発明のシス調節因子のようなシス調節因子によって指向されることができるポリヌクレオチドを意味する。 この定義には、ポリペプチドに翻訳可能なコーディング配列、並びに翻訳されるように定められていないアンチセンスRNA、DNAに結合するRNA、リボザイム類及び他の分子部分が含まれている。 本発明の構築物が使用できる核酸配列の例は、例えば、VEGF、FGF−1、FGF−2、PDGF、アンギオポエチン−1とアンギオポエチン−2、TGF−β、IL−8(血管形成の調節因子の広範囲のリストについては上記表1参照)、細胞傷害性薬剤、レポーター遺伝子などの血管形成の正と負の調節因子である。 好ましい実施態様では、核酸配列は、血管形成調節因子のVEGF、p55、アンギオポエチン−1、bFGF及びPDGF−BBから選択される。 本発明のシス調節因子による制御に適している追加の転写可能な核酸配列は、以下に及び続く実施例の章で提供する。

下記実施例は、本発明の新規のシス調節因子が、生体内の全身投与により、虚血性及び/又は血管形成性の(増殖性の)内皮組織において優先的に、レポーター遺伝子(GFP及びLUC)を内皮組織に、高い信頼性で発現を指向させることができることを証明している。 さらに具体的に述べると、これら実施例はさらに、本発明の単離されたポリヌクレオチドを使って、腫瘍、転移腫瘍、虚血性及び/又は血管形成性の組織中に治療遺伝子を優先的に発現させることができることを示し、したがって本発明のシス調節因子とその誘導体が治療の用途で重要である直接的な証拠を提供している。

一実施態様では、本発明の核酸構築物を使用して、組織中の血管形成をアップレギュレートして虚血に関連する疾患又は症状を治療又は予防する。 このような疾患と症状は、血管形成が促進されることによって利益を得るが、当該技術分野でよく知られており、例えば創傷の治癒、虚血性発作、虚血性心臓病及び胃腸損傷がある。

用語「血管形成をダウンレギュレートする」は、本願で使用する場合、新血管を形成する血管形成のプロセスを減速又は停止することを意味する。 用語「血管形成をアップレギュレートする」は、休止しているか又はわずかに機能している内皮細胞血管形成活性化因子の発現を促進することを意味する。

したがって、本発明は遺伝子治療に利用できる。 用語「遺伝子治療」は、本願で使用する場合、対象の遺伝物質(例えばDNA又はRNA)を宿主中に移送して、遺伝的又は後天的な病気又は症状又は表現型を治療又は予防することを意味する。 その対象の遺伝物質は、生体内で産生されることが要望されている産物(例えばタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、機能性RNA、アンチセンスRNA)をコードしている。 例えば、対象の遺伝物質は、治療のために価値のあるホルモン、受容体、酵素、ポリペプチド又はペプチドをコードできる。 総説については、一般にテキストの「Gene Therapy」(Advanced in Pharmacology 40,Academic Press,1997)を参照されたい。

遺伝子治療は、二つの基本的な方法:(1)エクスビボ及び(2)生体内の遺伝子治療が発達してきた。 エクスビボ遺伝子治療では、細胞を患者から取り出し、培養しながら生体外で処置する。 一般に、機能性置換遺伝子が、遺伝子を送達する適切なベクター/方法(トランスフェクション、形質導入、相同組換えなど)及び必要な発現系によって細胞中に導入され、次いでその修飾された細胞を培養で増殖させて宿主/患者に戻す。 これらの遺伝的に再移植された細胞は、そのトランスフェクトされた遺伝物質をその場で発現することが分かったのである。

生体内の遺伝子治療では、標的細胞は被験者から取り出すことなく、移送すべき遺伝物質が患者内にある患者の器官の細胞に、その場で導入される。 別の実施態様では、宿主の遺伝子に欠陥がある場合、その遺伝子は、その場で修復される(Culver,1998.(Abstract)Antisense DNA & RNA based therapeutics,February 1998,Coronado,CA)。

これらの遺伝学的に変化させた細胞は、トランスフェクトされた遺伝物質をその場で発現することが分かった。

遺伝子発現ベクターは、宿主細胞中に異種核酸を送達/移送することができる。 その発現ベクターは、当該技術分野で知られているような細胞選択的方式で核酸のターゲッティング、発現及び転写を制御する配列を含んでいてもよい。 遺伝子の5'UTR及び/又は3'UTRを、発現ベクターの5'UTR及び/又は3'UTRで置換することが多いことに注目すべきである。 したがって、本発明で使用する場合、その発現ベクターは、必要な場合、移送すべき実際の遺伝子の5'UTR及び/又は3'UTRを含有せず特定のアミノ酸をコードする領域だけを含有している。

上記発現ベクターは、異種の物質の転写を制御するプロモーターを含有していてもよく、選択転写を行なえる構成的又は誘導可能なプロモーターであってもよい。 必要な転写レベルを得るために必要なことがあるエンハンサーが随意選択的に含まれていてもよい。 エンハンサーは、一般に、コーディング配列と隣接(シス型)して作用しプロモーターが命令する基本転写レベルを変える翻訳されないDNA配列である。 その発現ベクターは、以下に述べるように選択遺伝子を含有していてもよい。

ベクターは、当該技術分野で公知の各種方法のいずれか一つによって細胞又は組織に導入できる。 このような方法は広く知られていて、Sambrook et al. ,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory,New York 1989,1992,in Ausubel et al. ,Current Protocols in molecular Biology,John Wiley and sons,Baltimore,Maryland 1989;Chang et al. ,Somatic Gene Therapy,CRC Press,Ann Arbor,MI 1995;Vega et al. ,Gene Targeting,CRC Press, Ann Arbor,MI 1995,Vector:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Butterworths,Boston MA 1988;及びGilboa et al. ,Biotechniques 4 (6):504−512,1986に記載されており、例えば、組み換えウイルスベクターの安定した又は一時的なトランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション及び感染がある。 さらに、中枢神経系に関連するベクターに関する米国特許第4,866,042号及び正−負の選択法に関する米国特許第5,464,764号及び同第5,487,992号を参照されたい。

感染によって核酸を導入する方法は、列挙した他の方法を超えていくつかの利点がある。 その感染性質によって高い効率を達成できる。 さらに、ウイルスは、非常に特殊化されているので、一般に特定の細胞型内で感染し増殖する。 したがって、それらの天然の特異性を利用して、生体内又は組織もしくは細胞の混合培養物内で、ベクターに特定の細胞型をターゲットにさせることができる。 またウイルスベクターは、特定の受容体又はリガンドで修飾して、受容体依存性事象によって標的特異性を変えることもできる。

組換え配列を導入し発現するDNAウイルスのベクターの具体例は、アデノウイルス由来のベクターAdenopp53TKである。 このベクターは、正もしくは負の選択を行なうためのヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(TK)の遺伝子及び所望の組換え配列の発現カセットを発現する。 このベクターはアデノウイルスの受容体を有する細胞に感染させるために使うことができ、内皮などを起源とする大部分の癌が含有している。 同様の所望の機能を示すこのベクターなどは、細胞の混合集団を治療するのに使うことができ、例えば、ヒト被験者の細胞、組織の生体外もしくはエクスビボ培養物を含んでいてもよい。

発現を特定の細胞型に限定する特徴があってもよい。 このような特徴としては、例えば所望の細胞型に対して特異的なプロモーター及び調節因子がある。

さらに、組換えウイルスのベクターは、水平感染(lateral infection)及びターゲッティングの特異性などの利点を付与するので、所望の核酸を生体内で発現させるのに有用である。 水平感染は、例えばレトロウイルスのライフサイクルに固有なものであり、感染した単一の細胞が多数の子孫のビリオンを産生しそのビリオンが発芽分離して近傍の細胞に感染するプロセスである。 その結果、大きな領域が迅速に感染されるようになるが、その領域の大部分は当初、原ウイルス粒子に感染していなかった。 これは、感染因子が娘の子孫を通じてのみ広がる垂直型の感染と対照的である。 水平方向に広がることができないウイルスベクターも産生できる。 この特徴は、所望の目的が、限定数の標的細胞にのみ指定の遺伝子を導入することである場合に有用である。

上記のように、ウイルスは、多くの場合、宿主の防衛機序を逃れるために進化してきた非常に特殊化された感染因子である。 典型的に、ウイルスは、特定の細胞型に感染してその中で増殖する。 ウイルスベクターのターゲッティング特異性は、その天然の特異性を利用して、予め定められた細胞型を特異的に標的にして、組換え遺伝子を、感染した細胞に導入する。 本発明の方法で使用されるベクターは、標的とされる所望の細胞型によって決まり、当業者にはよく知られている。 例えば、乳癌を治療すべき場合は、このような上皮細胞に特異的なベクターが利用される。 同様に、造血系の疾患又は症状を治療すべき場合は、血球及びその前駆体に、好ましくは特定のタイプの造血細胞に、特異的なウイルスベクターが使用される。

レトロウイルスベクターは、感染粒子として機能するように又は最初の一回だけ感染を行うように構築できる。 前者の場合、ウイルスのゲノムは、新しいウイルスタンパク質とRNAを合成するため必要なすべての遺伝子、調節配列及びパッケージングシグナルを維持するように修飾される。 これらの分子が合成されると、宿主細胞は、さらに感染を行うことができる新しいウイルス粒子中にRNAをパッケージする。 またそのベクターのゲノムは、所望の組換え遺伝子をコードして発現するように遺伝子工学的に処置される。 非感染性ウイルスベクターの場合、そのベクターゲノムは、通常、RNAをウイルス粒子内に被包するのに必要なウイルスのパッケージングシグナルを破壊するように変異させる。 このようなシグナル無しでは、形成されるどの粒子もゲノムを含有していないので、次の感染段階に進めない。 特定のタイプのベクターが、目的とする用途によって決まる。 また、実際のベクターは、公知であるので当該技術分野で容易に入手可能であるか又は当業者が公知の方法を使って構築できる。

前記組換えベクターはいくつもの方法で投与できる。 例えばウイルスベクターを使う場合、その手順は、該ベクターの標的特異性を利用することができ、その結果、疾患部位に局所的に投与しなくてもよい。 しかし局所投与はより迅速でより効果的な治療を行なうことができ、投与は例えば被験者に静脈又は皮下の注射を行なうことによって実施することもできる。 ウイルスベクターの髄液中への注射も、特に神経変性疾患の場合、一投与方法として利用できる。 注射した後、そのウイルスベクターは、感染に適した標的特異性を有する宿主細胞を認識するまで循環する。

従来技術の遺伝子治療のプロトコルが遭遇する最も一般的な問題は、プロトコルの効力及び宿主のベクターに対する免疫応答が不十分であることである。 効力が不十分なのは、送られた物質が細胞中に入らない、そのゲノムに組み込まれない又は適切なレベルで発現されないことが原因である。 その上、時間の推移にわたる応答が劣っていることが多い。 これは、再投与が有利であるかもしれないが上記免疫応答によって問題になることが多いことを意味する。

このような治療の用途としては、標的組織における血管形成の促進と阻害の両方の用途がある。 本発明のシス調節因子によって指向される核酸配列の優先的発現に対する細胞応答によって、血管形成を促進する内皮細胞の増殖又は血管形成の低下と虚血をもたらす内皮細胞の増殖の阻害が起こりうる。

したがって、本発明の核酸構築物中に、発現すると細胞傷害性である核酸配列を含有させることによって、例えば腫瘍の新生血管の迅速に増殖する内皮細胞の細胞死を目的とする方法が提供される。 このようなベクターは、全身に投与できるので、転移腫瘍巣の拡張を同定し突き止める現在利用できる能力より先んじて、発達中の転移腫瘍巣の細胞死を有効に誘発するのに利用できる。

本発明の構築物とともに、癌の遺伝子治療に利用できるこのような治療用核酸配列は、変異遺伝子の活性と制御の修復を目的とする修正遺伝子治療、癌細胞に対する免疫系の感作を目的とする免疫調節遺伝子治療,及びプロドラッグもしくは毒性薬剤(自殺遺伝子治療)、プロ−アポトーシス遺伝子、抗血管形成遺伝子又は化学療法もしくは放射線療法を促進することによって癌細胞を殺すことを目的とする細胞減少遺伝子治療に分類されることが多い。 本発明のシス調節因子による修正遺伝子治療に適した核酸配列としては、限定されないが、p53遺伝子(GenBank、アクセッション番号BC018819)すなわち癌細胞中で発現が抑制される抗腫瘍性のDNA安定化遺伝子;Cip/Kip(p21、GenBank、アクセッション番号NM000389及びp27、GenBank、アクセッション番号NM004064)並びにInk4(p14、GenBank、アクセッション番号NM058197)すなわちサイクリン依存性キナーゼ阻害剤がある。 本発明のシス調節因子によって腫瘍遺伝子の機能を抑制するのに適切な核酸配列としては、限定されないが、ras、myc、erbB2及びbcl−2などの腫瘍遺伝子の転写と翻訳を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド及びこれら腫瘍遺伝子の翻訳を阻害する触媒リボザイムがある。 抗腫瘍性のアンチセンスポリヌクレオチド及びリボザイムのポリヌクレオチドの合成方法と使用法は当該技術分野ではよく知られており、例えば、Rothらの米国特許第6,627,189号、Bennetらの米国特許第6,265,216号及びCallabrettaらの米国特許第5,734,039号に詳細に記述されている。 なお、これらの文献は全体を本願に援用するものである。 抗腫瘍性の触媒リボザイムの製造法及び使用法は、例えばLeopoldらの米国特許第5,635,385号に記述されており、この文献は全体を本願に援用するものである。

本発明の別の実施態様では、本発明のシス調節因子の制御下で発現される核酸配列は、免疫調節遺伝子治療に利用され、腫瘍細胞と転移腫瘍細胞による、免疫監視の回避を防止するように設計されている。 本発明のシス調節因子とともに使用するのに適切な免疫調節因子をコードする核酸配列は、サイトカインの遺伝子、すなわち細胞傷害性T細胞が腫瘍抗原及び外因性の外来免疫源を認識することを促進する細胞内分子の遺伝子(非特異的な局所免疫反応を誘発させるため)である。 適切な免疫刺激因子としては、限定されないが、ヒトIL−2;ヒトα−、β−又はγ−インターフェロンなどのインターフェロン類;ヒトT細胞顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);ヒト腫瘍壊死因子(TNF);及びリンホトキシン(TNF−b)がある。 ヒトIL−2遺伝子は、クローン化されて配列決定されているので、例えば、pBC12/HIV/IL−2(American Type Culture Collection(「ATTC」)からアクセッション番号67618で入手できる)から0.68kBのBamHI−HinDIIIフラグメントとして得ることができる。 さらに、ヒトβインターフェロン、ヒトGM−CSF、ヒトTNF及びヒトリンホトキシンの配列は知られており入手できる。 特に、ヒトγインターフェロンの配列は知られており(Fiers et al.(1982)Philos.Trans.R.Soc.Lond.,B,Biol.Sci.299:29−38)、アクセッション番号M25460でGenBankに寄託されている。 ヒトGM−CSFの配列は知られており(Wong et al.(1985)Science 228:810−815)、アクセッション番号M10663でGenBankに寄託されている。 ヒトTNFの配列は記述されており(Wang et al.(1985) Science 228:149−154)、GenBankにアクセッション番号M10988で寄託されている。 ヒトリンホトキシン(TNF−b)の配列も刊行されており(Iris et al.(1993) Nature Genet.3:137−145)、アクセッション番号Z15026でGenBankに寄託されている。

さらに別の実施態様では、本発明のシス調節因子の制御下で発現される核酸配列は、細胞減少遺伝子治療又は直接もしくは間接に遺伝子を送達することによって標的細胞を殺す方法に利用される。 好ましい一実施態様では、核酸配列は細胞傷害性遺伝子でありその遺伝子としては限定されないが、p53及びegr−1−TNF−αなどの自殺遺伝子;ガンシクロビル/チミジンキナーゼ及び5−フルオロシトシン/シトシンデアミナーゼなどの薬物感受性療法用の細胞傷害性プロ−ドラッグ/酵素並びに5 E1Aなどの抗転移腫瘍遺伝子がある。 特異的な細胞傷害性構造物の例は、後記実施例の章で、詳細に説明する。

さらに別の実施態様では、本発明のシス調節因子の制御下で発現された核酸配列が、遺伝子ラジオアイソトープ療法に利用できる。 ノルアドレナリン受容体(NAT)を発現する細胞に放射能標識カテコールアミンI131−メタヨードベンジルグアニジンを摂取させる方法は、クロム親和性細胞腫、神経芽細胞腫、カルチノイド腫瘍及び髄様甲状腺癌に対する完成された治療法である。 あるいは、ヨウ化ナトリウムのシンポーター(symporter)(NIS)が、正常及び悪性の甲状腺細胞へのヨウ素の摂取を仲介する。 NIS遺伝子が、導入遺伝子として、生体外及び生体内のモデルで前立腺癌を抑制することが報告されている。

反対のアプローチは、例えば、アテローム性動脈硬化患者において、又は糖尿病のような疾患もしくは外傷の結果として末梢循環系の有意な障害を被った患者において、組織の血管を再生させるために使用されうる。 この場合、AdPPE−1−3X−GF型(ここで、GFは増殖因子(例えば、サイトカイン)である)の構築物、又はその修飾型(例えば、AdPPE−1−配列番号:7−GF)が、利用されうる。 このような情況において使用するのに適した増殖因子には、VEGF(GenBankアクセッション番号M95200)及びラットPDGF−BB(GenBankアクセッション番号;mus−AF162784と99%同一)、及びEGR−1(GenBankアクセッション番号M22326)、FGF(これらに制限はされないが、GenBankアクセッション番号XM003306を含む)、並びにそれらの組み合わせが含まれるが、これらに制限されない。

本発明のこの側面によれば、血管の未成熟及び血管の退行の問題(これらはVEGFの単独投与と関連していることが示されている。更なる詳細については実施例セクションの実施例27及び31を参照されたい)を回避するために一以上の血管形成因子の使用が好ましいことが認識されよう。 組合せ治療は内皮チャネル出芽及びこれに続く発生期の血管を安定化させるための平滑筋細胞の増加の第一段階を模倣することができる[Richardson DM et al. (2001)Nat. Biotechnol. 19:1029〜1034]。 本発明のこの側面による組合せ治療は、それぞれが本発明の単離された核酸の制御下にある同一の核酸構築物上で目的のポリヌクレオチドをクローニングすることによって実施されることができる。 代わりに、又は好ましくは、目的のポリヌクレオチドのそれぞれは本発明の核酸構築物中に個別にクローニングされることができ、これにより、誘導された血管形成プロセスに対する緻密な制御を可能とする。

さらに虚血組織への発現選択性を増強し、それにより選択された組織の血管を再生させるため、本発明のプロモーター配列への低酸素応答因子(例えば、配列番号:5)の組み込みも本発明と共に使用されうる。 血液供給が改良されるにつれ、虚血が軽減され、低酸素応答因子が誘導されないようになり、GFレベルが低下し、そして血管再生過程が停止する。

本発明の核酸構築物を使って行なう内皮組織の遺伝子治療によって、血管形成内皮細胞を標的にできない他の方法では達成できない一時的整合(temporal coordination)が行われることは分かるであろう。 後記実施例の章で例示されているように、本発明の新規なエンハンサー配列を含むシス調節因子(例えばPPE−1(3x))は、特に、血管が増殖している組織における組換え遺伝子の増大された発現を指向させながら、他の非血管形成組織中の組換え遺伝子の発現を防止する(実施例12、14、16、19、20、23、27、29、34及び35参照)。 本発明のシス調節因子と構築物による転写制御下での治療用遺伝子の発現は、遺伝子産物が指向される細胞プロセス(新生脈管増殖プロセス)の活性化と一致して、その有効性がより大きくなりかつ治療に必要な有効投与量を有意に減らすことができる。

したがって、本発明のシス調節因子を含む構築物を遺伝子治療に使うと、周りの正常組織に対する毒性作用を最小限にしながら、腫瘍に対する送達を最大にすることが期待できる。 このことは、後記実施例の章に例示するように、周りの組織が内皮のコンポーネントを含んでいる場合でも有意に当てはまる。 これは、実施例16で証明されているように、本発明のシス調節因子が、PPE−1プロモーターである場合でも、迅速に増殖中の内皮組織中での発現レベルを大きく増大するからである。

後記諸実施例は、特に、本発明のシス調節因子をPPE−1プロモーターに関連して使用する場合を扱っているが、本発明のエンハンサーの配列も、他の真核プロモーター配列とともに使用するとその細胞特異的作用を発揮すると予想される。

このような予想は、エンハンサーの配列が移動可能であることが多く、すなわち一プロモーターの配列からもう一つの非類縁のプロモーターに移転してしかも活性を維持できることを示す従来技術の知見に基づいている(例えば、D.Jones et al.,Dev.Biol.(1995)171(1):60−72;N.S.Yew et al.,Mol.Ther.(2001)4:75−820及びL.Wu. et al.,Gene Ther.(2001)8:1416−26参照)。 実際に、Bu et al. の初期の研究(J.Biol.Chem.(1997)272(19):32613−32622)は、本発明のエンハンサー配列に類縁のエンハンサー配列、例えば配列番号:15と16又は配列番号:6を含むエンハンサーが、構成プロモーター、例えばSV−40プロモーターとともに使用できることを強く示唆している。 したがって、本発明のエンハンサー配列を含有するように修飾された真核プロモーターを含む構築物、そのプロモーターを使用する方法及びそのプロモーターを含む単離されたポリヌクレオチドは、本発明の範囲内に十分入っている。

したがって本発明のエンハンサー配列の最小の配置構成は、配列番号:16に記載の配列の少なくとも一部に共有結合された配列番号:15に記載の配列の少なくとも一部を含む単離されたポリヌクレオチドであると推定される。 このエンハンサーは、限定されないが内皮特異的プロモーター(例えばPPE−1;配列番号:1)及び構成プロモーター例えばCMVやSV−40由来のプロモーターのようなウイルスプロモーターを含む広範囲のプロモーターとともに機能すると予想される。 このエンハンサーは、広範囲のプロモーターに内皮特異性を付与できなければならない。 このエンハンサー配列は、例えば、配列番号:6に記載の配列の一つ以上のコピーを付加することによって、増大させることができる。 これら追加の配列は、配列番号:8の配列に隣接して又は隣接せずに付加することができる。

さらに、本発明には、配列番号:16に記載の配列の少なくとも一部に共有結合された配列番号:15に記載の配列の少なくとも一部を少なくとも含有するエンハンサー配列及び対象の配列を内皮細胞に特異的に高いレベルで発現させるプロモーターに依存している構築物を利用して、対象の核酸配列の内皮細胞中での高レベルの発現を指向させる方法が含まれている。

用語「被験者の身体から取り出した細胞にエクスビボ投与し次いでその細胞を被験者の身体に再導入する」は、本願で使う場合、特に、Lyden et al. (2001) Nature Medicine 7:1194−1201に記載されているような幹細胞を使うことを含んでいる。

アデノウイルスが後記諸実施例に記載の実験に使われる場合、当業者は、本発明の構築物を他のウイルス送達系に容易に適応させることができる。

内皮細胞特異的プロモーターを含有するウイルスベクターも、他の方法と組み合わせて使用してウイルスベクターのターゲッティングを促進できる。 このような方法には、短いペプチドリガンド及び/又は二重特異性もしくは二価性の分子もしくはジアボディー(diabody)が含まれている(Nettelbeck et al.Molecular Therapy 3:882;2001)。

遺伝子治療によって組織に発現された治療用導入遺伝子に対する宿主の免疫応答は、有効な遺伝子治療のプロトコルを開発設計する際の重要問題であることは分かるであろう。 組換え導入遺伝子の産物に対する逆の免疫応答は、薬物送達の効力を妨げかつ炎症、細胞障害及び疾患をもたらすことがある。 したがって、発現された治療用組換え分子の抗原ポテンシャルは、遺伝子治療にとって非常に重要である。

本発明を実施している間に、予想外のことであったが、Ad5PPE−1(3x)核酸構築物の一部として発現されたヒトポリペプチド(TNF−R1) (実施例41、図95b)が、マウス内で抗原性を欠いており、CMVプロモーターの制御下でのFas−cキメラ遺伝子の投与に対して明確な抗TNF−R1応答があるにもかかわらず、宿主に有意な免疫応答を誘発しないこと(図95)が明らかになったのである。 したがって、本発明の単離されたポリペプチドは、本発明のシス調節因子の転写制御下、組換え導入遺伝子(又は遺伝子)を細胞内で発現させることによって行なわれる、内因的に発現された組換え導入遺伝子の単一又は複数の産物に対する宿主の免疫応答を、低下させるか又は除くのに使用される。 そのシス調節因子は、PPE−1(3x)プロモーターが好ましい。

本発明を実施している間に、驚くべきことには、血管形成内皮特異的プロモーターPPE−1(3x)が、抗血管形成療法による追加の相乗作用に応答することが分かったのである。 図94は、PPE−1(3x)の制御下のLUC受容体導入遺伝子を含む核酸構築物を有するトランスジェニックマウスの高度に血管が新生した器官(大動脈、心臓、肺、気管及び脳)においてルシフェラーゼの発現が二重エンドセリンレポーター(ETA及びETB)アンタゴニストBosentanの投与に応答して優先的に促進されることを示している。 本発明のシス調節因子の制御下で、治療用組換え遺伝子をトランスジェニック発現させることと組み合わせた抗血管形成療法のこの相乗作用は、薬物ターゲッティングと抗血管形成療法の必要投与量の減少という従来開示されたことのない可能性を示している。 一つの仮説に限定したくないが、抗血管形成療法に対する内因性組織の応答は、エンドセリンプロモーターの誘発因子を、オートクリンループを介して活性化する際、実際に、本発明の核酸構築物のエンドセリンプロモーター配列を強化すると考えられる。 したがって、一実施態様では、本発明のシス調節因子を含む構築物は、内皮特異的プロモーターの活性の内因性エンハンサーを誘発できるように選択された補助的な抗血管形成療法と併用して投与される。 当該技術分野でよく知られている抗血管形成療法としては、限定されないが、Bosentanなどのエンドセリン受容体のアンタゴニスト類、VEGF−受容体のアンタゴニスト類のアンギオスタチンとエンドステチン、及びBevacizumabとNovastなどの抗血管形成抗体がある。

さらに、内皮特異的プロモーター活性を誘導することができるかかるアジュバント療法と組合せての、本発明のシス調節因子又は内皮特異的プロモーター活性を有する他のシス調節因子を含む構築物の投与は、例えば、虚血症状の治療における血管形成活性を増大するプロ血管形成配列を含む構築物の発現を増大させるために使用されることができる。

本発明をさらに実施している間に、B型特異的エンドセリン受容体アンタゴニスト(BQ788)と共にウシ大動脈内皮細胞(BAEC)をインキュベーションすると、内皮特異的プロモーター[PPE−1(3X)]活性の増大が誘導され、一方、A型エンドセリン受容体アゴニスト(BQ123)への暴露は、エンドセリンプロモーター活性に影響を与えなかった(図96)。 PPE−1プロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを用いたさらなる実施により、BQ−788によるB型エンドセリン受容体の遮断は、増大したエンドセリン転写を生じ、循環血漿エンドセリンの増大を生じることが示された(図97A及び97B)。

従って、一実施態様では、本発明のシス調節因子を含む構築物は、アジュバント療法と組合せて投与され、アジュバント療法は、B型エンドセリン受容体を遮断する。 かかる遮断は、Bosentan;A−186086;Ro−61−6612;SB−209,670;SB−217,243;PD142,893;及びPD145,065の如き(ただし、これらに限定されない)非選択的エンドセリン受容体アンタゴニストを介して、又はA192,621;BQ788;Res 701−1及びRo 46−8443(Sigma−Aldrich,Inc.St Lonis,MO)の如き(ただし、これらに限定されない)選択的サブタイプBエンドセリン受容体アンタゴニストを介して行われることができる。

アデノウイルスベクターでの感染に対する宿主細胞の応答の減衰は、かかるビヒクル中に送達される組換えタンパク質をコードする構築物の発現を改良することができる。 最近、コルチコステロイド(デキサメタソン)の投与は、組換えアデノウイルスで感染された内皮の免疫及びアポトーシス関連障害をいくらか予防することができ(Murata,et al Arterioscler Thromb Vase Biol 2005;25:1796−803)、プロ炎症性遺伝子発現を抑制し、インビトロ及びインビボでの組換え遺伝子発現効率を最適化することが示された。 アデノウイルスにおける導入遺伝子発現のコルチコステロイド増大のこの効果は、特異的であり、いくつかの腫瘍細胞系におけるよりも内皮細胞において一層明白であることが示された。

さらに、N−アセチルシステインでの細胞の処置(Jornot et al,Journal of Genetic Medicine 2002;4:54−65)は、アデノウイルス処置された内皮細胞における導入遺伝子の発現及びウイルス侵入を増大することが最近示された。

本発明を実施している間に、コルチコステロイド処置は、アデノウイルスが媒介する一過性発現における導入遺伝子の発現を増大することが見出された。 総タンパク質1μgあたりのルシフェラーゼの割合として測定されるルシフェラーゼ発現は、構成的CMVプロモーター(Ad−CMV−LUC)の制御下でルシフェラーゼを発現するアデノウイルス構築物での感染に先立ち3μMのデキサメタソンで処置されたBAEC細胞において3倍以上増大された。 さらに、内皮特異的プロモーターPPE−1の制御下でレポーター遺伝子緑色蛍光タンパク質(GFP)を担持するアデノウイルス構築物での感染に先立ち3μMのデキサメタソンで処置されたBAEC細胞における組換え遺伝子発現は、未処置の対照と比べて大きく増大された(以下の実施例42参照)。

従って、さらなる実施態様において、本発明のシス調節因子を含むウイルス構築物は、形質導入された細胞におけるウイルス粒子のコピー数を増大するための及び/又は導入遺伝子発現を増大するための追加の化合物(単数または複数)と組合せて投与され、前記追加の化合物はコルチコステロイド(例えばデキサメタソン)及び/又はN−アセチルシステイン(NAC)である。

本発明の構築物と方法は、組織工学に使用するのに特に適している。 VEGFとPDGFは、通常血管新生を誘発するために使用されるが、これらの因子を有効に投与する方法は、まだ最適な方法になっていない。 生体外の場合は、増殖因子は増殖培地に添加される。 この方法では、比較的高い濃度が必要である。 生体内の場合は、遺伝子工学的に処置された組織構築物は迅速に血管を新生させて移植部位に血管形成を誘発する必要がある。 本発明のシス調節因子と核酸構築物を使って、生体内及びエクスビボで組織に血管を新生させて、例えば、組織工学すなわち創傷治癒などの治療に使用できる。 本発明を実施すると第一に、血管形成因子がPPE−1(3x)の調節制御下で、生体外で遺伝子工学的に処置されて血管が新生した組織中に優先的に発現されて、生体外及び生体内で遺伝子工学的に処置された組織に高度に血管が新生される。

細胞がAd5PPEC−1−3xVEGFに感染すると、遺伝子工学的に処置された構築物に形成される血管様構造の数と大きさに対して誘起効果があり、Ad5PPEC−1−3xVEGFウイルスで処置した試料の血管の数と血管面積の百分率は、VEGFを培地に加えた場合と比べて4−5倍になる(図91a)。 移植したスカフォルドベースの(scaffold−based)組織構築物の生存、分化、統合及び血管新生について、生体内試験で分析した。 Ad5PPEC−1−3xVEGFウイルスに感染した構築物は、対照の構築物に比べて、血管構造が増大することを示している。

したがって、好ましい一実施態様では、本発明の核酸構築物は、組織が天然のもの又は遺伝子工学的に処置されたものであろうとも、その組織の血管形成を調節するのに使用される。

本発明の発明者らは、ルシフェラーゼベースのイメージングシステムを使用して、Ad5PPEC−1−3xVEGFに感染させ移植された構築物が、AAV−ルシフェラーゼだけに感染させた対照の構築物より強い信号を有し、生体外でAd5PPEC−1−3xVEGFに感染させると、遺伝子工学的に処置して移植された組織構築物の生存と血管新生を改善できることを示すことを明らかにした(図91b)。 さらに、本発明のアデノウイルス構築物を形質導入された細胞を含有するこのような遺伝子工学的に処置された組織構築物は、周りの組織を細胞崩壊によって治療する組換えウイルス粒子源を構成することができる。

したがって、本発明の一側面によって、本発明の核酸構築物を含有する細胞が提供される。 本発明のさらに別の側面によって、これらの細胞は、例えば組織を遺伝子工学的に処置するため、使用されるスカフォルドを接種するのに使用される。 スカフォルドを使用して組織を遺伝子工学的に処置する方法は当該技術分野でよく知られている(例えば、米国特許第6,753,181号、同第6,652,583号、同第6,497,725号、同第6,479,064号、同第6,438,802号、同第6,376,244号、同第6,206,917号、同第6,783,776号、同第6,576,265号、同第6,521,750号、同第6,444,803号、同第6,300,127号、同第6,183,737号、同第6,110,480号、同第6,027,743号及び同第5,906,827号、並びに米国特許願第0040044403号、同第0030215945号、同第0030194802号、同第0030180268号、同第0030124099号、同第0020160510号、同第0020102727号を参照。なおこれらの特許文献は本願に援用するものであり、すべて、組織のスカフォルド上に遺伝子工学的に処置した組織を生成させることを教示している)。 適切なスカフォルドは、合成ポリマー、細胞接着分子又は細胞外マトリックスタンパク質からなることができる。

本発明で使用される細胞接着/ECMタンパク質は、どのような細胞接着及び/又は細胞外マトリックスタンパク質でもよい。 このようなタンパク質としては、限定されないが、フィブリノーゲン、コラーゲン、インテグリン(Stefanidakis M.et al.,2003;J.Biol.Chem.278:34674−84)、細胞間接着分子(ICAM)(van de Stolpe A. and van der Saag PT.1996;J.Mol.Med.74:13−33)、テネイシン、フィブリネクチン(Joshi P.et al.,1993;J.Cell Sci.106:389−400);ビメンチン、微小管結合タンパク質1D(Theodosis DT.2002;Front Neuroendocrinol.23:101−35)、ギセリン、神経突起伸展因子(NOF)(Tsukamoto Y.et al.,2001;Histol.Histopathol.16:563−71)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、細菌セルロース(BC)、ゼラチン及び/又は神経損傷誘発タンパク質2(ニンジュリン2(ninjurin2))(Araki T. and Milbrandt J.2000;J.Neurosci.20:187−95)がある。

本発明によって使用される合成ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシアパタイト(HA)、ポリグリコール酸(PGA)(Freed LE.,Biotechnology(NY),1994 Jul;12(7):689−93)、ポリ1−ラクチドで強化されたε−カプロラクトンと1−乳酸の編物[KN−PCLA](Ozawa T. et al.,2002;J.Thorac.Cardiovasc.Surg.124:1157−64)、同織布(WV−PCLA)[Ozawa,2002(前掲文献)]、連続気泡カルシウムヒドロキシアパタイトセラミックス類(IP−CHA)、ポリD,L,−乳酸−ポリエチレングリコール(PLA−PEG)(Kaito T. et al.,2005;Biomaterials.26:73−9)、不飽和ポリエステルポリ(プロピレングリコール−コ−フマル酸)(PPF)(Trantoro DJ et al.,2003;Int.J.Oral Maxillofac,Implants.18:182−8)、ポリラクチド−コ−グリコリド(PLAGA)(Lu HH, et al.,2003;J.Biomed.Mater.Res.64A(3):465−74)、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)、及び/又はポリフォスファゼン(Cohen S.et al.,1993;Clin.Mater.13(1−4):3−10)であることができる。

本発明を実施する間に、本発明の発明者らは、プロ−アポトーシス剤の組織特異的な発現と活性化を組み合わせると、非標的の組織又は細胞をこれら薬剤に暴露することなく、血管形成に関与する細胞の選択的アポトーシスを実施できるので、従来技術の治療法の特徴である毒性作用と冗長性を避けることができる。

したがって、本発明の一側面によって、被験者の組織の血管形成をダウンレギュレートする方法が提供される。 用語「血管形成をダウンレギュレートする」は本願で使用する場合、新しい血管を形成する血管形成のプロセスを遅らせるか又は停止させることを意味する。

本発明のこの側面による方法は、血管形成細胞の部分母集団に細胞傷害性を生じるように設計され配置構成された核酸構築物を被験者に投与することによって行なわれる。 用語「血管形成細胞」は、本願で使用する場合、血管形成のプロセスに参加し関与するどのような細胞も意味する。 したがって、血管形成細胞としては、限定されないが、内皮細胞、平滑筋細胞がある。

用語「細胞傷害性」は、本願で使用する場合、潜在的に不可逆に細胞死をもたらすことが最も多く、細胞の正常な代謝、機能及び/又は構造を破壊する化合物又はプロセスの能力を意味する。 本願では、「細胞傷害性分子」は、定義された条件下で、細胞傷害を起こす能力を有するか又は細胞内に細胞傷害のプロセスもしくは経路を誘発する分子と定義する。 このような細胞傷害性分子としては、限定されないが、メトトレキサート、ヌクレオシド類似体、ナイトロジェンマスタード化合物類、アントラサイクリン類などの抗代謝物;カスパーゼなどのアポトーシス誘発剤;並びに細胞傷害性薬剤をコードする遺伝子及びFas−cキメラ遺伝子などの細胞傷害プロセスの他の誘発剤がある。 細胞傷害性の薬剤と分子は、抗代謝薬剤などの他の因子とは無関係に完全に細胞傷害性であるか又は他の細胞傷害性又は非細胞傷害性の因子の相互作用によって、条件付きで細胞傷害性になることがある。 細胞傷害性生成ドメインは、細胞傷害性遺伝子のコーディング配列などの細胞傷害性を誘発又は開始できる細胞傷害性分子の部分と定義する。 細胞傷害性経路としては、特に、アポトーシスと壊死がある。

本発明の好ましい一実施態様では、細胞傷害性因子の発現は血管形成細胞の部分母集団に対して指向される。 細胞傷害性因子の特異的発現を血管形成細胞の部分母集団に対して指向させるために、本発明の核酸構築物は、例えばFas、TNFR及びTRAILなどの細胞傷害性分子のエフェクタードメインに融合された受容体チロシンキナーゼ、受容体セリンキナーゼ、受容体トレオニンキナーゼ、細胞接着分子又はホスファターゼ受容体の細胞表面受容体ドメインであることができるリガンド結合ドメインを含むキメラポリペプチドをコードする第一ポリヌクレオチド領域を含んでいる。

このようなキメラポリペプチドは、そのリガンド結合ドメインの活性化(すなわちリガンドの結合による)が、細胞傷害性分子のエフェクタードメインを通じて細胞傷害性をトリガーする限り、任意の細胞傷害性ドメインに融合した任意のリガンド結合ドメインを含むことができる。

リガンド結合ドメイン及びこれに融合される細胞傷害発生ドメインは、アポトーシスを起こすため標的とされる血管形成細胞のタイプに影響される。 例えば、内皮細胞の特定のサブセット(例えば増殖中の内皮細胞又は腫瘍状表現型を示す内皮細胞)を標的とする場合、前記キメラポリペプチドは、このような内皮細胞の環境内に自然に存在し、好ましくは他の非標的の組織の内皮細胞には存在しないリガンド(TNF、VEGF)に結合できるリガンド結合ドメインを含んでいる。 このようなリガンドは、内皮細胞によって分泌され(オートクリン)、近傍の腫瘍細胞によって分泌され(パラクリン)又はこれらの内皮細胞を特異的に標的にする。

適切なキメラポリペプチドの例は先に述べているが、続く実施例の章の実施例7及び33−36に記載されている。 キメラポリペプチドは、好ましくは、後記実施例の章の実施例7−9に詳細に記載されているFas−cキメラ又は実施例33−36に記載のHSV−TK遺伝子である。 Fas−cキメラの発現は、Fas−デス経路のFADD媒介活性化によってアポトーシスを誘発することが分かった。 HSV−TK導入遺伝子が発現すると、ガンシクロビル及びアシクロビルなどの薬剤に対する形質導入された細胞の感受性が亢進して、アポトーシス及び壊死による細胞死を起こす。

後記実施例の章で示されているように、このようなキメラポリペプチドは、特定のサブセットの血管形成細胞の細胞障害性を有効かつ強く活性化しながら、細胞死を目的としない他のサブセットの細胞の細胞障害性の活性化を回避できるので、これらポリペプチドを使用することは特に有利である。

後記実施例の章の実施例33−38に例示したように、PPE−1(3x)プロモーター配列の転写制御下のHSV−TK遺伝子を含む本発明の核酸構築物の生体外及び生体内の投与はともに、高いガンシクロビル依存性の内皮細胞の細胞傷害を起こした。 細胞傷害は、血管形成内皮細胞に限定されて、腫瘍及び転移腫瘍に選択的なアポトーシス細胞死と細胞壊死を起こした。

したがって、本発明の核酸構築物は、プロドラッグを毒性化合物に変換できる自殺遺伝子を送達するのに使用できる。 好ましい一実施態様では、核酸構築物は、このような自殺遺伝子をコードする第一ポリヌクレオチド領域及び血管形成細胞中に自殺遺伝子の発現を指向させることのできるシス調節因子をコードする第二ポリヌクレオチド領域を含んでいる。

本発明の構築物及び方法において、治療用の核酸配列すなわち「自殺遺伝子」は、それ自体で又は他の化合物の存在下で細胞死を起こす産物をコードする核酸である。 上記構築物は、自殺構築物の一例だけを示しているに過ぎないことは分かるであろう。 追加の例は、水痘帯状疱疹ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ、及び5−フルオロシトシンを高毒性化合物の5−フルオロウラシルに変換できる細菌遺伝子シトシンデアミナーゼである。

用語「プロドラッグ」は、本願で使用する場合、毒性産物すなわち腫瘍細胞に対して毒性の産物に変換できる、本発明の方法に有用な化合物を意味する。 このプロドラッグは、本発明の方法に有用なベクター中の治療用核酸配列(自殺遺伝子)の遺伝子産物によって毒性産物に変換される。 このようなプロドラッグの代表的な例は、生体内で、HSV−チミジンキナーゼによって毒性化合物に変換されるガンシクロビルである。 ガンシクロビルの誘導体も腫瘍細胞に対して毒性である。 プロドラッグのその他の代表的な例としては、アシクロビル、FIAU[1−(2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)−5−ヨードウラシル]、VZV−TK向け6−メトキシプリンアラビノシド及びシトシンデアミナーゼ向け5−フルオロシトシンがある。 好ましい自殺遺伝子/プロドラッグの併用は、細菌シトシンデアミナーゼと5−フルオロシトシンもしくはその誘導体との併用並びにHSV−TKとガンシクロビル、アシクロビル、FIAUもしくはその誘導体との併用である。 自殺遺伝子/プロドラッグ構築物の製造法と使用法は、Woo et al. の米国特許第6,066,624号と後記実施例の章に詳細に記載されている。

好ましい一実施態様では、シス調節因子は、内皮又は外皮に特異的なプロモーターである。 条件付きでアデノウイルスのベクターを複製することによる細胞の形質導入は、標的細胞の崩壊及びウイルス感染の拡大を行なうのに有意に一層有効であるので、核酸構築物は、好ましくは、条件付きで複製するアデノウイルスを含んでいる。 本発明のこのようなCRAD構築物は、後記実施例の章に詳細に記載されている。

好ましくは、本発明の核酸構築物は、例えば、全身投与経路又は経口、直腸経由、粘膜経由(特に鼻腔経由)、腸経由もしくは非経口経路によって、被験者に投与される。 全身投与法としては、筋肉内、皮下及び髄内の注射並びに髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、眼内の注射又は腫瘍内注射がある。

被験者は、好ましくは哺乳類であり、より好ましくはヒトであり、最も好ましくは特徴的な腫瘍増殖、増殖性糖尿病網膜症、関節炎などの過剰な又は異常な血管新生を特徴とする疾患に冒されているヒトである。

本発明の核酸構築物は、それ自体又は医薬組成物の一部(有効成分)として投与できる。

従来技術は、裸の又は担体を加えたポリヌクレオチドを多種類の細胞型に効率的に送達するのに使用できる多種類の送達戦略を教示している(例えば、Luft(1998)J Mol Med 76(2):75−6;Kronenwett et al.(1998) Blood 91(3):852−62;Rajur et al.(1997)Bioconjug Chem 8(6):935−40;Lavigne et al.(1997) Biochem Biophys Res Commun 237(3):566−71及びAoki et al.(1997) Biochem Biophys Res Commun 231(3):540−5参照)。

本明細書において使用されるように、「医薬組成物(薬学的組成物)」とは、本明細書に記載された活性成分1個以上の、生理学的に適当な担体及び賦形剤のような他の化学成分との調製物をさす。 医薬組成物の目的は、化合物の生物への投与を容易にすることである。

以後、交換可能に使用されうる「生理学的に許容できる担体」及び「医薬的(薬学的)に許容できる担体」という語句は、生物に対する有意な刺激を引き起こさず、かつ投与された化合物の生物学的活性及び特性を消滅させない担体又は希釈剤をさす。 補助剤は、これらの語句に含まれる。

本明細書において、「賦形剤」という用語は、活性成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質をさす。 賦形剤の例には、これらに制限はされないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖及び型のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、並びにポリエチレングリコールが含まれる。

薬物の製剤化及び投与のための技術は、参照により本明細書に組み込まれる“Remington's Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co. ,Easton,ペンシルベニア州、の最新版に見出されうる。

好適な投与経路には、例えば、経口送達、直腸送達、経粘膜送達(特に経鼻送達)、経腸送達又は非経口送達(筋肉内注射、皮下注射及び髄質内注射、ならびにくも膜下注射、直接的な心室(脳室)内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻内注射、眼内注射を含む)が含まれ得る。

あるいは、医薬組成物は、全身的な様式ではなく、局所的な様式で、例えば、医薬組成物を患者の組織領域内に直接的に注射することによって投与することができる。 本発明に関連して、腫瘍組織内への直接的な投与は、局所的な投与の関連する一例である。

本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られている様々なプロセスによって、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣剤作製、研和、乳化、カプセル化、包括化又は凍結乾燥の従来のプロセスによって製造することができる。

本発明に従って使用される医薬組成物は、従って、医薬的に使用され得る調製物への有効成分の加工を容易にする、賦形剤及び補助剤を含む1つ以上の生理学的に許容できる担体を使用して従来の様式で配合することができる。 適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。

注射の場合、医薬組成物の有効成分は、水溶液中に、好ましくは、ハンクス溶液、リンゲル溶液又は生理食塩水などの生理学的に適合し得る緩衝液中に配合することができる。 経粘膜投与の場合、透過させられるバリアに対して適切な浸透剤が配合において使用される。 そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。

経口投与の場合、医薬組成物は、活性な化合物をこの分野で広く知られている医薬的に許容できる担体と組み合わせることによって容易に配合することができる。 そのような担体は、医薬組成物を、患者によって経口摂取される錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤、懸濁物などとして配合することを可能にする。 経口使用される薬理学的調製物は、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、そして錠剤又は糖衣錠コアを得るために、所望する場合には好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製することができる。 好適な賦形剤には、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容できるポリマーがある。 所望する場合には、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。

糖衣錠コアには、様々な好適なコーティングが施される。 この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液及び好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含有し得る。 色素又は顔料が、活性な化合物の量を明らかにするために、又は活性な化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤又は糖衣錠コーティングに添加され得る。

経口使用され得る医薬組成物には、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびにゼラチン及び可塑剤(グリセロール又はソルビトールなど)から作製された軟いシールされたカプセルが含まれる。 プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(ラクトースなど)、結合剤(デンプンなど)、滑剤(タルク又はステアリン酸マグネシウムなど)及び場合により安定化剤と混合された有効成分を含有し得る。 軟カプセルでは、有効成分を好適な液体(脂肪油、流動パラフィン又は液状のポリエチレングリコールなど)に溶解又は懸濁させることができる。 さらに、安定化剤を加えることができる。 経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路について好適な投薬形態でなければならない。

口内投与の場合、組成物は、従来の様式で配合された錠剤又はトローチの形態を取ることができる。

鼻腔吸入による投与の場合、本発明に従って使用される有効成分は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン又は二酸化炭素)の使用により加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達される。 加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位は、計量された量を送達するためのバルブを備えることによって決定することができる。 ディスペンサーにおいて使用される、例えば、ゼラチン製のカプセル及びカートリッジであって、化合物と好適な粉末基剤(ラクトース又はデンプンなど)との粉末混合物を含有するカプセル及びカートリッジを配合することができる。

本明細書中に記載される医薬組成物は、例えば、ボーラス注射又は連続注入による非経口投与のために配合することができる。 注射用配合物は、場合により保存剤が添加された、例えば、アンプル又は多回用量容器における単位投薬形態で提供され得る。 組成物は、油性ビヒクル又は水性ビヒクルにおける懸濁物又は溶液剤又はエマルションにすることができ、そして懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散化剤などの配合剤を含有することができる。

非経口投与される医薬組成物には、水溶性形態での活性な調製物の水溶液が含まれる。 さらに、有効成分の懸濁物は適切な油性注射用懸濁物又は水性注射用懸濁物として調製することができる。 好適な親油性の溶媒又はビヒクルには、脂肪油(ゴマ油など)、又は合成脂肪酸エステル(オレイン酸エチルなど)、トリグリセリド又はリポソームが含まれる。 水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール又はデキストランなどを含有することができる。 場合により、懸濁物はまた、高濃度溶液の調製を可能にするために有効成分の溶解性を増大させる好適な安定化剤又は作用剤を含有することができる。

あるいは、有効成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、パイロジェン非含有水に基づく滅菌された溶液)を用いて構成される粉末形態にすることができる。

本発明の医薬組成物はまた、例えば、カカオバター又は他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を使用して、坐薬又は停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合することができる。

本発明に関連して使用される好適な医薬組成物には、有効成分が、意図された目的を達成するために効果的な量で含有される組成物が含まれる。 より詳細には、治療効果的な量は、処置されている被験者の障害の症状(例えば、骨量の進行性喪失)を防止もしくは緩和もしくは改善するために、又は処置されている被験者の生存を延ばすために効果的な有効成分(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)の量を意味する。

治療効果的な量の決定は、特に、本明細書中に示される詳しい開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。

本発明の方法において使用される任意の調製物について、治療効果的な量又は用量はインビトロアッセイ及び細胞培養アッセイから最初に推定することができる。 例えば、用量は、所望される濃度又は力価を達成するために、骨化石症のネズミSrc欠損モデル(Boyce et al.(1992)、J.Clin.Invest.、90、1622〜1627;Lowe et al.(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90、4485〜4489;Soriano et al.(1991)、Cell、64、693〜702)などの動物モデルにおいて定めることができる。 そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。

本明細書中に記載される有効成分の毒性、細胞傷害性、及び治療効力は、細胞培養又は実験動物におけるインビトロでの標準的な薬学的手法によって決定することができる。 これらのインビトロアッセイ及び細胞培養アッセイならびに動物研究から得られたデータは、ヒトにおいて使用される投薬量範囲を決定する際に使用することができる。 投薬量は、用いられる投薬物形態及び使用される投与経路に依存して変化し得る。 正確な配合、投与経路及び投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選ぶことができる(例えば、Fingl et al.、1975年、The Pharmacological Basis of Therapeutics、第1章、1頁を参照のこと)。

投薬量及び投薬間隔は、腫瘍の進行を遅らせるために十分である有効成分のレベル(最小有効濃度、MEC)に合わせて個々に調節することができる。 MECはそれぞれの調製物について変化するが、インビトロでのデータから推定することができる。 MECを達成するために必要な投薬量は個体の特性及び投与経路に依存する。 検出アッセイを使用して、血漿中濃度を測定することができる。

処置される状態の重篤度及び応答性に依存して、投薬は単回又は多数回の投与で行うことができ、この場合、処置クールは、数日から、数週間まで、又は疾患状態の縮小が達成されるまで続く。

投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている被験者、苦痛の重篤度、投与様式、処方医の判断などに依存する。

本発明の組成物および組成物の組合せは、所望する場合には、有効成分を含有する1つ以上の単位投薬形態物を含有し得る、FDA承認キットなどのパック又はディスペンサーデバイスのような製造物で提供されることができる。 パッケージ物は、例えば、金属箔又はプラスチック箔を含むことができる(ブリスターパッケージ物など)。 パッケージ物又はディスペンサーデバイスには、投与に関する説明書が伴い得る。 パッケージ物又はディスペンサーにはまた、医薬品の製造又は使用又は販売を規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴い得る。 この場合、そのような通知は、組成物の形態又はヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。 そのような通知は、例えば、処方薬物に対する米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、又は承認された製品添付文書であり得る。 適合し得る薬学的担体に配合された本発明の調製物を含む組成物はまた、上記にさらに詳しく記載されているかのように、示された状態を処置するために、調製され、適切な容器に入れられ、表示され得る。 適合し得る薬学的担体に配合された本発明のペプチドを含む組成物はまた、示された状態を治療又は予防するために、又は望ましい事象を示すために、調製され、適切な容器に入れられ、表示され得る。 ラベル上の好適な表示は、血管形成に関連する疾患又は症状、過剰の血管新生に関連する疾患又は症状の治療及び/又は予防、腫瘍形成又は増殖の治療及び/又は予防、虚血に関連する疾患又は症状の治療及び/又は予防、血管形成のダウンレギュレーション、癌、転移性腫瘍疾患、リウマチ様関節炎及び乾癬の如き過敏感疾患の治療及び/又は予防、及び創傷の治癒などを含むことができる。

本発明の医薬組成物は、細胞による核酸構築物の取り込み、核酸構築物によりコードされるキメラなポリペプチド又は自殺遺伝子の細胞における発現、又は発現したキメラなポリペプチド又は自殺遺伝子産物の活性を改善し得る任意のさらなる成分をさらに含むことができる。 一実施態様において、さらなる成分は、以下の実施例の欄で示されているように、コルチコステロイド及び/又はN−アセチル−システインの如きアデノウイルスのコピー数を増大することができるか又は血管形成調節因子の発現を増大させることができる化合物であることができるか、及び/又は、エンドセリン受容体アンタゴニスト、特にB型特異的エンドセリン受容体アンタゴニストであることができる。

例えば、EC細胞内へのアデノウイルスベクターの取り込みを、操作された抗体又は小ペプチドでベクターを処置することによって高めることができる。 そのような「アデノボディー(adenobody)処置は、アデノウイルス構築物を細胞表面のEGF受容体に指向させることにおいて効果的であることが示されていた(Watkins et al.、1997、Gene Therapy、4:1004〜1012)。さらに、Nicklin et al.は、ファージディスプレーにより単離された小ペプチドが、内皮細胞におけるベクターの特異性及び効率を増大させ、そして培養において肝臓細胞における発現を低下させたことを示している(Nicklin et al.、2000、Circulation、102:231〜237)。最近の研究では、FGF再標的化アデノウイルスベクターはマウスにおいてtkの毒性を低下させた(Printz et al.、2000、Human Gene Therapy、11:191〜204)。

低線量の放射線は、主としてG2/M相のDNAストランドを切断し、細胞膜の損傷が巻添え作用を促進するので、放射線療法を併用すると、他の細胞傷害性−抗血管新生療法の効果を高めることができる。 低線量の放射線は、毛細血管の内皮細胞のアポトーシス系を特異的に標的とすることが実証されているので(Kolesnick et al.,Oncogene 2003;22:5897−906)、血管の内皮細胞はこのような併用療法に特に適しているであろう。 アンギオスタチンは、低線量放射線の治療効果を高めることが示されている(Gorski et al.,Can Res1998;58:5686−89)。 しかし、放射線照射は、プロ血管形成性の「組織修復因子」を増大することも示されているので(Itasaka et al.,Am Assoc Canc Res,2003;abstract 115)、放射線の作用はまだ十分に分かっていない。 同様に、特定の化学療法剤が特定の細胞傷害性及びアポトーシスの経路を活性化することが分かっている[ドキソルビシン、シスプラチン及びマイトマイシンCは、Fas受容体、FADD及び他のプロ血管形成のシグナルのFADD/MORT−1経路への蓄積を誘発する(Micheau et al.,BBRC 1999 256:603−07)]。 本発明を実施している間、予想外のことであったが、低線量放射線による治療が、PPE−1(3x)の制御下にあるTKを含む核酸構築物及びガンシクロビルの投与の抗腫瘍及び抗転移腫瘍の効果に対して明確な相乗作用があることが明らかになったのである(実施例35と36、図79−86)。 このような低線量の放射線照射がTKの発現と治療効果を活性化することができ、ドキソルビシンの化学療法の効果を特異的に高めることができることが実証され、かつFADD/MORT−1アポトーシス経路を活性化すること(Kim et al.JBC 2002;277:38855−62)が知られているので、上記のことは、本発明にとって特に重要である。

このような併用療法の効力のさらなる証拠は実施例37に記載されており、その実施例は、内皮細胞(BAEC)におけるドキソルビシンとAdPPE−1(3x)−Fas−cキメラ構築物の投与の併用の相乗効果を示している(図91)。 したがって、本発明の核酸構築物及びこれを含有する医薬組成物は、迷入性の血管形成に関連する疾患又は症状を、単独で又はこれら障害の確立された又は実験的な治療法の1種以上と組み合わせて使用して治療することができる。 本発明の核酸構築物又はこれをコードするポリヌクレオチドを併用することに適した癌治療法としては、限定されないが、化学療法、放射線療法、光線療法と光力学療法、外科療法、栄養療法、切除療法、放射線療法と化学療法の併用療法、小線源療法、陽子線療法、免疫療法、細胞療法及び光子線放射線手術法がある。

本発明の化合物と同時に投与できる抗癌薬剤としては限定されないが以下のものがある。 すなわち、Acivicin;アクラルビシン;Acodazole hydrochloride;Acronine;アドリアマイシン;Adozelesin;Aldesleukin;Altretamine;Ambomycin;Ametantrone Acetate;アミノグルテチミド;Amsacrine;Anastrozole;Anthramycin;アスパラギナーゼ;Asperlin;Azacitidine;Azetepa;Azotomycin;Batimastat;Benzodepa;Bicalutamide;Bisantrene Hydrochloride;Bisanfide Dimesylate;Bizelesin;硫酸ブレオマイシン;Brequinar Sodium;Bropirimine;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;Caracemide;Carbetimer;カルボプラチン;カルムスチン;Carubicin Hydrochloride;Carzelesin;Cedefingol;Chlorambucil;Cirolemycin;シスプラチン;Cladribine;Crisnatol Methylate;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;Decitabine;Dexormaplatin;Dezaguanine; Dezaguanine Mesylate;Diaziquone;Docetaxel;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;Droloxifene;Droloxifene Citrate;プロピオン酸ドロモスタノロン;Duazomycin;Edatrexate;塩酸エフロルニチン;Elsamitrucin;Enloplatin;Enpromate;Epipropidine;Epirubicin Hydrochloride;Erbulozole;Esorubicin Hydrochloride;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;Etanidazole;エトポシド;リン酸エトポシド;Etoprine;Fadrozole Hydrochloride;Fazarabine;Fenretinide;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;Flurocitabine;Fosquidone;Fostriecin Sodium;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;Ifosfamide;Ilmofosine;インターフェロンα−2a; インターフェロンα−2b、インターフェロンα−n1; インターフェロンα−n3; インターフェロンβ−Ia; インターフェロンγ−Ib;Iproplatin;Irinotecan Hydrochloride;Lanreotide Acetate;Letrozole;酢酸ロイプロリド;Liarozole Hydrochloride;Lometrexol Sodium;ロムスチン;Losoxantrone Hydrochloride;Masoprocol;Maytansine;塩酸メクロールエタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストール;メルファラン;Menogaril;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;Metoprine;Meturedepa;Mitindomide;Mitocarcin;Mitocromin;Mitogillin;Mitomalcin;マイトマイシン;Mitosper;マイトテイン;塩酸ミトザントロン;Mycophenolic Acid;Nocodazole;Nogalamycin;Ormaplatin;Oxisuran;パクリタキセル;Pegaspargase;peliomycin;Pentamustine;硫酸ペプロマイシン;Perfosfamide;ピポブロマン;ピポスルファン;Piroxantrone Hydrochloride;Plicamycin;Plomestane;Porfimer Sodium;Porfiromycin;prednimustine;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;Pyrazofurin;Riboprine;Rogletimide;Safingol; Safingol Hydrochloride;セムスチン;Simtrazene;Sparfosate Sodium;Sparsomycin;Spirogermanium Hydrochloride;Spiromustine;Spiroplatin;Streptonigrin;ストレプトゾシン;Sulofenur;Talisomycin;タキソール;Tecogalan Sodium;テガフール;Teloxantrone Hydrochloride;Temoporfin;Teniposide;Teroxirone;テストラクトン;Thiamiprine;チオグアニン;チオテパ;Tiazofuirin;Tirapazamine;塩酸トポテカン;Toremifene Citrate;Trestolone Acetate;Triciribine Phosphate;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;Triptorelin;Tubulozole hydrochlodide;ウラシルマスタード;Uredepa;Vapreotide;Verteporfin;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;Vinepidine Sulfate;Vinglycinate Sulfate;Vinleurosine Sulfate;Vinorelbine Tartrate;Vinrosidine Sulfate;Vinzolidine Sulfate;Vorozole;Zeniplatin;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンがある。 追加の抗新生物の薬剤としては、Goodman and Gilman's「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Eighth Edition,1990,McGraw−Hill,Inc. (Health Professions Division)の1202−1263頁のChapter 52,Antineoplastic Agents(Paul Calabresi and Bruce A.Chabner)及びその緒言に開示されている薬剤がある。

リガンド又は細胞傷害性プロドラッグにさらされている細胞の標的化が好ましいが、本発明では、リガンド又は細胞傷害性プロドラッグにさらされていない細胞又はリガンドによる影響を生来的に受けない細胞における本発明の核酸構築物の発現もまた考えられることが理解される。 そのような場合、本発明の方法は、形質転換された細胞にそのようなリガンド又はプロドラッグを投与する工程を含む。 そのような投与は、上記に記載された投与方法のいずれかを使用して行うことができる。 好ましくは、細胞傷害性の活性化が非常に特異的であるように、リガンド又はプロドラッグは、例えば、抗体のコンジュゲートされた標的化を使用して、細胞が標的化される様式で投与される。 細胞傷害性又はアポトーシス活性化のこの方法は、より詳しくは下記の実施例の節に記載される。

従って、本発明は、過度又は異常な血管形成を特徴とする組織領域における血管形成をダウンレギュレーションするための核酸構築物、そのような構築物を含む医薬組成物、及びそのような構築物の利用方法を提供する。

本発明は特定の細胞サブセットにおける標的化された発現を可能にするので、本発明はまた、様々な腫瘍を処置するために改変し、使用することができる。

従って、本発明の別の局面により、腫瘍の処置方法が提供される。

本発明のこの局面による方法は、上記に記載されたキメラなポリペプチド又は自殺遺伝子を腫瘍細胞において発現させることによって行われる。

従って、本発明のこの局面により、ポリペプチドキメラ又は自殺遺伝子の発現が、ガストリン放出ペプチド(GRP)プロモーター[AF293321S3;Morimoto E、Anticancer Res、2001(1月/2月)、21(1A):329〜31]、hTERTプロモーター[AH007699;Gu J、Gene Ther、2002(1月)、9(1):30〜7]、II型ヘキソキナーゼプロモーター[AF148512;Katabi MM、Hum Gene Ther、1999(1月20日)、10(2):155〜64]、又はL−プラスチンプロモーター[L05490、AH002870、MMU82611;Peng XY、Cancer Res、2001(6月1日)、61(11):4405〜13](これらに限定されない)などの腫瘍特異的な因子によって指向される。

腫瘍細胞におけるポリペプチドキメラ(例えば、Fas−c)又は自殺遺伝子の発現は、これらの細胞における細胞傷害性及び/又はアポトーシスを活性化し、従って、細胞死を生じさせ、これにより、その後、腫瘍増殖の鈍化又は停止、そしておそらくは腫瘍の収縮がもたらされる。

本発明のさらなる目的、利点、及び新規な特徴は、制限を目的とするものではない以下の実施例を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。 さらに、上記において概説され、下記の特許請求の範囲のセクションに記載されたような本発明の様々な実施態様及び面は、各々、以下の実施例において実験的に支持される。

以下、前記の記載と共に非制限的に本発明を例示する実施例が、参照される。

一般的に、本明細書において使用された命名法、及び本発明において活用された実験手法には、分子的技術、生化学的技術、微生物学的技術、及び組換えDNA技術が含まれる。 そのような技術は、文献に徹底的に説明されている。 例えば、“Molecular Cloning:A laboratory Manual”Sambrook et al、(1989);“Current Protocols in Molecular Biology” 第I〜III巻 Ausubel,R. M. 編(1994);Ausubel et al、“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989);Perbal,“A Practical Guide to Molecular Cloning”,John Wiley & Sons,New York(1988);Watson et al、“Recombinant DNA”,Scientific American Books,New York;Birrenら編 “Genome Analysis:A Laboratory Manual Series”,第1〜4巻,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998);米国特許第4666828号;第4683202号;第4801531号;第5192659号、及び第5272057号に示された方法論;“Cell Biology:A Laboratory Handbook”,第I〜III巻 Cellis,J. E. 編(1994);“Current Protocols in Immunology”第I〜III巻 Coligan J. E. 編(1994);Stitesら(編),“Basic and Clinical Immunology”(第8版),Appleton & Lange,Norwalk,コネチカット州(1994);Mishell及びShiigi(編),“Selected Methods in Cellular Immunology”,W. H. Freeman and Co. ,New York(1980)を参照のこと。 利用可能なイムノアッセイは、特許及び科学文献に広範に記載されており、例えば、米国特許第3791932号;第3839153号;第3850752号;第3850578号;第3853987号;第3867517号;第3879262号;第3901654号;第3935074号;第3984533号;第3996345号;第4034074号;第4098876号;第4879219号;第5011771号、及び第5281521号;“Oligonucleotide Synthesis”Gait,M. J. 編(1984);“Nucleic Acid Hybridization”Hames,B. D. 及びHiggins S. J. 編(1985);“Transcription and Translation”Hames,B. D. 及びHiggins S. J. 編(1984);“Animal Cell Culture”Freshney,R. I. 編(1986);“Immobilized Cells and Enzymes”IRL Press,(1986);“A Practical Guide to Molecular Cloning”Perbal,B. ,(1984)及び“Methods in Enzymology”第1〜317巻,Academic Press;“PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications”,Academic Press,San Diego,CA(1990);Marshak et al、“Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual”CSHL Press(1996)を参照のこと(これらは全て、本明細書に完全に示されているかのごとく参照により組み込まれる)。 その他の一般的な参照が、この書類のいたるところに提供されている。 それらに含まれる手法は、当分野において周知であると考えられ、読者の便利のために提供されている。 それらに含まれている情報は全て、参照により本明細書に組み込まれる。

特に、下記の実施例と併せて行われた実験は、以下の方法及び材料を利用した。

材料及び方法細胞培養 ルイス肺癌(D122−96)細胞、ヒト胎児腎細胞(293)、及びHeLa細胞は、10%ウシ胎仔血清(FCS)、50U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン、及び2mMグルタミンが補足された4.5gr/l DMEM(Biological industries,Beit−Haemek,Israel)の中で増殖させた。 ウシ大動脈内皮細胞BAEC、正常皮膚繊維芽細胞NSF、HepG2、及びヒト内皮臍内皮細胞HUVEC−304(ATCC,USA)は、5%FCS、50U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン、及び2mMグルタミンが補足された1.0gr/l DMEM(Biological industries,Beit−Haemek、イスラエル)の中で増殖させた。 BAEC細胞には、完全繊維芽細胞増殖因子(Sigma,St.Louis.ミズーリ州)を補足した。 RINr1046−38(RIN−38)は、5%FCS(Biological Industries,Beit−Haemek,Israel)、50U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン、及び2mMグルタミンが補足された199アール(Earle's)塩(5.5mMグルコース)培地の中で増殖させた。

「HepG2」とは、本明細書において使用されるように、ATCC−HB−8065をさす。

「HeLa」とは、本明細書において使用されるように、ATCC−CCL−2をさす。

「ヒト気管支上皮細胞」及び「B2B」とは、本明細書において使用されるように、ATCC−CRL−9609をさす。

「HUVEC」及び「ヒト臍静脈内皮細胞」とは、本明細書において使用されるように、ATCC−CRL−1730をさす。

「CHO」及び「チャイニーズハムスター卵巣」とは、本明細書において使用されるように、ATCC−61をさす。

低酸素誘導 トランスフェクション又は形質導入の後26時間目に、0.5%O 、5%CO 、残部はN 、を含有している気流により30分間洗浄された隔離されたチャンバーの中で、細胞をインキュベートした。 隔離されたチャンバーを、5%CO 、37℃の湿潤インキュベーター内に置いた。

細胞及び組織におけるルシフェラーゼ活性 インビトロ及びインビボで定量的にPPE−1プロモーター活性をアッセイするため、ルシフェラーゼ遺伝子発現系キットを利用した(Promega Corp.,Madison、ウィスコンシン州)。 トランスフェクション又は形質導入の後48時間目に、細胞を洗浄し、200μlの溶解緩衝液を15分間添加した。 細胞溶解物を収集し、4℃で15分間(14,000rpm)遠心分離した。 その後、上清10μlを、50μlのルシフェラーゼアッセイ緩衝液に添加した。 活性は、20秒間、照度計で測定した。

固形組織におけるルシフェラーゼ活性をアッセイするためには、20mgの試料を切除し、ホモジナイゼーション溶液1mlでホモジナイズし、4℃で15分間(14,000rpm)遠心分離し、上清10mlを、前記と同様に、ルシフェラーゼ活性に関してアッセイした。 結果は、タンパク質1μg当たりのルシフェラーゼ光単位として表される。 タンパク質は、標準としてウシ血清アルブミン(BSA)を用いたブラッドフォード(Bradford)アッセイを使用して測定した。

インビトロ及びインビボのGFP活性 インビトロでGFP発現を試験するため、細胞をPBSで2回洗浄し、新鮮に作成された4%パラホルムアルデヒドを含むPBSで30分間固定した。 固定後、蛍光顕微鏡検による調査を達成した。

インビボ送達された遺伝子の細胞内分布を試験するため、新鮮に作成された4%パラホルムアルデヒドを含む0.1Mリン酸緩衝液で、4℃で6時間、組織を固定し、4℃で30%ショ糖に一夜浸漬し、そしてOCT化合物(Sakura,USA)で凍結させた。 低温槽により組織ブロックを10μmの厚さに切断し、蛍光顕微鏡検(FITCフィルタ)の下で直接観察した。

増殖細胞及び休止細胞 増殖BAEC及び休止BAECにおけるPPE−1プロモーター活性を比較するため、1.10%FCS培地中で増殖させ感染させる増殖細胞と、2. 形質導入前72時間以内に開始した無血清培地中で増殖させ感染させる休止細胞という二つの群に、細胞を分割した。

細胞は、全て、5%CO 、37℃の湿潤インキュベーター内で増殖させた。

組換え複製欠損アデノウイルスの調製 いくつかの組換え複製欠損アデノウイルス(5型)を構築した。 ルシフェラーゼ遺伝子(pGL2−basic GenBankアクセッション番号X65323に由来)及びSV40ポリA部位(pGL2−basic GenBankアクセッション番号X65323に由来)の上流に置かれたマウスプレプロエンドセリン−1(PPE−1)プロモーター(配列番号:1)を含む発現カセットを、pPAC. plpA(プロモーターを含まない構築物)のBamHI制限部位へとライゲートさせた。 GFP遺伝子(pEGFP,GenBankアクセッション番号AAB02572に由来)は、NotI制限部位でPPE−1プロモーターとライゲートさせた。 Ad5PPE−1Luc又はAd5PPE−1GFPと名付けられた複製欠損組換えアデノウイルスは、ベッカー(Becker),T. C. ら(Methods Cell biol.43,Roth M.(編).New York.Academic Press,1994,161〜189頁)によって記載されたようにして、pPACPPE−1Luc又はAd5PPE−1GFPをアデノウイルスプラスミドpJM17と共トランスフェクトした後、組換えビリオンを採集することによって調製した。

ウイルスを、大規模作製のために調製した。 ウイルスストックは、10 〜10 12プラーク形成単位/ml(pfu/ml)という濃度で4℃で保存した。 サイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター(GenBankアクセッション番号U47119)を含有しているウイルスAd5CMV−Luc及びAd5CMV−GFP(Quantum biotechnologies,Carlsbad,カナダ)を、PPE−1ウイルスベクターに関して記載されたようにして大規模調製のため調製し、非組織特異的対照として使用した。

PPEプロモーターの修飾 修飾型マウスPPE−1プロモーターは、Buら(J.Biol Chem.(1997)272(19):32613−32622)によって発見された正の転写因子3コピーを、43塩基対の内因性の正の因子(−364〜−320bp)の下流(−286bp)に置かれたNheI制限酵素部位へ挿入することにより開発した。

本明細書において「3X」と名付けられたエンハンサー断片は、マウスPPE−1プロモーター内に存在する内因性配列因子(ヌクレオチドは、配列番号:1の407〜452に相当)のトリプリケートコピーである。 血管内皮細胞におけるPPE−1プロモーター活性の誘導は、この因子の存在に依存することが以前に示された[Buら(J.Biol Chem.(1997)272(19):32613−32622)]。 3X断片は、96塩基対長の2個の相補的な一本鎖DNA(BioTechnology industries;Nes Tziona,イスラエル)(配列番号:2及び3)を使用することにより合成した。 2個の一本鎖DNA断片をアニーリングさせ、クレノウフラグメント(NEB)を使用して隙間を埋めた。 得られた二本鎖DNAは、145塩基対長であり、Nhe−1制限部位(配列番号:4)を含んでいた。

3X断片を、T4リガーゼを使用して、内因性Nhe−1部位の下流のマウスPPE−1プロモーターへとライゲートさせた。 得られた構築物をDH5コンピテント細胞において繁殖させ、大規模なプラスミド調製物をマキシプレップキアゲン(maxi−prep Qiagene)キットを使用して作製した。

付加的なプラスミド野生型PPE−1プロモーター 1.4kbのマウスプレプロエンドセリン−1(PPE−1)プロモーター、SV40ポリAシグナル(GenBankアクセッション番号X65323)部位を含むルシフェラーゼ遺伝子、及びマウスET−1遺伝子の第1イントロンを含有しているPPE−1−ルシフェラーゼカセット(5249bp)は、ハラッツ(Harats)ら(J.Clin.Inv.(1995)95:1335−1344)により使用されたpEL8プラスミド(8848bp)に由来する。 PPE−1−ルシフェラーゼカセットは、BamHI制限酵素を用いてpEL8プラスミドから抽出し、引き続き、抽出キット(Qiagen,Hilden、ドイツ)を使用して1%アガロースゲルからDNA断片の抽出をした。

プロモーターを含まないpPAC. plpAプラスミド アデノウイルス5型の配列を含有しているプロモーターを含まないpPAC. plpAプラスミド(7594bp)は、pPACCMV. pLpA(8800bp)に由来した。 CMVプロモーター、マルチプルクローニング部位、及びSV40ポリアデニル化部位(1206bp)を、NotI制限酵素によって排除し、断片化されたDNAを、1%アガロースゲルから抽出した。 直鎖状プラスミド(7594bp)を、クレノウ断片によって平滑末端化し、ラピッドDNAライゲーションキットによってBamHIリンカーを両付着末端へとライゲートさせた。 直鎖状プラスミドを、T4 DNAリガーゼによって再ライゲートさせ、BamH1制限部位を含むpPAC. plpAを増幅するため、DH5αコンピテント細胞へと形質転換した。 プラスミドを大規模調製のため調製し、マキシプレップDNA精製キットによって精製した。

pPACPPE−1ルシフェラーゼプラスミド pPACPPE−1ルシフェラーゼプラスミドは、T4 DNAリガーゼを使用することにより、pPAC. plpAプラスミドのBamHI制限部位に、PPE−1−ルシフェラーゼカセットを挿入することにより構築した。 その後、プラスミドを、DH5αコンピテント細胞を形質転換するために使用した。 プラスミド(12843bp)を大規模調製のため調製し、マキシプレップDNA精製キットによって精製した。

pPACPPE−1GFPプラスミド pPACPPE−1GFPプラスミドは、T4 DNAリガーゼによって、PPE−1プロモーターの下流のGFP遺伝子(pEGFP、GenBankアクセッション番号AAB02572)を、NotI制限部位へサブクローニングすることにより構築した。

その後、プラスミドを、DH5αコンピテント細胞を形質転換するために使用した。 プラスミド(11,801bp)を大規模調製のために調製し、マキシプレップDNA精製キットによって精製した。

pACPPE−13Xルシフェラーゼプラスミド及びpACPPE−13XGFPプラスミド pPACPPE−1−3Xルシフェラーゼ及びpPACPPE−1−3XGFPは、pPAC. plpAプラスミドのBamHI制限部位に、Luc又はGFPを含有しているpEL8−3X(図26B)からBamHI制限酵素によって消化されたPPE−1−3XLucカセット又はPPE−1−3XGFPカセットを挿入することにより構築した。 pEL8−3Xは、2個のNheI部位間に置かれた(配列番号:7に示されているような)トリプリケート内皮特異的エンハンサー3Xを含有している、BamHIとNotIとの間に置かれた修飾型マウスPPE−1プロモーター(1.55kb)(赤)を含有している。 プロモーター、ルシフェラーゼ遺伝子又はGFP遺伝子、SV40ポリA部位、及びエンドセリン−1遺伝子の第1イントロン(全部でPPE−1修飾型プロモーターカセットと名付けた)を、材料及び方法に記載されたようにして、BamHI制限酵素によって消化し抽出した。 プラスミド(12843bp)を大規模調製のために調製し、マキシプレップDNA精製キットによって精製した。

SV40−ルシフェラーゼレポータープラスミド(Promega GmbH,Manheim,Germany)は、BAEC実験における非選択的プロモーター対照として使用された。

インビトロ実験、DNA形質導入 形質導入の24時間前に、細胞を24又は96ウエルディッシュに播いた。 亜集密的な細胞はサンプルウエル中で計数された。 その後、増殖培地は各ウエルから吸引され、指示されたウイルスベクターが指示された感染多重度(MOI)で感染培地(DMEM又はRPMI 1640、2%FBS)中に希釈され、単層に加えられた。 細胞は室温で4時間インキュベートされた。 続いて、完全培地が加えられ、細胞は37℃、5%CO で72時間インキュベートされた。

動物 動物手法は、全て、Sheba Medical Center,Tel−Hashomerの「Animal Care and Use Committee」によって承認された。

異なるマウス系統を使用した:
(i)雄3ヶ月齢野生型C57BL/6マウス(Harlan farms,Jerusalem、イスラエル)
(ii)雄3ヶ月齢BALB/Cマウス(Harlan farms,Jerusalem、イスラエル)
(iii)雄及び雌の6ヶ月齢のC57BL/6xSJ129マウスのApoE遺伝子欠損マウスハイブリッド(Plump AS. et al、Cell(1991)71:343−353)
(iv)ハラッツ(Harats)ら(J.Clin.Inv.(1995)95:1335−1344)によって作成された、マウスPPE−1プロモーター(5.9Kb)の調節下でルシフェラーゼ遺伝子を過剰発現している雄及び雌の3ヶ月齢。

マウスは、全て、Lipids and Atherosclerosis Research Instituteにおいて飼育した。

正常マウスにおける組織遺伝子発現 効率及び組織特異性をアッセイするため、10 10 pfu/mlのAd5PPE1Luc又はAd5CMVLuc(非組織特異的対照として)を、100μlの生理食塩水に懸濁させ、前記のようなマウスの尾静脈へと注射した。 ルシフェラーゼ活性は、注射後1日目、5日目、14日目、30日目、及び90日目にアッセイした。 発現されたレポーター遺伝子の細胞分布を決定するため、Ad5PPE−1GFP又はAd5CMVGFP(10 10 pfu/mlを含む100μl生理食塩水)を、正常な3ヶ月齢雄C57BL/6マウスの尾静脈へと注射した。 GFP発現を、注射後5日目に検出した。 マウスは、全て、外見上健康であり、毒性又は炎症は、肝臓又はその他の組織において認められなかった。

組織におけるGFP活性 インビボ送達された遺伝子の細胞分布を試験するため、注射されたマウスからの組織試料を、4℃で6時間、新鮮に作成された4%パラホルムアルデヒドを含む0.1Mリン酸緩衝液で固定し、4℃で30%ショ糖に一夜浸漬し、そしてOCT化合物(Sakura、カルフォルニア州、USA)で凍結させた。 組織ブロックを10μmの厚さに切断し、蛍光顕微鏡検(FITCフィルタ)の下で直接観察した。

腫瘍移植 ルイス肺癌細胞(LLC)を、トリプシン/EDTAで採集し、PBSで3回洗浄し、そして生存率を評価するために0.1%トリパンブルー(Biological industries,Beit−Haemek、イスラエル)で計数した。 マウスにおける腫瘍血管形成におけるPPE−1プロモーター活性の活性レベルを試験するため、2つの異なる腫瘍モデルを使用した。

原発腫瘍モデルにおいて、細胞(100μl生理食塩水において1×10 個/ml)をマウスの背部に皮下注射した(n=17)。 注射後21日目に、Ad5PPE−1、Ad5PPE−1GFP、Ad5CMV、又はAd5CMVGFP(10 10 pfu/ml)を腫瘍組織(IT)に注射するか、又は静脈注射し、前記のようにして、それらの活性を検出した。

転移腫瘍モデルにおいて、細胞(50μl生理食塩水において5×10 個/ml)をマウス足蹠に注射した(n=12)。 腫瘍組織が直径0.7mmのサイズに達した時点で、(原発腫瘍を有する)足蹠を麻酔及び無菌の条件下で摘除した。 術後14日目に、ウイルス(Ad5PPE−1、Ad5PPE−1GFP、Ad5CMVLuc、又はAd5CMVGFP)をマウス尾静脈へと注射した。

いずれの腫瘍実験モデルにおいても、ウイルス注射後5日目にマウスを屠殺し、組織を切除し、ルシフェラーゼ又はGFPの活性に関して試験した。

創傷治癒モデル 雄3ヶ月齢C57BL/6マウスに、ナトリウムペントバルビタール(6mg/kg)の皮下注射によって麻酔を施した。 それらの背部の毛をそり、直線的に5cm切開した。 その切開を、4/0無菌絹糸によって即座に縫合した。 治癒中の創傷における血管形成過程を、2日毎に、H&E染色及び抗フォン−ヴィレブランド(von−Willibrand)抗体免疫組織化学的染色によって調査した。

切開後10日目に、10 10 pfu/mlのAd5PPE−1Luc又はAd5CMVLucを尾静脈へと全身注射した。 注射後5日目に、マウスを屠殺し、切開部位の皮膚、及び対照としての正常な対側部位において、前記のようにしてルシフェラーゼ活性をアッセイした。

組織学的調査 腫瘍及び転移組織における血管形成の程度を評価するため、組織を5μmの切片へと切断し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。 抗CD31(ラット抗マウスCD31モノクローナルAb、Pharminogen,ニュージャージー州、USA)抗体を、腫瘍モデルにおける血管再生の分析のために使用した。

VEGF及びPDGF−Bトランスジェニック発現のためのプラスミド及びアデノウイルスベクター 組換え置換欠失アデノウイルス血清型5は(Varde−Bloom,N.et al.[Tissue−specfic gene therapy directed to tumor angiogenesis.(2001)Gene Ther 8,819−27])に記載のようにして構築された。 簡潔に述べると、pACCMV. pLpAプラスミドは、サイトメガロウイルス(CMV)極初期プロモーターの制御下でマウスのVEGF 165 (GenBank Accession number M95200)又はラットのPDGF−B(GenBank Accession number AF162784)のcDNAを含めるように修飾された。 CMVプロモーターが修飾マウスプレプロエンドセリン−1(PPE−1−3X)プロモーターによって置換されたpACPPE−1−3Xプラスミドは同じcDNA配列を用いて構築された。 それぞれのプラスミドはHEK293細胞中にpJM17プラスミドを用いてコトランスフェクトされ、様々な組換えアデノウイルスを生成した。 ウイルスはHEK293細胞中で増殖させられ、10 10 PFUs/mlの濃度に減少させられた。 対照のベクターは同様に生成された。

後肢虚血及び遺伝子治療のマウスモデル 少なくとも12週齢の雄及び雌のC57B16マウス(Harlan Laboratories Ltd.,Israel)はAnimal Care and Use Committee of Sheba Medical Centerのガイドラインに従って維持された。 後肢虚血は以前に記述されたプロトコル[Couffinhal,T. et al. Mouse model of angiogenesis. Am J Pathol 152,1667−79. (1998)]に基づいて誘導された。 簡潔に述べると、動物はナトリウムペントバルビタール(40mg/kg、IP)で麻酔された。 肢の毛をそった後、右大腿動脈は伏在動脈と膝窩部の動脈との分岐点の近くで結紮された。 結紮の5日後、10 PFUsの様々なアデノウイルスベクターはI. V. 投与された。

超音波画像形成 超音波画像形成は結紮後7日目にSynergy超音波システム(General Electric,USA)を用いて7.5MHzで血管造影モードで行なわれた。 動物は目覚めており、画像形成中拘束されていた。 動物は従来の条件下で90日まで収容された。

免疫組織化学 屠殺された虚血マウスの後肢及び肝臓組織の両方からの骨格筋肉はOCT化合物中で凍結され、凍結切断された。 内皮細胞はラットのモノクローナル抗CD31抗体(Phar Mingen,San Diego,CA)を用いて免疫染色された。 平滑筋細胞はマウスのポリクローナル抗α−SMアクチン抗体(SIGMA,St.Louis,MO)を用いて免疫染色された。 背景はヘマトキシリンを用いて染色された。

インサイチューハイブリダイゼーション 5μmの骨格筋肉断片は虚血動物の両方の後肢から調製された。 VEGF 165又はPDGF−Bに対するセンス又はアンチセンスDIGラベルプローブを用いたインサイチューハイブリダイゼーションが行なわれ、ジゴキシゲニン(DIG)は抗DIG−APコンジュゲート(Roche Molecular Biochemicals,Mannheim,Germany)によって検出された。 背景はメチルグリーンで染色された。

画像処理 超音波画像はImage−Pro Plus ソフトウェアツール(Media Cybernetics,Silver Spring,MD)を用いて処理された。 最も強い灌流を示す着色された画素の数が各画像について計算された。

血管形成のモジュレーター トランスジェニックマウスは、普通の餌、又はBosentan(Actelion Ltd.,Allschwil,スイス)(二重ET−1 A/B受容体アンタゴニスト)を添加された餌を給餌された。 一匹のマウスが一日あたり4gの餌を摂取したと仮定して、各マウスは体重1kgあたり100mgのBosentanを30日間投与された。 マウスは屠殺され、ルシフェラーゼ活性、肺ET−1 mRNAレベル、及びirET−1血清レベルについてテストされた。

統計分析 統計的有意差に関する群間の分析は、t検定ANOVA又はマン−ホイトニー(Mann−Whitney)順位検定の使用により達成した。 データは、平均+SEとして示される。

実験結果実施例1
内皮細胞(BAEC)及び293細胞におけるプロアポトーシス遺伝子活性に対するインビトロアッセイ 癌の処置において、抗血管形成治療は、成長中の腫瘍に栄養を与える発達中の脈管構造を標的とする[Folkman J、N Engl J Med(1995)、333(26):1757〜63]。 アポトーシス(すなわち、プログラム化された細胞死)の研究が進行しているので、選択的かつ効率的な細胞死調節因子をコードする多数の遺伝子がこれまでに同定されている[Strasser et al. 、Annu Rev Biochem(2000)、69:217〜45]。

本研究により、抗血管形成治療のために最も好適な作用剤を同定するために、プロアポトーシス遺伝子がいくつかスクリーニングされた。 MORT1(FADD−Fas関連デスドメインタンパク質、GenBankアクセッション番号NM_003824)、RIP(受容体相互作用タンパク質、GenBankアクセッション番号U25995)、CASH(c−FLIP、GenBankアクセッション番号AF010127)、MACH(カスパーゼ8、GenBankアクセッション番号X98172)、CPP32(カスパーゼ3、GenBankアクセッション番号U13737)、カスパーゼ9(U60521)、及びFas−キメラ(Fas−c)(すなわち、TNFR1の細胞外領域と、Fasの膜貫通領域及び細胞内領域とから構築された、2つの「デス受容体」の以前に記載された融合体)[Boldin MP et al. 、J Biol Chem(1995)、270(14):7795〜8、図1aを参照のこと]を含むいくつかのプロアポトーシス遺伝子がPCR増幅され、そして、広く知られている先行技術のクローン化技術を使用してpcDNA3(Invitrogen,Inc.)哺乳動物発現ベクターにクローン化された。

これらのプロアポトーシス遺伝子構築物をBAEC細胞(ウシ大動脈内皮細胞)及び293細胞(これは対照の非内皮細胞として使用された)においてpGFPと一緒に同時に発現させた。 トランスフェクションの24時間後、細胞を、蛍光顕微鏡観察を使用して分析した。 アポトーシス細胞が、蛍光顕微鏡観察を使用して、典型的な形態学(すなわち、小さい丸い形状)に基づいて同定された(図2a〜b)。 アポトーシス表現型のさらなる評価を、電子顕微鏡観察を使用して行った(図3a〜f)。 アポトーシス作用の定量により、MORT1、TNFR1及びFas−キメラがBAEC細胞及び293細胞において最も大きいアポトーシス活性を誘導したことが明らかにされた(図4a〜b)。 カスパーゼ3及びカスパーゼ9はこれに関してあまり強くなかった。 これは、おそらくは、それらが不活性なチモーゲン形態であったためである。 これらの結果に基づき、Fas−キメラ(Fas−c)遺伝子を、抗血管形成治療において使用されるアデノウイルスベクターを作製するために選択した。

実施例2
改変されたPPE−1プロモーター(PPE−1(3x))の制御下にあるFas−キメラをコードする組換えアデノウイルスの作製 全長のFas−キメラをコードするcDNAを、改変されたプレプロエンドセリン1プロモーターを含有するプラスミドpPACPPE1−3xにサブクローン化した(図1bを参照のこと)。 組換えアデノウイルスを、ヒト胚腎臓293細胞にこのプラスミドをpJM17プラスミドと同時トランスフェクションすることによって作製した。 ウイルスのクローン化の成功をPCR増幅によって確認した(図5a)。

標的細胞におけるFas−cの発現を明らかにするために、内皮BAEC細胞を、示された力価のAd−PPE−1(3x)−Fas−cで形質導入した。 形質導入の72時間後、細胞を溶解し、細胞タンパク質を、非還元SDS−PAGEゲルを使用して分離した、ウエスタンブロット分析を、抗TNFR1抗体(Sc−7895、Santa−Cruz Biotech)を使用して行った。 図5bに明らかにされるように、45kDで移動する顕著なバンドが明瞭に認められ、その発現は用量依存的であった。 このことは、キメラタンパク質の正しい折り畳み及び発現を示唆している。 対照的に、形質導入されていない内皮細胞、又は対照の空ウイルスベクターで形質導入された細胞では、対応するバンドが認められなかった。 従って、これらの結果により、Fas−cのアデノウイルス媒介による遺伝子移入は標的細胞における導入遺伝子の発現をもたらすことが確認された。

実施例3
Ad−PPE−1(3x)−Fas−cの発現は内皮細胞においてアポトーシスを誘導する 内皮細胞のアポトーシスを誘導するAd−PPE−1(3x)−Fasキメラの能力を測定した。 図6a〜bに示されるように、プレプロエンドセリンにより指向される内皮細胞のアデノウイルス媒介による形質導入は明白かつ甚だしい細胞死をもたらした;Ad−PPE−1(3x)−Fas−c(10 のMOI)を感染させたHUVEC及びBAECは、膜の突起形成、円形化及び収縮、そして培養ディッシュからの剥離を含む、アポトーシスを受けている接着性細胞の形態学的特徴を有した。 対照的に、対照ウイルスを同じMOIで感染させた細胞は正常な外見及び成長速度を維持した。 100のMOIで形質導入された細胞は最少程度の細胞死を示しただけであった(データは示されず)。

Ad−PPE−1(3x)−Fas−cの細胞傷害的性質のさらなる評価を、レポーター遺伝子GFPをPPE−1プロモーターの制御下で発現する細胞においてこのウイルスを発現させることによって行った。 図6c〜dから明らかであるように、形質導入された細胞のほとんどが、典型的なアポトーシスの外見を形質導入の72時間後には獲得し、これに対して、対照ウイルス及びAd−PPE−GFPで同時形質導入された細胞は正常に見えた。

Fas−cの細胞傷害的作用を、クリスタルバイオレット染色を使用して定量した。 図7に示されるように、Ad−PPE−Fas−cによるBAEC及びHUVECへの感染はそれぞれ57%及び65%の致死率をもたらし、一方、対照ウイルスは細胞生存率に影響を及ぼさなかった。

プロアポトーシスベクターAd−PPE−Fas−cの内皮細胞特異性を、NSF(正常な皮膚繊維芽細胞)にこのベクターを感染させることによって明らかにした。 これらの細胞は、低レベルのPPE−1を発現する[Varda−Bloom,N. et al. 、Gene Ther、8、819〜27(2001)]が、Ad−PPE−Fas−cによる感染によって影響を受けなかった。 対照的に、組換えベクターAd−CMV−Fas−cはこれらの細胞においてアポトーシスを誘導した。

実施例4
Ad−PPE−1(3x)−Fas−c受容体及びTNFαリガンドの同時投与は選択的な様式でプロアポトーシス作用を増強する Fas−c発現細胞におけるアポトーシス作用を増強するTNFαの能力を調べた。 ヒトTNFαを、Ad−PPE−Fas−c(100のMOI)によるウイルス感染の48時間後、内皮細胞培養物に加えた。 細胞生存率を24時間後にアッセイした。 図8に示されるように、TNFα(10ng/ml)は、Ad−PPE−1(3x)−Fas−c感染細胞の生存率における73%の減少を誘導し、これに対して、著しい死は、TNFα単独によって、又は対照ウイルス(Ad−Luc)を感染させた細胞では起こらなかった。

TNFαの作用を裏付けるために、細胞特異性を検討した。 NSF細胞(正常な皮膚繊維芽細胞)、DA3細胞(マウス乳腺癌)、D122細胞(ルイス肺癌)及びB16メラノーマ細胞にAd−PPE−Fas−c又は対照ウイルスを感染させた。 48時間後、培養にTNFαを加え、細胞の形態学をクリスタルバイオレットによる染色の後に評価した。 図9a〜eに示されるように、Ad−PPE−Fas−cを感染させた非内皮細胞は正常な外観を示し、TNFによる影響を受けなかった。 他方、Fas−cによるBAECへのアデノウイルス媒介による感染は、TNFが加えられたとき、細胞生存率の顕著な低下をもたらした。 CMVプロモーターによってもたらされるFas−cの非選択的なアポトーシス活性が、内皮細胞に対するAd−CMV−Fas−cのTNF依存的なアポトーシス作用を例示する図10aにおいて明らかにされる。 示されたMOIのAd−CMV−Fas−キメラを感染させたBAEC細胞の生存率をTNFとのインキュベーションの後に測定した。

注目すべきことに、内皮細胞非特異的ベクターのAd−CMV−Fas−cは内皮細胞及び非内皮細胞の両方のTNFα依存的なアポトーシスを生じさせた(図10b〜d)。

実施例5
Ad−PPE1(3x)−Fas−cはマウスにおけるB16メラノーマのインビボでの成長阻害を誘導する B16メラノーママウスモデルを、PPE1−3xプロモーターから発現されるFas−cの抗腫瘍作用を調べるために使用した。 B16メラノーマ細胞(8x10 )を40匹のC57bl/6マウスの脇腹領域に皮下注射した。 腫瘍が触診可能になったとき(約5x5mm)、マウスを下記のように4つの群に無作為に分けた:(i)対照−生理食塩水の注射;(ii)対照ウイルス(PPEプロモーターにより制御されるルシフェラーゼを含有するアデノウイルス);(iii)プレプロエンドセリン(PPE)プロモーターにより制御されるFas−TNF受容体キメラ遺伝子を含有するAd−PPE1−3x−Fas−cウイルス;及び(iv)内皮細胞非特異的なCMVプロモーターにより制御されるFas−TNF受容体キメラ遺伝子を含有するAd−CMV−Fas−ウイルス。

腫瘍サイズ(長さ及び幅)を、ハンドカリパスを使用して測定した。 図11aに示されるように、腫瘍サイズは、対照のマウスと比較した場合、Ad−PPE1−3x−Fas−c又はAd−CMV−3x−Fas−cで処置されたマウスについてはより低かった。 処置期間を終了した時の腫瘍重量もまた、Ad−PPE1−3x−Fas−c処置マウスの方が低かった(図11b)。 Ad−PPE1−3x−Fas−cが注射されたマウスはその腫瘍の顕著な壊死を示した(図11c)。

転移性疾患の阻害:ルイス肺癌モデル:PPE−1(3x)−Fas−cキメラによる腫瘍増殖阻害の発現と効力の特異性を、転移ルイス肺癌のモデルでさらに試験した。 肺LLCの転移腫瘍は、以下に詳細に記載したようにして、雄のC57BL/6Jマウスに誘発させ、次いで、これらのマウスに9日の間隔を置いて二回、ウイルスベクターAdPPE−1(3x)LUC、AdPPE−1(3x)−Fas−c及びAdCMV−Fas−cを注射した(Greenberger et al.J Clin Invest 2004;113:1017−1024)。

ウイルスを投与した後6日目に器官を収穫し、次いでPCRによってFas−cの発現について検定した。 PPE−1(3x)プロモーターによるFas−cの転写の制御で、発現は腫瘍を有する肺に限定されていたが(結果は提示せず)、これは、CMV−Fas−cで処置したマウスにおけるFas−cの発現が広く分布しているのと著しく対照的であった(データは提示せず。Greenberger et al.J Clin Invest 2004;113:1017−1024参照)。

さらに、処置群及び対照群由来の肺を肉眼で病状を検査した結果、転移腫瘍を有するマウスにAdPPE−1(3x)−Fas−cを投与すると、腫瘍の増殖が阻害されて肺表面の増殖中の腫瘍の大きさが減少し、一方、対照動物の肺は、ほとんど完全に腫瘍組織で置き換えられたことが明らかになった(データは提示せず。Greenberger et al.J Clin Invest 2004;113:1017−1024参照)。

さらに、処置マウス及び対照マウス由来の肺の切片について、組織病理学的試験とTUNELと内皮特異的CD31染色を行なった結果、転移腫瘍を有するマウスにAdPPE−1(3x)−Fas−cを投与すると、腫瘍組織に塊状アポトーシスと壊死が起こり、腫瘍の血管内皮が広範囲に損傷していたことが明らかになった。 対照的に、対照処置のマウスの血管は影響を受けなかった(データは提示せず。Greenberger et al.J Clin Invest 2004;113:1017−1024参照)。

実施例6
インビトロの3X−PPE−1プラスミド活性の分析 PPE−1−3Xの活性を分析するため、PPE−1−3Xプロモータープラスミド及び未修飾PPE−1プロモータープラスミドにおけるレポーター遺伝子発現の比較を行った。 PPE−1−3X断片又は未修飾PPE−1断片のいずれかと、レポーター遺伝子ルシフェラーゼとを含有しているレポーター遺伝子プラスミドを、内皮細胞系及び非内皮細胞系、並びにPPE−1プロモーターを発現している気管支上皮細胞系(B2B)へとトランスフェクトした(前記の材料及び方法を参照のこと)。 B2B細胞系は、PPE−1プロモーターと比較して非内皮細胞系における発現を低下させる3X因子の能力の指標を提供するために選択された。 トランスフェクションは、リポフェクタミン(Promega Corp.,Madison、ウィスコンシン州)を使用して達成した。 容認された分子生物学実務に従い、β−gal−neoプラスミドを、それぞれの場合におけるトランスフェクション効率の指標として利用した。

トランスフェクション後48時間目に、細胞を溶解緩衝液(Promega Corp.,Madison,ウィスコンシン州)を使用して採集し、ルシフェラーゼ活性を、照度計(TD−20e−Turner Designs,Sunnyvale,California)によって分析した。 異なる形質転換効率を規準化するため、平行してβgal活性を分析した。 結果は、図12及び表2に要約されている。 PPE−3Xの調節下でのルシフェラーゼ活性は、未修飾PPE−1の調節下でのルシフェラーゼ活性より15〜20倍高い。 非内皮細胞系においては、PPE−1を使用した場合にも、PPE−1−3Xを使用した場合にも、最小の発現が検出された。 これは、PPE−3Xが、インビボでの内皮細胞への特異的な遺伝子送達のための有望な候補であることを証明している。

実施例7
インビトロのAd5PPE−1/ルシフェラーゼの活性及び特異性 PPE−1/ルシフェラーゼ、PPE−1−3X/ルシフェラーゼ、PPE−1/GFP、及びPPE−1−3X/GFPも、Ad5プラスミドとライゲートさせ、Ad5PPE−1/Luc及びAd5PPE−1−3X/Luc、Ad5PPE−1/GFP及びAd5PPE−1−3X/GFPを作製した(Varda−Bloom et al、(2001)Gene therapy 8:819−827)。 これらの構築物を、以下に詳述されるようにして別々にアッセイした。

Ad5PPE−1/Lucの活性を試験するため、B2B(ヒト気管支上皮)、BAEC(ウシ大動脈内皮細胞)、及びHUVEC(ヒト臍静脈内皮細胞)のトランスフェクションを行った。 これらの3個の細胞系は、エンドセリン遺伝子を発現しており、試験された構築物の内皮細胞における発現のレベルを示すために選択された。 エンドセリン遺伝子を発現していないRIN(ラット膵島細胞腺腫)細胞系を、陰性対照として利用し、同じ構築物によりトランスフェクトした。 Ad5CMVLuc(CMVプロモーターの調節下のルシフェラーゼ)を、全ての細胞系において非内皮特異的対照として使用した。

図13は、内皮細胞系BAEC及びHUVECにおいて、CMVプロモーターより高いルシフェラーゼ発現が、PPE−1プロモーターによって達成されたことを明白に例示している。 内皮由来でないRIN細胞において、CMVプロモーターの方がPPE−1プロモーターより多くのルシフェラーゼ活性を生成させた。 これらの結果は、未修飾PPE−1プロモーターの内皮特異性を証明している。

実施例8
Ad5PPE−3XLuc及びAd5PPE−3XGFPの活性及び特異性 特異性及び発現レベルに対する3X因子の影響を確認するため、Ad5PPE−3X/ルシフェラーゼ構築物及びAd5PPE−3X/GFP構築物を、前記実施例7に記載された細胞系をトランスフェクトするために使用した。 実施例7と同様に、Ad5CMVLucを非内皮特異的対照として使用した。 CMVプロモーターと比較して、より高いBAEC細胞系及びHUVEC細胞系におけるルシフェラーゼ発現が、PPE−3Xプロモーターの調節下で検出された。

図14Aは、BAEC細胞系におけるAd5PPE−1−3Xの調節下でのGFP発現を例示する顕微鏡写真である。 図14Bは、BAEC系におけるAd5CMVのGFP発現を例示する顕微鏡写真である。 これらの図面によって明白に示されるように、PPE−1−3Xプロモーターの方が、内皮細胞において、より活性が高い。 これらの結果は、3X因子が、PPE−1プロモーターの内皮特異性を損なわないことを明白に示している。 細胞培養物におけるPPE−1プロモーター及びPPE−1−3Xプロモーターの相対活性は、下記実施例11において提示される。

実施例9
p55遺伝子のアポトーシス促進活性のインビトロアッセイ P55(TNFR1、GenBankアクセッション番号M75866)のPACPPE3X(PPE−1−3Xプロモーターを含有)及びPACCMVへのサブクローニングの後、これらのプラスミド及びGFP(pEGFP−C1ベクター;CLONTECH,Palo Alto,カリフォルニア州)の共トランスフェクションを、前記と同様にして実施した。 簡単に説明すると、T4 DNAリガーゼによって、PPE−1プロモーターの下流(ルシフェラーゼ遺伝子の代わり)のNotI制限部位へと遺伝子をサブクローニングした後、それをDH5αコンピテント細胞に形質転換した。 トランスフェクション後24時間目、小さく丸形のアポトーシス細胞が、視覚的に正常細胞から識別可能であった。 アポトーシス促進性プラスミドによりトランスフェクトされた細胞の電子顕微鏡検は、典型的なアポトーシスの様相を示し、それにより視覚的評価が確証された。

PPE−1−3Xプロモーターの調節下では、内皮細胞においてのみp55によってアポトーシスが誘導されたが(図15)、CMVプロモーターは細胞特異的活性を示さなかった。 PPE−1−3Xの調節下のルシフェラーゼは、試験された細胞系においてアポトーシスを誘導しなかった。 これらの結果は、PPE−1−3Xプロモーターを利用することによって、内皮細胞において特異的にアポトーシスを誘導することが実行可能であることを示している。

実施例10
低酸素応答因子(HRE)は低酸素感受性内皮細胞における標的遺伝子発現を増強しうる 低酸素は、血管の緊張度及び構造の重要な制御因子である。 低酸素は、虚血性心疾患及び癌の両方における血管形成の強力な刺激であることも示されている(Semenza,G.L. et al、(2000)Adv Exp Med Biol.;475:123−30;Williams,K.J.(2001)Breast Cancer Res.2001:3;328−31、及びShimo,T.(2001)Cancer Lett.174;57−64)。 さらに、低酸素は、エリスロポエチン、VEGF、解糖酵素、及びET−1を含む多くの遺伝子の発現を制御することが報告されている。 これらの遺伝子は、共通の酸素感知経路、低酸素誘導因子(hypoxia inducible factor)−1(HIF−1)と名付けられた誘導可能転写複合体によって調節される。 HIF−1複合体は、標的遺伝子のシス作用性低酸素応答因子(hypoxia responsive element)(HRE)と結合することにより、低酸素に対する転写応答を媒介する。 HREとは、VEGF、一酸化窒素シンターゼ−2、エリスロポエチン、及びエンドセリン−1、ET−1を含むその他を含む、低酸素に応答する少数の遺伝子のプロモーター内に位置している保存された配列である。 ET−1プロモーターは、転写開始部位の118bp上流の位置に逆位の低酸素応答因子を含有しており、その因子は、7塩基対を含有しており、かつ、GATA−2と、5'GCACGTT3'−50塩基対に位置するAP1部位との間に置かれている。 (配列番号:5)。

プレプロエンドセリン−1(PPE−1)プロモーターは、腫瘍組織又は虚血組織の低酸素微小環境において発現を増加させる能力を有する低酸素応答因子(HRE)を含有しており、従って「腫瘍組織特異的」かつ/又は「虚血組織特異的」である。 このHREの実際の機能を評価するため、ルシフェラーゼ又はGFPレポーター遺伝子と関連し、かつ、アデノウイルスベクターによって送達されるPPE−1プロモーター及びPPE−1−3Xプロモーターのアッセイに着手した。

正常酸素条件及び低酸素条件(0.5%O 、16h)の下での、PPE−1プロモーター又はPPE−1−3Xプロモーターの調節下でのルシフェラーゼ活性を、BAEC細胞において比較した。 PPE−1プロモーターの調節下でのルシフェラーゼ活性は、低酸素(図16及び17)に暴露された場合、5倍高くなった。 さらに、PPE−1−3Xプロモーターの調節下でのルシフェラーゼ活性は、低酸素条件下で2.5倍高くなった。 要約すると、正常酸素でのPPE−1−3X遺伝子による発現レベルは、未修飾PPE−1プロモーターで観察されるより高いにも関わらず、PPE−1プロモーターへの3X因子の導入は、低酸素に応答して下流遺伝子の発現レベルをさらに増加させることができる。

実施例11
内皮細胞系におけるPPE−1−3Xプロモーター及びPPE−1プロモーターの活性のさらなる評価 図18は、pPPE−1/ルシフェラーゼ及びpPPE−1−3X/ルシフェラーゼを使用したB2B、HUVEC、及びBAECのトランスフェクション実験からの結果を要約したものである。 PPE−1−3Xプロモーターの調節下では、PPE−1プロモーターより高いルシフェラーゼ発現(30倍、8.5倍、及び1.5倍)が、B2B、HUVEC、及びBAECにおいてそれぞれ観察された。 これらの結果は、前記の結果を確証しており、PPE−1−3Xが、高レベル発現を内皮細胞へと特異的に指向させるために極めて好適であることを確立するために役立つ。 将来のインビボ送達の情況において、PPE−1−3X構築物により達成されるより高い発現レベルは、より少量のDNAの投与と同義である。 これは、次に、特異性をさらに増加させるために役立つであろう。

実施例12
インビボのAd5PPE−1Lucの効率、特異性、及び安定性 実施例7〜10において観察された発現の内皮特異性が、細胞培養物のアーティファクトではなかったことを確証するため、前記の「正常マウスにおける組織遺伝子発現」に記載されたようにして、Ad5PPE−1/ルシフェラーゼ構築物をC57BL/6マウスへと注射した。 インビトロ研究の場合と同様に、Ad5CMV/ルシフェラーゼを陰性対照として利用した。

アデノウイルスベクターの注射後、血管新生組織及び非血管新生組織におけるルシフェラーゼの特異的活性及び安定性をアッセイした。 結果は、図19(肝臓における発現と比したルシフェラーゼ発現)及び表3(全身発現に対する比率(%)としてのルシフェラーゼ発現)に要約されている。 予想通り、Ad5CMV/ルシフェラーゼで処置されたマウスにおいては、ルシフェラーゼ活性の大部分(全身発現の80%以上)が、肝臓に見出された。 PPE−1プロモーターによって調節されたルシフェラーゼ活性は、肝臓において比較的低かった(全身発現の37〜54%)。 大動脈におけるPPE−1に由来する発現(注射後5日目及び14日目にそれぞれ全身発現の23〜33%)は、Ad5CMV/ルシフェラーゼで処置されたマウス(最大で全身発現の1.8%以下;表2)と比較してはるかに高かった。 これらの結果は、細胞培養物において観察された内皮特異性を確証している。 肝臓が高度に血管新生性の器官であることを想起すべきである。 従って、以下に詳述されるように、器官内の細胞発現の調査を行った。

図41A及び41Bは、110匹の注射されたマウスの大動脈(A)及び肝臓(B)における絶対ルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を示している。 ルシフェラーゼ活性は、注射後1日目(n=13)、5日目(n=34)、14日目(n=32)、30日目(n=20)、及び90日目(n=11)に測定した。 大動脈における結果は、主として内皮細胞におけるプロモーター(PPE−1又はCMV)活性を表しており、肝臓における結果は、主として肝細胞における活性を表している。

実施例13
BALB/CマウスにおけるインビボのAd5PPE−1の効率、特異性、及び安定性のアッセイ 観察された結果が動物の特定の系統のアーティファクトではなかったことを証明するため、実施例12の実験を、12週齢BALB/Cマウス(各群n=10)において繰り返した。

BALB/Cマウスにおいて、アデノウイルスベクターによる絶対的な結果が、C57BL/6マウスより低かったため、ルシフェラーゼ発現は、全組織における全ルシフェラーゼ活性に対する比率(%)として表される。

注射後5日目の最も高い相対ルシフェラーゼ発現は、Ad5PPE−1を注射されたマウスの脾臓(90.9%)、及びAd5CMVを注射されたマウスの肝臓(86.2%)において観察された。 注射後5日目の活性(1.75%)と比較して、注射後14日目のAd5PPE−1を注射されたマウスの大動脈における相対ルシフェラーゼ活性の有意な増加(32.9%)も観察された(図42A及び42B;Ad5PPE−1Lucが白バー;Ad5CMVLucが黒バー)。

これらの結果は、マウスの系統に関わらず、注射されたDNAの肝細胞による優先的な取り込みにも関わらず、PPE−1プロモーターの組織特異性が、肝細胞発現を効率的に排除するのに充分に強力であることを確認している。

実施例14
インビボのAd5PPE−1により送達された遺伝子の細胞局在 インビボでPPE−1によって発現された遺伝子の細胞発現部位を確認するため、アデノウイルスベクターAd5PPE−1−GFPによって送達された緑色蛍光タンパク質(GFP)を使用した。 Ad5CMVGFP(Quantum,カナダ)を、非内皮細胞特異的陰性対照として使用した。 静脈注射後5日目、マウスを屠殺し、組織を蛍光顕微鏡検によって分析した。

Ad5CMVGFPベクターを注射されたマウスにおいて、肝臓における発現の大部分が肝細胞に検出され、内皮細胞には発現が検出されなかった(図20A)。 極めて対照的に、Ad5PPE−1−GFPを注射されたマウス(図20B)は、肝細胞における発現を示さず、肝臓の血管内の内皮細胞における有意な発現を示した。 同様の結果が、他の組織でも得られ、PPE−1に由来する発現は、事実上全て、内皮に検出され、CMVに由来する発現は内皮には存在しなかった。 これらの結果は、内皮細胞及び非内皮細胞を含有している器官においてすら内皮特異性が保存されていることを示している。 この所見は、増殖中の腫瘍における血管形成の予防にとって重要な意義を有している。

実施例15
インビトロのAd5PPE−1−3XLuc及びAd5PPE−1−3XGFPの効率及び内皮特異性のアッセイ 細胞におけるレポーター遺伝子ルシフェラーゼ及び緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現の駆動におけるAd5PPE−1及びAd5PPE−1−3Xの相対効率を決定するため、内皮細胞における特異的活性を、前記の細胞系を使用してインビトロで試験した。 Ad5CMVLuc及びAd5CMVGFPを、非組織特異的対照として利用した。 Ad5PPE−1Luc及びAd5PPE−1GFPを、3X配列の付加によって引き起こされた発現レベルの相対変化を確認するために利用した。

図21及び22に要約されている結果は、PPE−1−3Xプロモーターの調節下でのルシフェラーゼ活性が、非内皮細胞であるラット膵島細胞腺腫RIN、HeLA、HePG2、及び正常皮膚繊維芽細胞(NSF)における活性と比較して、EC系(ウシ大動脈内皮細胞BAEC)において5〜10倍高かったことを示している(図21及び22)。

図21は、Ad5PPE−1Luc、Ad5PPE−1−3XLuc、及びAd5CMVLucにより形質導入されたB2B細胞、BAEC細胞、及びRIN細胞におけるルシフェラーゼ活性を、光単位/μgタンパク質として示している。 最も高いルシフェラーゼ発現は、Ad5CMVLucにより形質導入されたRIN細胞において観察されたが、この構築物のBAEC細胞及びB2B細胞における発現は少なかった。 二番目に高いレベルのルシフェラーゼ発現は、Ad5PPE−1−3XLucにより形質導入されたBAEC細胞において観察された。 Ad5PPE−1Lucは、BAEC細胞において、より低いレベルで発現された。 B2B細胞系においては、Ad5PPE−1Luc及びAd5PPE−1−3XLucが、ほぼ同一のレベルで発現された。

全体として、PPE−1−3Xプロモーターの調節下での内皮細胞系におけるルシフェラーゼ活性は、同一感染条件(moi=10)で、PPE−1プロモーターの調節下よりも23倍高く、CMVプロモーターの調節下よりも23〜47倍高かった。 これは、非内皮RIN細胞におけるルシフェラーゼ発現は、CMVプロモーターの調節下の方が3000倍高かった(図21)という事実にも関わらずである。

PPE−1及びPPE−1−3Xが、他の非内皮細胞系列において不活性であることを確立するため、HeLA細胞系、HepG2細胞系、NSF細胞系を形質導入した。 BAECを、内皮対照として利用した。 図22は、Ad5PPE−1Luc、Ad5PPE−1−3XLuc、及びAd5CMVLucにより形質導入されたHeLA細胞系、HepG2細胞系、NSF細胞系、及びBAEC細胞系におけるルシフェラーゼ活性を光単位/μgタンパク質として示している。 Ad5CMVLucによる形質導入は、HeLA細胞、HepG2細胞、及びNSF細胞において、高レベルのルシフェラーゼ発現を引き起こした。 これらの細胞系は、PPE−1の調節下ではルシフェラーゼを発現せず、PPE−1−3Xプロモーターでは低レベルでルシフェラーゼを発現した。 予想通り、Ad5PPE−1Luc又はAdSPPE−1−3XLucにより形質導入されたBAEC細胞は、高いルシフェラーゼ発現を示した。

これらの結果は、総合すると、PPE−1プロモーターへの3X配列の導入が、非内皮細胞における不要な発現を防止しつつ、内皮細胞系における発現レベルを増加させたことを示している。

PPE−1プロモーターへの3X配列の付加は、moi=1により形質導入されたBAECにおけるGFP発現を図示している図23A〜Cに示されるように、EC系(ウシ大動脈内皮細胞BAEC)における緑色蛍光タンパク質発現のレベルも増加させた。 この実験において、CMVプロモーターを使用した場合には、GFPの発現は観察されなかった。

図23中、パネルAは、Ad5PPE−1−3XGFPにより形質導入された細胞を示し、パネルBはAd5PPE−1GFPにより形質導入された細胞を示し、パネルCはAd5CMVGFPを示している。 ここでも、PPE−1プロモーターへの3X配列の導入は、レポーター遺伝子の発現を有意に増加させた。 この結果は、内皮特異的エンハンサーとして機能する3X配列の能力が、転写される下流遺伝子の機能ではないことを示している。

さらに、Ad5PPE−1−3X−GFP及びAd5PPE−1GFPによる形質導入は、図24〜27に要約されるように、CMVプロモーターの下での高い発現と比較して、非内皮細胞SMC、HelA、HePG2、及び正常皮膚繊維芽細胞(NSF)においてGFP発現をもたらさなかった。

図24は、moi=1のAd5PPE−1−3XGFP(パネルA)又はAd5CMVGFP(パネルB)のいずれかにより形質導入されたSMCにおけるGFP発現を示している。 高レベルのGFP発現が、Ad5CMVGFP形質導入から生じたが、Ad5PPE−1−3XGFP形質導入による形質導入からは、GFP発現が生じなかった。

図25は、HeLa細胞において行われた同様の実験の結果を示している。 先の図と同様に、パネルAはAd5PPE−1−3XGFPにより形質導入された細胞を示し、パネルBはAd5CMVGFPにより形質導入された細胞を示している。 ここでも、高レベルのGFP発現が、Ad5CMVGFP形質導入から生じたが、Ad5PPE−1−3XGFP形質導入による形質導入からは、GFP発現が生じなかった。

図26は、HepG2細胞において行われた同様の実験の結果を示している。 先の図と同様に、パネルAはAd5PPE−1(3X)GFPにより形質導入された細胞を示し、パネルBはAd5CMVGFPにより形質導入された細胞を示している。 ここでも、高レベルのGFP発現が、Ad5CMVGFP形質導入から生じたが、Ad5PPE−1−3XGFP形質導入からは、GFP発現が生じなかった。

図27は、NSF細胞において行われた同様の実験の結果を示している。 先の図と同様に、パネルAはAd5PPE−1−3XGFPにより形質導入された細胞を示し、パネルBはAd5CMVGFPにより形質導入された細胞を示している。 ここでも、高レベルのGFP発現がAd5CMVGFP形質導入によって生じたが、Ad5PPE−1−3XGFPによる形質導入からは、非常に低いGFP発現が生じた。

これらの結果は、総合すると、配列番号:7の3X配列を含有している修飾型PPE−1プロモーターを使用することにより、高レベルの内皮特異性及び高レベルの内皮発現が得られることを示している。

実施例16
インビボでAd5PPE−1−3Xによって送達されたレポーター遺伝子の細胞局在 インビボでPPE−1−3Xプロモーターの調節下で発現されたレポーター遺伝子の細胞局在パターンを決定するため、Ad5PPE−1−3XGFP及びAd5PPE−1GFPを、前記のようなマウスに注射した。 静脈注射後5日目、マウスを屠殺し、組織を蛍光顕微鏡検によって分析した。

Ad5PPE−1−3XGFPを注射されたマウスの肝臓、腎臓、及び脾臓の血管の内皮細胞には、Ad5PPE−1GFPを注射されたマウスと比較して有意に高いGFP活性が観察された。 図28A及びBは、代表的な結果を示している。

図28Aは、Ad5PPE−1GFPを注射されたマウスの血管を裏打ちしている内皮細胞における低レベルのGFP発現を示している。 図28Bは、構築物への3X配列の付加によって、はるかに高いレベルのGFP発現が生じたことを示している。

血管の裏打ちにおける高発現にもかかわらず、肝細胞、糸球体、上皮細胞、及び脾細胞には発現が検出されなかった(図29及び30)。

図29は、注射されたマウスの腎組織からの代表的な結果を示している。 Ad5CMVGFPを注射されたマウス(図29A)、Ad5PPE−1GFPを注射されたマウス(図29B)、及びAd5PPE−1−3XGFPを注射されたマウス(図29C)は、全て、腎細胞における低いGFP活性を示した。 図29Bにおいては、わずかに高いGFP発現が、血管壁に可視である(矢印によって示されている)。

図30は、注射されたマウスの脾組織からの代表的な結果を示している。 Ad5CMVGFPを注射されたマウス(図30A)、Ad5PPE−1GFPを注射されたマウス(図30B)、及びAd5PPE−1−3XGFPを注射されたマウス(図30C)は、全て、脾臓の細胞における低レベルのGFP活性を示した。 Ad5PPE−1−3XGFPを注射されたマウスの血管には、比較的高いGFP活性が可視である(矢印によって示されている)。

これらの結果は、PPE−1プロモーター及びPPE−1−3Xプロモーターが、いずれも、インビボで内皮細胞特異的であることを確証した。 さらに、両プロモーターの活性が、非増殖内皮組織、即ち、健康な器官の血管に限定されていたことも示唆している。 従って、腫瘍血管形成モデルにおけるアッセイを行った。

実施例17
インビボの腫瘍新血管新生におけるAd5PPE−1構築物のアッセイ レポーター遺伝子の発現を腫瘍内の血管形成性血管へと特異的に指向させるAd5PPEの能力を確認するため、(材料及び方法に既に記載された)マウスLLCモデルを利用した。 一つの実験において、腫瘍新血管新生中のルシフェラーゼ発現を、Ad5PPE−1Luc又はAd5CMVLuc(各10 10 pfu/ml)の全身注射後5日目に試験した。

この実験においては、原発腫瘍モデル及び転移腫瘍モデルの両方へのAd5CMVLucの全身注射が、原発腫瘍又は転移肺における最小の発現をもたらした。 この発現レベルは、未処置の正常肺においてCMVによって指向された最小のルシフェラーゼ発現と類似していた(図35;黒バー;n=12)。 極めて対照的に、PPE−1プロモーター(図35;白バー;n=9)の調節下では、高度に血管形成性の肺転移が、低血管新生性の原発腫瘍及び未処置肺におけるルシフェラーゼ活性より約200倍高かったルシフェラーゼ活性と関連していた。

肝臓、腎臓、心臓、及び膵臓のような非転移組織におけるルシフェラーゼ発現は最小であった。 大動脈における発現レベルは、転移肺におけるレベルの約30%であった。

LLCモデルにおける付加的な実験においては、Ad5PPE−1GFP及びAd5CMVGFP構築物を、原発腫瘍及び転移肺におけるレポーター遺伝子発現の局在位置を決定するために利用した。

腫瘍細胞自体には発現が検出されなかったが、Ad5PPE−1GFPを注射されたマウスは、原発腫瘍の血管における高レベルのGFP特異的発現を示した(図47C)。 この観察は、実施例20に提示されたLLC細胞培養モデルの結果と一致している。 肺転移において、高レベルのGFP発現が、転移巣の大きな動脈及び小さな血管形成性血管の両方に検出された(図47A)。 正常肺組織には、発現が検出されなかった。 内皮細胞局在は、GFP発現(図47A)及びCD31抗体免疫染色(図47B)の共局在によって証明された。 著しく対照的に、Ad5CMVGFPを注射されたマウスにおいては、原発腫瘍にも肺転移にもGFP活性が検出不可であった。

図47Cは、Ad5PPE−1GFPの腫瘍内注射の後の原発腫瘍の血管におけるGFP発現を例示している。 図47Dは、腫瘍及びその血管を例示するパネルCと同一物の位相差画像である。

これらの結果は、PPE−1が腫瘍細胞自体においては高レベルの発現を駆動せず、このプロモーターが、腫瘍内の血管内皮、特に急速に増殖中の血管形成性血管において高レベルの発現を駆動することを示している。

原発皮下腫瘍モデルへのAd5CMVの腫瘍内注射は、腫瘍組織において高いルシフェラーゼ発現をもたらし、肝臓において中レベルの発現をもたらした(腫瘍において発現された量の10%;図53)。 転移肺には、発現が検出されなかった。 他方、腫瘍内注射した場合、PPE−1プロモーターの調節下でのルシフェラーゼ発現は、原発腫瘍及び転移肺において類似したルシフェラーゼ発現レベルをもたらし、肝臓には発現が検出されなかった。

実施例18
癌細胞培養系におけるAd5PPE−1構築物のアッセイ 癌細胞においてルシフェラーゼ発現を駆動するAd5PPE−1及びAd5CMVの効率をアッセイするため、D122−96ルイス肺癌細胞系を利用した。

様々な感染多重度(moi)におけるインビトロ形質導入を達成した。 結果は、両方のアデノウイルスベクターが、ルシフェラーゼ遺伝子をこれらの細胞へと形質導入しうることを示している(表4)。 それにも関わらず、LLC細胞においてPPE−1プロモーターによって指向されたルシフェラーゼ活性は、内皮細胞において検出された活性よりはるかに低く、それぞれ50光単位/μgタンパク質対1000〜2500光単位/μgタンパク質であった。

実施例19
インビボの腫瘍血管形成性血管における3X配列の効果のアッセイ 血管形成性血管におけるPPE−1プロモーターに対する3X配列の効果を確認するため、(材料及び方法に既に記載された)ルイス肺癌(LLC)転移モデルを利用した。 10 10感染単位のAd5PPE−1GFP、Ad5PPE−1−3XGFP、又はAd5CMVGFPのIV注射後5日目、マウスを屠殺し、材料及び方法に記載されたようにして組織を分析した。

図31A〜Dは、生理食塩水を注射された対照マウス(図31A)、Ad5CMVGFPを注射されたマウス(図31B)、Ad5PPE−1GFPを注射されたマウス(図31C)、及びAd5PPE−1−3XGFPを注射されたマウス(図31D)の転移肺におけるGFP発現を要約している。 抗CD31免疫染色(図31C'〜31D')は、各転移組織内のGFP発現の位置を確証している。 結果は、対照の生理食塩水を注射されたマウスにはGFP発現が検出されず(図31A)、CMVを注射されたマウスの上皮気管支の周囲にはわずかな発現が存在したが、これらのマウスの転移肺の血管形成性血管には存在しなかったことを示している(図31B)。 低いGFP発現が、Ad5PPE−1GFPを注射されたマウスの転移肺に観察され(図31C及び31C')、高度かつ特異的な発現が、Ad5PPE−1−3XGFPを注射されたマウスの新血管に観察された(図31D及び31D')。

これらの結果は、実施例15のインビボの結果と、実施例7、8、及び11のインビトロの結果との間の見かけの矛盾を説明する。 PPE−1プロモーター及びPPE−1−3Xプロモーターは、いずれも内皮特異的である。 しかしながら、3X配列は、増殖中の腫瘍内の新たに形成されつつある血管のような、急速に増殖中の内皮組織における発現レベルを大きく増加させる。

実施例20
腫瘍血管形成性血管におけるPPE−1プロモーターに対する3X因子の効果 腫瘍血管形成性血管におけるPPE−1プロモーターの効力及び特異的活性に対する本発明の3X因子の効果を研究するため、LLC転移モデルを利用した。 10 10 pfu/mlのAd5PPE−1Luc、Ad5PPE−1−3XLuc、Ad5CMVLuc、Ad5PPE−1GFP、Ad5PPE−1−3X−GFP、又はAd5CMVGFPのi. v. 注射後5日目に、マウスを屠殺し、前記のようにして、組織をルシフェラーゼ又はGFPの発現に関して分析した。

図48は、Ad5PPE−1−3XLuc、Ad5PPE−1Luc、又はAd5CMVLucの全身注射の後の、正常肺におけるルシフェラーゼ発現と、転移肺におけるルシフェラーゼ発現とを比較したヒストグラムである。 実験群は、Ad5CMVLuc(n=7;黒バー)、Ad5PPE−1Luc(n=6;灰色バー)、及びAd5PPE−1−3XLuc(n=13;茶色バー)であった。 活性は、光単位/μgタンパク質として表されている。

PPE−1−3Xプロモーターの調節下でのルシフェラーゼ発現は、正常肺における活性と比較して転移肺においては35倍大きく、3X因子を含まないPPE−1プロモーターによって駆動された発現より3.5倍高かった(p<0.001)。 Ad5PPE−1−3XLucを注射されたマウスのその他の組織には、極めて低いルシフェラーゼ活性が検出された。 注射された各動物の肝臓に対する比率(%)として肺におけるルシフェラーゼ発現を計算すると、転移肺における活性が、正常肺における活性と比較して10倍増加していることが明らかとなった(図49)。

特定の細胞型へのレポーター遺伝子発現の局在を決定するため、GFP構築物を利用した。 図50は、Ad5PPE−1−3XGFPを注射されたマウスの転移肺におけるGFP発現を示している(図50A)。 CD31抗体による免疫染色(図50B)は、新血管におけるGFP発現の位置を確証している。 GFP発現は、対照の生理食塩水を注射されたマウスには検出されなかった。 CMVを注射されたマウスの上皮気管支の周囲には低レベルの発現が検出されたが、転移肺の血管形成性血管には検出されなかった。 要約すると、これらの結果は、発現レベルの大きな増加が、Ad5PPE−1構築物への3X因子の導入に起因したこと、及びこの増加した発現が、腫瘍の血管形成性血管に特異的であったことを示している。 可能性として、目的の配列の発現レベルをさらに強化するため、観察された効果を、前記の低酸素応答と共役させることができるかもしれない。

実施例21
PPE−1低酸素応答のさらなる特徴決定 マウスPPEプロモーター活性に対する低酸素の効果をさらに特徴決定するため、ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)を、DNAプラスミド(pEL8;図37A)によってトランスフェクトした。 pEL8プラスミドは、マウスPPE−1プロモーター(1.4kb)(赤)、ルシフェラーゼ遺伝子(1842bp)、SV40ポリA部位、及びエンドセリン−1遺伝子の第1イントロンを含有している。 全部でPPE−1プロモーターカセットと名付けられたこれらは、材料及び方法に記載されたようにして、BamHI制限酵素によって消化され、抽出された。 トランスフェクション後、細胞を低酸素条件に曝した。

18時間の低酸素(0.5%O )に曝されたトランスフェクトされたBAECにおけるルシフェラーゼ発現は、正常酸素環境において増殖させられた細胞におけるルシフェラーゼ発現より8倍高かった(図32)。 図32は、マウスPPE−1プロモーターを含有するプラスミドによってトランスフェクトされたBAECにおけるルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)が、トランスフェクトされた細胞を低酸素環境においてインキュベートした場合、有意に高くなったことを示している。 β−ガラクトシダーゼレポーターベクターとの共トランスフェクション、及びLacZ活性のアッセイにより、等しいトランスフェクション効率が確証された。

アデノウイルスベクターによって送達されたマウスPPE−1プロモーターも低酸素によってアップレギュレートされるか否かを決定するため、BAECをAd5PPE−1Lucにより形質導入した。 この実験において、Ad5CMVLucを非特異的対照として使用した。 結果は、図33に要約されているように、Ad5PPE−1Lucにより形質導入されたBAECにおける低酸素時のルシフェラーゼ活性についてである。 全く対照的に、Ad5CMVにより形質導入された細胞において、正常酸素と低酸素との間で有意な差が検出されなかった(図33)。

PPE−1プロモーター活性の増強が内皮細胞に特異的であるか否かを理解するため、種々の細胞系(BAEC、B2B、CHO、RIN、及び心筋細胞)を、Ad5PPE−1によって形質導入し(moi=10)、低酸素環境(0.5%O )又は正常酸素環境に曝した。 結果は、図34に要約されている。 ルシフェラーゼ発現は、低酸素環境において培養されたB2B細胞においてわずかに増加し、BAEC細胞において有意に増加した。 その他の細胞系におけるルシフェラーゼ発現は、正常酸素と比較して、低酸素環境によって減少した。 これらの結果は、PPE−1プロモーターの低酸素誘導が、主に、内皮細胞系列において起こることを確証している。

実施例22
PPE−1低酸素応答に対する3X配列の効果 PPE−1低酸素応答に対する3X配列の効果を確認するため、BAECをAd5PPE−1Luc及びAd5PPE−1(3X)Lucによって形質導入した。 形質導入後、BAEC細胞を、既に詳述されたようにして、低酸素環境又は正常酸素環境のいずれかでインキュベートした。 結果は、図35に要約されている。 Ad5PPE−1Luc構築物を使用した場合のルシフェラーゼ発現は、低酸素に応答して有意に増加した(7倍)(低酸素において2578、正常酸素において322.1)。 対照的に、Ad5PPE−1(3X)Luc構築物は、低酸素に応答してわずか1.5倍の増加を示した(正常酸素条件における2874.5から低酸素条件における4315まで)。 これらの結果は、3X配列がPPE−1プロモーターに付加された場合に観察された、正常酸素時の高い発現レベルが、ある程度、低酸素応答を隠蔽するよう働いていることを示している。

実施例23
トランスジェニックマウスモデルにおける低酸素に対するPPE−1プロモーターの応答のアッセイ 局部的な低酸素/虚血に供された組織におけるマウスPPE−1プロモーター活性を調査するため、材料及び方法に既に記載されたmPPE−1−Lucトランスジェニックマウスを利用した。 以前に記載されたようにして(Couffinhal T. et al、(1998)Am.J.Pathol.152;1667−1679)、マウスを局部的な後肢虚血へと誘導した。 簡単に説明すると、ペントバルビタールナトリウム(40mg/kg、IP)で動物に麻酔を施した。 後肢の一側性虚血を、伏在動脈及び膝窩動脈の分岐からおよそ2mm近位の右大腿動脈の結紮によって誘導した。 灌流の機能変化の誘導を確かめるため、7.5MHzトランスデューサー及び血管造影ソフトウェアを装備したシナジー(Synergy)超音波システム(GE)によって、超音波画像法を4日目及び14日目に実施した。 動物は、最大18日間、従来の条件の下で収容した。

結紮後2日目、5日目、10日目、及び18日目に、虚血筋肉、正常非結紮筋肉、肝臓、肺、及び大動脈におけるルシフェラーゼ発現をアッセイした。

図36に要約された結果は、結紮後数日間、肝臓、肺、及び大動脈において有意な差が検出されなかったが、正常非結紮筋肉及び虚血筋肉の両方において、ルシフェラーゼ遺伝子発現が大腿結紮の後に増加したことを示している。 虚血筋肉における最高ルシフェラーゼ発現は、結紮後5日目に検出され、非結紮筋肉における最高ルシフェラーゼ発現は、大腿動脈結紮後10日目に検出された。 これは、PPE−1プロモーターの低酸素応答が、インビボ系において機能的であることを示している。 非虚血筋肉におけるルシフェラーゼ発現は、対照の非施術組織(0日目)における発現と比較して、試験された数日間、変化しなかった。 対照的に、虚血筋肉におけるルシフェラーゼ発現は、5日目に、他の時点よりも有意に高くなった。

5日目、PPE−1により駆動されたルシフェラーゼ発現は、対照の非施術マウスより、そして10日目及び18日目の虚血筋肉と比較して、2.5倍高かった(図51)。

局部虚血に曝されたトランスジェニックマウスの肝臓、肺、及び大動脈を含む他の非虚血組織におけるルシフェラーゼ発現は、虚血誘導後18日以内に、これらの組織におけるルシフェラーゼ発現の有意な変化を明らかにしなかった(図52)。

さらに、これらの結果は、内皮組織を高い比率(%)で含有している組織(肺及び大動脈)におけるルシフェラーゼ発現が、内皮組織を低い比率(%)で含有している組織(肝臓及び非虚血筋肉)より高かったことを確証している。

実施例24
内皮細胞におけるAd5PPE−1Luc活性に対する細胞増殖レベルの効果 Ad5PPE−1Lucの効率及び特異的活性に対する細胞増殖レベルの効果を確認するため、内皮細胞(BAEC)の血管形成モデルをインビトロで試験した。 形質導入されたBAECを、血清枯渇によって休止状態へと誘導するか、又は正常な増殖のため10%FCSで増殖させた。 簡単に説明すると、細胞を、血清枯渇後72時間目の休止細胞として、又は正常培地(10%FCS)中の増殖細胞として、48時間、形質導入した。 ルシフェラーゼ活性は、細胞量の差について規準化するため、光単位/μgタンパク質として表される。 提示された結果は、4回の代表的な独立した実験からのトリプリケート試験の平均値である。

PPE−1プロモーター(白バー;図39)の調節下での正常増殖BAECにおけるルシフェラーゼ発現は、休止細胞より4倍高く、CMVプロモーター(黒バー;図39)の調節下でのルシフェラーゼ発現より25倍高かった。 さらに、増殖細胞では、PPE−1プロモーターの調節下での活性が、CMVプロモーター調節下での活性より10倍高かった。

血管形成条件をインビトロで模倣するため、40ng/ml血管内皮増殖因子(VEGF)の添加によって急速な増殖へと誘導されたBAECにおいて、Ad5PPE−1Luc活性を試験した。 これらの条件下での活性を、前記のような正常増殖細胞及び休止細胞における活性と比較した。 VEGFにより細胞増殖へと誘導されたBAECにおけるルシフェラーゼ発現は、正常増殖細胞よりも44倍高く、休止細胞よりも83倍高かった(図40)。

総合すると、これらの実験は、PPE−1プロモーターの転写調節下での目的の配列の活性レベルが、細胞増殖レベルの関数であり、急速な増殖は、より高い発現レベルを引き起こすことを示している。

実施例25
アテローム性動脈硬化誘導マウスにおけるPPE−1プロモーターのアッセイ アテローム性動脈硬化血管におけるAd5PPE−1ベクターの効率及び特異性を試験するため、10 10 pfu/mlのウイルスベクターを、6ヶ月齢ApoE欠損マウス(Plump,A.S. et al、Cell;1991;71:343−353)へと全身注射した。

ApoE欠損マウスは、加齢するにつれ、脂質範囲食への誘導なしに、高コレステロール値、及び広範なアテローム生成斑を発症する。 図43は、スーダン(Sudan)−IVによって着色された、ApoE欠損マウスから解剖された大動脈の写真である。 胸大動脈は比較的少ない赤色に染色されたアテローム性動脈硬化巣を含有しており、腹領域は高度にアテローム性動脈硬化性であることに注意されたい。 (図43は、 125 I−HDL及び125 I−BSAによる大動脈アテローム性動脈硬化巣の画像法(A.Shaish et al、Pathobiology−Pathobiol 2001;69:225−9)より編集した)。

図44は、Ad5PPE−1Luc(白バー;n=12)及びAd5CMVLuc(黒バー;n=12)のApoE欠損マウスへの注射後5日目に観察されたルシフェラーゼ発現を要約している。 結果は、比較的少ないアテローム性動脈硬化巣を含有している胸部、及びアテローム性動脈硬化巣に富む腹大動脈における絶対ルシフェラーゼ発現として提示されている。

PPE−1プロモーターにより調節されたルシフェラーゼ発現は、CMVプロモーターの調節下での発現と比較して、高度にアテローム性動脈硬化性の腹動脈においては6倍高く、わずかにアテローム性動脈硬化性の胸大動脈においては1.6倍高かった。

Ad5PPE−1Lucを注射されたマウスにおいては二つの大動脈領域間に有意差が観察されなかったが、Ad5CMVLucを注射された群の胸大動脈においては、病巣を含有している腹大動脈における低い発現と比較して、より高いルシフェラーゼ発現が観察された。

これらの結果は、構成性プロモーター(CMV)はアテローム性動脈硬化が最も重度である区域において機能を停止する傾向を有しており、PPE−1プロモーターは、疾患進行によって比較的影響を受けないことを示している。

実施例26
創傷治癒モデルにおけるPPE−1プロモーターのアッセイ Ad5PPE−1構築物の、治癒中の創傷血管へルシフェラーゼ発現を指向させる効率及び特異性を試験するため、材料及び方法に既に記載されたようなマウス創傷治癒を利用した。

他の実験と同様に、Ad5CMVLucを、非組織特異的対照として使用した。 PPE−1プロモーター(図45;白バー)の調節下でのルシフェラーゼ活性は、CMV調節下(図45;黒バー)で観察された活性と比較して、正常領域(6.8±3.2)においても、治癒中の創傷領域(5±1.6)においても高かった。

CMVプロモーター及びPPE−1プロモーターの両方が、治癒中の創傷における減少した発現レベルを示したため、これらの結果は、解釈が困難である。 この予想外の観察に関わらず、PPE−1プロモーターが、正常組織においても治癒中の組織においてもCMVプロモーターより高い発現レベルを駆動することは明らかである。 壊死瘢痕組織の存在が、治癒中の創傷における両プロモーターにより観察された減少した発現レベルの原因であるかもしれない。

実施例27
虚血マウス血管へのVEGF及びPDGF−Bの標的化された発現 血管形成のインビボ誘導は内皮細胞からなる原始的な血管ネットワークをしばしば生ずる。 これらの未熟な血管は容易に崩壊し、退行しやすく、漏れやすく貧弱な灌流しか行なえない。 これらの制限を克服するため、内皮細胞並びに内皮の周囲の細胞(即ち、小さな血管の周皮細胞又は大きな血管の平滑筋細胞)を増加させることができる様々な血管形成因子の局所化され時間及び用量を制御された送達が望ましい。

修飾されたプレプロエンドセリン−1プロモーターPPE−1−3Xが虚血肢筋肉においてVEGF又はPDGF−B(平滑筋細胞を分泌源の方に向かって増加させ、これにより新規に形成された血管の透過性過多を防止する内皮分泌因子)を発現させるために用いられた。

虚血組織におけるVEGF及びPDGF−Bの発現を決定するため、インサイチューハイブリダイゼーションが行なわれた。 図54A〜Cに示される通り、Ad5PPE−1−3XVEGF処置マウスからの虚血筋肉切片ではVEGF mRNAの有意な発現が検出できたが、Ad5CMVVEGF又は生理食塩水で処置されたマウスの筋肉切片には本質的にいかなるシグナルも見られなかった。 同様に、PDGF−BのmRNAの存在はAd5PPE−1−3XPDEGF−Bで処置されたマウスの虚血肢筋肉では検出されたが、Ad5CMVPDGF−B又は生理食塩水で処置されたマウスでは検出されなかった(図54E〜G)。 興味深いことに、図12A及び12Eにおけるシグナルのパターンは血管構造に似ていた。 特に、様々な処置群からの代表的な肝臓切片はAd5CMV処置マウスでのVEGF又はPDGF−Bの多大な発現を証明したが(図54D及び54H)、Ad5PPE−1−3Xベクターで処置されたマウスの肝臓では発現は検出されなかった(データは示さず)。

総合すると、このアッセイはAd5PPE−1−3Xベクターが標的器官での血管形成因子の測定可能な発現を媒介するが、構成的なAd5CMVベクターはほとんどもっぱら肝組織でそれらのトランスジーンを発現したことを示す。

実施例28
PPEによって媒介されるVEGF発現による増大された血管形成 Ad5PPE−1−3XVEGFの治療効果が以前に報告されているAd5CMVVEGFの治療効果と比較された。 10 PFUsの治療ベクター並びにレポーターベクターAd5CMUルシフェラーゼ及び等体積の対照としての生理食塩水が大腿動脈結紮後5日目のマウスに全身投与された。 両肢の医療的観点の超音波(US)画像が血管造影モードで撮影された。 図38A〜Dに示される通り、結紮後21日目には対照の動物では灌流のシグナルは減少し、短くなった;しかし、Ad5PPE−1−3XVEGF及びAd5CMVVEGFの両方で処置されたマウスのUS画像においては連続的な増大されたシグナルが見られた。 二つのVEGF処置群における21日目の灌流の平均強度は対照群のそれより3倍以上高く(p<0.01)、動物の正常な反対側の肢から記録された値と同様であった(図38E)。 大腿動脈結紮後21日目に抗CD−31(内皮特異的マーカー)を用いて行なわれた免疫組織化学分析は、それぞれAd5CMVVEGF及び対照群での585及び485 CD31+細胞/mm と比較してAd5PPE−1−3XVEGF処置マウスの虚血筋肉切片では546 CD31+細胞/mm の平均を示した(図38F)。 このデータは、Ad5PPE−1−3XVEGFを用いた短期間の処置はAd5CMVVEGFの強力なCMVプロモーターを用いた処置と同じほど有効であるということを示す。 さらに、H&Eで染色されたマウスの肝臓切片は肝炎又は他の病気による慢性変化の徴候を示さず(データは示さず)、従って肝細胞に対するアデノウイルスの局所効果を妨げた。

実施例29
PPEによって制御される発現によるVEGF遺伝子治療の延長された効果 血管形成因子の構成的発現に対する対組織特異的発現が血管形成の誘導に関して指向された。 灌流及び血管形成に対するPPEによって制御される及びCMVによって制御されるVEGF発現の効果が70日の長期間にわたる実験で試された。 虚血肢を有するマウスは上述のようにして処置された(実施例28参照)。 US画像形成はウイルス投与の1〜2週間後に始まる両処置群における灌流の有意な改善を示したが、対照群では変化はほとんど検出されなかった(データは示さず)。 Ad5PPE−1−3XVEGFの長期間の効果は大腿動脈結紮後50日目及び60日目に検出された。 Ad5CMVVEGF又は生理食塩水処置マウスと比べてAd5PPE−1−3XVEGF処置マウスでは灌流が有意に増大した。 Ad5CMVVEGF処置マウスと対照の処置マウスとの間の灌流の差はこの時点にわたって減少した。 50日目、Ad5PPE−1−3XVEGF処置群における灌流の平均強度はAd5CMVVEGF又は生理食塩水処置マウスより約50%高く、対照の正常な肢のそれと同様であった(p<0.01、図55A)。 70日目の動物の屠殺時、Ad5PPE−1−3XVEGF処置マウスの筋肉切片における毛管密度は747 CD31+細胞/mm であり、これはAd5CMVVEGF群(474 CD31+細胞/mm )より57%高く、対照群(342 CD31+細胞/mm )より117%高かった(p<0.01、図55B)。

実施例30
PPEプロモーターの内皮特異的PDGF−B発現による増大された血管形成 PDGF−Bはパラクリン内皮分泌因子であり、平滑筋細胞の増加による血管成熟に及びたぶん血管形成にも関与していることが示されている[Edelberg,J. M. et al. Circulation 105,608−13. (2002);Hsu et al. J Cell Physiol 165,239−45. (1995);Koyama,N. et al. J Cell Physiol 158,1−6. (1994)]。 PDGF−Bは内膜の肥厚に関与していること[Sano,H. et al. Circulation 103,2955−60. (2001);Kaiser,M. ,et al. Arthritis Rheum 41,623−33. (1998)]及び繊維芽細胞の増殖に関与していること[Nesbit,M. et al. Lab Invest 81,1263−74. (2001);Kim,W. J. et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 40,1364−72. (1999). ]も示されている。 内皮特異的制御下で血管形成を誘導するPDGF−Bの能力がインビトロ及びインビボで試された。

Ad5PPE−1−3XPDGF−BベクターはAd5PPE−1−3XVEGFと同様にインビトロで内皮細胞に血管形成性変化を誘導した(データは示さず)。 フィブリン被覆された培養器で培養された内皮細胞の10 MOIのAd5PPE−1−3XPDGF−Bでのトランスダクションは二次元円形構造の形成及びフィブリン分解を生じた。

インビボでの効果については、マウスは大腿動脈結紮後5日目に10 PFUsのAd5PPE−1−3XPDGF−Bで全身処置された。 結紮後30日目にAd5PPE−1−3XPDGF−B処置マウスにおける灌流の平均強度は対照群のそれより約90%高かった(図56A)。 結紮後80日目にはAd5PPE−1−3XPDGF−B処置群における灌流の強度は対照群より60%高かった(図56B)。

毛管密度は結紮後35日目及び90日目に測定された。 短期間ではAd5PPE−1−3XPDGF−B処置マウスの虚血筋肉切片における平均毛管密度は516 CD31+細胞/mm であり、生理食塩水処置群ではそれは439であった(図56C)。 結紮後90日目ではAd5PPE−1−3XPDGF−B処置マウスにおける平均毛管密度はわずかに増大して566 CD31+細胞/mm であったが、対照群ではそこそこの減少が検出された(378 CD31+細胞/mm 、図56D)。

これらの結果は、Ad5PPE−1−3XPDGF−Bベクターはそれ自体が強い血管形成処置であり、これは投与後の短期間で血管形成を誘導するのみならず、長期間にわたり治療効果を維持することができることを示す。 Ad5PPE−1−3XPDGF−Bで処置されたマウスの肝臓では慢性的な変化は検出されていない。

実施例31
内皮細胞でのPDGF−B発現による血管成熟 VEGF及びPDGF−Bの両方を組合せ治療で用いることによって血管形成及び血管構造の成熟のさらなる増加が達成されるという仮定が次の二つの治療モダリティーを用いて試された:(i)10 PFUsのAd5PPE−1−3XVEGF及び10 PFUsのAd5PPE−1−3XPDGF−Bの単回投与;(ii)Ad5PPE−1−3XVEGFの投与後5日目の同様の容量のAd5PPE−1−3XPDGF−Bの投与。 両方のモダリティーは同一の結果を生じ、それ故一体として言及される。 結紮後90日目に、組合せ治療及びAd5PPE−1−3XVEGF処置マウスの両方は対照のAd5PPE−1−3XGFP処置マウスと比べて有意に高い毛管密度を示したが、様々な治療群の間には有意差は見られなかった(図57B)。 しかし、組合せ治療群のUS画像形成における灌流の平均強度はAd5PPE−1−3XVEGF処置群より42%高かった(図57A)。 これは組合せ治療群及びAd5PPE−1−3XPDGF−B処置マウスの虚血筋肉における小さな血管の成熟によって説明することができる。 血管平滑筋細胞に対する有意な染色が、組合せ治療又はAd5PPE−1−3XPDGF−Bで処置されたマウスからの、α−SMアクチンについて免疫染色された筋肉切片で見られた(図57C〜D)。 まばらな染色が対照及びAd5PPE−1−3XVEGF処置マウスで見られることができる(図57E〜F)。 正常な肢の筋肉では、大きな細動脈及び細静脈のまわりに顕著な染色が見られた(図57G)。 同様の結果はAd5PPE−1−3XPDGF−Bで処置されたマウスにおいて早くも結紮後35日目に得られた(データは示さず)。 結紮後35日目に処置マウスの肝臓切片には慢性の変化は見られなかった。

これらの結果は個別の実験でさらに強固にされた。 この実験は結紮後50日目の血液灌流に対するPDGF−B単独及び組合せ治療の効果に指向されていた。 図58に示される通り、結紮後50日目に組合せ治療における血液の灌流強度は正常な肢のそれに完全に似ていた。 この効果はPPE−3X依存性であった。 何故なら両方の増殖因子の構成的発現(CMVプロモーター)は半分の灌流能力しか生じなかったからである。 興味深いことに、PDGF−B単独のPPE−3X依存性発現は組合せ治療によって誘導されるのとほぼ同レベルの灌流(即ち77%)を媒介することができた。 しかし、かかる結果は構成的プロモーターを用いた場合は明らかではなかった。

これらの結果は、PPE−1−3Xプロモーターは全身的な投与にもかかわらず、血管形成性内皮細胞における優先的な発現に妥協することなく治療遺伝子の十分強力な活性化をもたらすことができるという証拠になる。 さらに、これらの結果は、VEGFの如き良く確立された血管形成増殖因子のさらなる添加なしにその血管形成作用を媒介することができる血管形成因子としてのPDGF−Bの能力を強固にする。

実施例32
AdPPE−1(3x)−TKベクターの構築と特性決定 HSV−TK/GCVは、最も広く研究され実行されている腫瘍細胞を減少させる遺伝子−薬剤の併用である。 HSV−TK含有プラスミドでトランスフェクトされた細胞又はHSV−TK含有ベクターを形質導入された細胞は、アシクロビル、ガンシクロビル(GCV)、バルシクロビル及びファムシクロビルを含む薬剤スーパーファミリーに感受性になっている。 グアノシンの類似体のGCVは、TKと組み合わせると最も活性の薬剤である。 HSV−TK陽性細胞はウイルスTKを産生し、このウイルスTKは、GCVをリン酸化して一リン酸GCV(GCV−MP)にする際、ヒトTKより1000倍有効である。 GCV−MPは、次いで天然のチミジンキナーゼによってリン酸化されて二リン酸GCVになり最終的に三リン酸GCV(GCV−TP)になる。

最初、2種のプラスミドを調製した。 一方のプラスミドは、修飾されたマウスプレプロエンドセリン−1(PPE−1(3x))プロモーターによって制御されたHSV−TK遺伝子を含有し、生体外でPPE−1(3x)プロモーターによって制御された遺伝子の効力を試験するために調製した。 アデノウイルスの配列のみならずPPE−1(3x)プロモーターによって制御されたHSV−TK遺伝子を含有するより大きいプラスミドを、相同的組換えによってウイルスベクターを調製するために調製した。 4348 bpのプラスミドpORF−HSV1TKを2種の制限酵素によって消化して、HSV−TK遺伝子(1190 bp)を得た。 SalI制限部位はHSV−TK遺伝子の5'末端に位置し、そしてEcoRI部位は3'末端に位置していた。 そのHSV−TK遺伝子を、挿入された遺伝子(HSV−TK遺伝子の3'末端に)の上流にNotI制限部位を含有する3400 bpのプラスミドpBluescript−SKのマルチプルクローニング部位に連結した。 そのSalI部位にクレノウ処理を行い、次いでNotリンカーをHSV−TK遺伝子の5'末端に連結した。 そのHSV−TK遺伝子(現在、二つのNotI制限部位がアウトフランク(outflank)している)を、上記二つのプラスミド:pEL8(3x)−Luc及びpACPPE−1(3x)−GFPのNotI制限部位に連結した。
1. 1842 bpのルシフェラーゼ遺伝子の代わりに二つのNotI制限部位が隣接している8600 bpのプラスミドpEL8(3x)−Luc。 そのpEL8(3x)−TKプラスミドは、PPE−1(3x)プロモーター、HSV−TK遺伝子、SV−40ポリアデニル化部位及びマウスのエンドセリン−1遺伝子の第一イントロンを含有している(図60a)。
2. 1242 bpのグリーン蛍光タンパク質(GFP)の代わりに、二つのNotI制限部位がアウトフランクしている11946 bpのプラスミドpACPPE−1(3x)−GFP(図60b)。

修飾されたマウスプレプロエンドセリン−1プロモーターで制御されるHSV−TK遺伝子でアーム(arm)されたアデノウイルス−5ベクターの構築:AdPPE−1(3x)−TKと呼称される複製不全ベクターを、第一世代(E1遺伝子欠失、E3遺伝子不完全)のアデノウイルス−5ベクターに基づいて構築した。 その組換えベクターは、広く知られた従来のクローン化法を利用して、プラスミドpACPPE−1(3x)−TKとpJM−17(40.3 kb)を、ヒト胎生腎臓−293(HEK−293)中にコトランスフェクトすることによって調製した。 pJM−17プラスミドは、E1遺伝子を除くアデノウイルス−5の全ゲノムを含有している。 HEK−293細胞系は、E1遺伝子をトランス位置に含有しているので、E1の欠失を補っている。 40個の相同組換え体のうち一つが、ベクターAdPPE−1(3x)−TKを誘導した。

ベクターAdPPE−1(3x)−TKの特性決定:組換えアデノウイルス中にTK導入遺伝子とプロモーターが存在していることを証明するため、ウイルスDNAについてPCR分析を行なった。 2種のプライマーすなわち、前進プライマーの5'−ctcttgattcttgaactctg−3'(プレプロエンドセリンプロモーター配列の455−474 bp)(配列番号:9)及び逆進プライマーの5'−taaggcatgcccattgttat−3'(HSV−TK遺伝子配列の1065−1084 bp)(配列番号:10)を使用した。 ベクターの純度を証明するために、本発明の発明者らの研究室で製造したベクターの他のプロモーターを使用した。 約1kbのバンドが、AdPPE−1(3x)−TKウイルス中に、PPE−1(3x)プロモーターとHSV−TK遺伝子が存在することを証明した(図61)。 しかし、構築されたアデノウイルスベクターの他のプライマーは何も産生しなかった。 したがって、これらベクターは純粋なコロニーであった。

そのウイルスは、単一のウイルスクローンを単離するために、HEK−293細胞内でさらに精製した。

UV光下で蛍光発光するように化学的に修飾されたジデオキシヌクレオチドの存在下、サイクル配列決定反応によって、AdPPE−1(3x)−TKのウイルスDNAの配列を決定した。 全導入遺伝子の存在を証明するため下記4種のプライマーを使用した。
1. 「3x」配列に先行する 前進プライマーの5'−ctcttgattcttgaactctg−3'(プレプロエンドセリンプロモーターの455−474 bp)(配列番号:9)。
2. 逆進プライマーの5'−gcagggctaagaaaaagaaa−3'(プレプロエンドセリンプロモーターの551−570 bp)(配列番号:11)。
3. 前進プライマーの5'−tttctttttcttagccctgc−3'(プレプロエンドセリンプロモーターの551−570 bp)(配列番号:12)
4. 逆進プライマーの5'−taaggcatgcccattgttat−3'(HSV−TK遺伝子の1065−1084 bp)(配列番号:10)

上記プライマーの1(配列番号:9)と3(配列番号:10)単独では産物が全く得られなかったので、上記プライマーの2(配列番号:11)と3(配列番号:12)を使用した。 その結果、Mus musculus Balb/cプレプロエンドセリン−1遺伝子のプロモーター領域:gi|560542|gb|U07982.1|MMU07982[560542](配列番号:1)に対して99%の同一性、及び単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子:gi|59974|emb|V00470.1|HERPES[59974]に対して99.4%の同一性を示した。 AdPPE−1(3x)の配列は図92に詳細に記載してある。

3x配列(図93)は、内皮特異的陽性転写配列の追加のトリプリケートリピート(triplicate repeat)を含有している。 この145 bpの配列中には、上述したように、二つの完全な内皮特異的陽性転写配列及び逆の順序に2フラグメントに切断された一つの配列が存在している。

対照のベクター:2種のアデノウイルスベクターすなわち、PPE−1(3x)を欠いた第一ベクター及びLuc遺伝子を欠いた第二ベクターを、AdPPE−1(3x)ベクターの対照として構築した。 ベクターAdCMV−TK(非組織特異的プロモーターの対照として使用)は、初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターによって制御されるHSV−TK遺伝子を含有している(図62c)。 ベクターAdPPE−1(3x)−Lucは、修飾されたマウスプレプロエンドセリン−1プロモーターによって制御されるルシフェラーゼ(Luc)遺伝子を含有している(図62b)。 これらウイルスは、スケールアップしたバッチで増殖させて、10 −10 12粒子/mlの濃度で、−20℃にて貯蔵した。

実施例33
ガンシクロビル及びPPE−1(3x)−TKプロモーターの制御下にあるTKの細胞傷害性:生体外のPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの高い内皮細胞傷害性 AdPPE−1(3x)−TKの特異的な内皮細胞を標的とする細胞傷害性を、生体外にて内皮細胞系中で、対照のベクターのAdCMV−TK及びAdPPE−1(3x)−Lucと比較して評価した。

AdPPE−1(3x)−TK+GCVは低い感染多重度(m.o.i.)で細胞傷害性である:ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)に、AdPPE−1(3x)−TK、AdCMV−TK及びAdPPE−1(3x)−Lucを、感染多重度(m.o.i.)0.1、1、10、100及び1000で形質導入した。 形質導入してから4時間後に GCV(μg/ml)を添加した。 対照は、GCV無しのベクターを形質導入された細胞又はベクター無しのGCVを投与された細胞である。 これら両対照は細胞死を誘発しなかった(データ提示せず)。 AdCMV−TKより有意に低いm. o. i. にてAdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置された細胞に明らかな細胞傷害に特徴的な形状変化(細胞の拡大、伸長及び膨張)並びに集密性の欠損に注目されたい。 AdPPE−1(3x)−Lucを形質導入された細胞は健康なままであった(大きさが小さく丸くかつ集密した状態、図63)。 クリスタルバイオレットで染色することによって確認した細胞の生存率を評価した結果、GCVの投与と併用したAdPPE−1(3x)−TKベクターは、BAE細胞において、強力な構成CMVプロモ−ターで制御されたTK遺伝子より低いm. o. i. で、大きい細胞傷害性を示したことが確認された(図64)。

AdPPE−1(3x)−TK+GCVは低濃度のGCVで細胞傷害性である:ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)に、上記のようにして、AdPPE−1(3x)−TK、AdCMV−TK及びAdPPE−1(3x)−Lucを、感染多重度(m.o.i.)10で形質導入し、次いで形質導入してから4時間後に、濃度を順次上げたGCV(指定どおりに0.001−10μg/ml)に暴露した。 対照細胞のGCV無しでベクターを形質導入されたもの及びベクター無しでGCVに暴露されたものは、どのような濃度でも細胞死の徴候を全く示さない(データは記載せず)。 AdCMV−TKに暴露された細胞(中央のシリーズ)より有意に低い濃度のGCVにおいてAdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置された細胞(図65)に明らかな細胞傷害に特徴的な形状の変化(細胞の拡大、伸長及び膨張)並びに集密性の欠損に注目されたい。 クリスタルバイオレットで染色することによって確認した細胞の生存率を評価した結果(図66)、GCVの投与と併用したAdPPE−1(3x)−TKベクターは、BAE細胞において、強力な構成CMVプロモ−ターで制御されたTK遺伝子より低い濃度のGCVでより大きい細胞傷害性を示したことが確認された。

AdPPE−1(3x)−TK+GCVの細胞傷害性は内皮細胞に対して特異的である:内皮細胞に対するベクターAdPPE−1(3x)−TKの特異性と効力を評価するために、内皮細胞[ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)]及び非内皮細胞[ヒト肝臓癌細胞(HepG−2)、ヒトの正常皮膚繊維芽細胞(NSF)]に、m. o. i. 10で、AdPPE−1(3x)−TK、AdPEE−1(3x)−Luc又はAdCMV−TKを形質導入し、形質導入してから4時間後に1μg/mlのGCVを投与した。 細胞傷害性及び細胞形状の変化を、形質導入を行なった後4日目に検出した。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVは、細胞傷害性を、特異的にBAECとHUVECに誘発したが、AdCMV−TK+GCVは、HepG−2にのみ細胞傷害性を誘発した。 NSFは、m. o. i. =10においてすべてのベクターに対して抵抗性であった。 AdPEE−1(3x)−Luc+GCVはすべての細胞型に対して非毒性であった(図67)。 クリスタルバイオレットで染色することによって確認した細胞の生存率を評価した結果(図68)、GCVの投与と併用したAdPPE−1(3x)−TKベクターは、 強力な構成CMVプロモ−ターで制御されたTK遺伝子(AdCMV−TK+GCV)の非特異的細胞傷害性と比べて、相乗内皮細胞特異的細胞傷害性を示した。

非内皮NSF細胞は、100という高いm. o. i. でAdPPE−1(3x)−TK、AdPEE−1(3x)−Luc又はAdCMV−TKを形質導入され、形質導入されてから4時間後に1μg/mlのGCVを投与されたとき、細胞の形状に対するAdPPE−1(3x)−TK+GCVの影響は、全く見られなかった(図69)。 対照的に、強力な構成CMVプロモーターの制御下のTKで処置した細胞(AdCMV−TK+GCV)は強力な非特異的細胞傷害性を示したが、これは、極端な感染多重度の場合でもPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKとガンシクロビルの投与が、内皮に対する選択的な細胞傷害性を有することを証明している。

これらの結果を総合すると、第一に、ベクターAdPPE−1(3x)−TKは、ヒト内皮細胞などの内皮細胞のキリングを特異的に誘発できることを示している。 さらに、ベクターAdPPE−1(3x)−TKは、プロドラッグGCVによって十分制御されているので、比較的低い濃度のGCVで非常に活性である。 最終的に、アデノウイルスベクターの内皮細胞形質導入の効力は比較的低いが、内皮細胞のキリングの効果は高い。

実施例34
ガンシクロビル及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの投与の治療効果:生体内でのPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの高い内皮細胞傷害性 AdPPE−1(3x)−TKの特異的な内皮細胞標的細胞傷害性の治療効力を、癌性の腫瘍発生と転移発生の動物モデルで、GCV及び対照ベクターのAdCMV−TKとAdPPE(3x)−Lucの全身投与と比較することによって生体内で評価した。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下でのTKの生体内発現及びガンシクロビル(GCV)の投与によるルイス肺癌腫瘍(LLC)の転移腫瘍の発生の相乗抑制作用:ルイス肺癌腫瘍は、転移性の高い重篤な侵襲性で悪性の癌の十分に特性が決定されている動物モデルである。 内皮プロモーターTie/Tek及びGCV(dePalma et al.,Nat Med 2003;9:789−795)並びにVEGFプロモーター及びGCV生体外(Koshikowa et al.Canc Res 2000;60:2936−41)とHSV−TKとの併用治療をサイトカインIL−2を使って試みた(Kwong et al.,Chest 119;112:1332−37)。 転移腫瘍疾患に対するAdPPE−1(3x)とGCVの全身投与の効果を試験するため、左足に腫瘍細胞を接種し原発腫瘍が発生すると直ちに足を切断することによって、LLC肺転移腫瘍を誘発させた。 アデノウイルスベクター[AdPPE−1(3x)−TK+GCV; AdCMV−TK+GCV;GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK]を、前記原発腫瘍を除去した後5日目に投与し続いて14日間毎日、GCVを腹腔内に投与した。

マウスを次のように排除した。 原発腫瘍を発生しなかったので22頭のマウスを排除し、ベクターの注射を失敗したので1頭のマウスを排除し、8頭のマウスは肺転移腫瘍の痕跡無しで死んだ。 排除したマウスのうち18頭は登録する前に排除し、6頭はグループ1(AdPPE−1(3x)−TK+GCV)から排除し、2頭はグループ2(AdCMV−TK+GCV)から排除し、3頭はグループ3(GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK)から排除し、そして2頭はグループ4(生理食塩水+GCV)から排除した。 これらマウスを、ベクターを注射した後24日目に殺した。 この24日目に、対照グループ(生理食塩水+GCV及びGCV無しのAdPPE−1(3x)−TK)の25%は、肺の転移腫瘍の拡張によってすでに死んでいた。 図70は、処置グループ及び対照グループ由来の代表的肺組織を示しているが、AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウスの肺の転移腫瘍の拡張度が、AdCMV−TK+GCV、GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK及びアデノウイルス無しのGCVで処置したマウス由来の肺に比べて有意に低かったことを示している。

殺したときの、AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置した転移腫瘍の平均重量(転移腫瘍疾患の程度の指標)は、GCV無しでAdPPE−1(3x)−TKで処置したマウスのそれより3.3倍低かった(平均値±SEはそれぞれ:0.3g±0.04 と0.8g±0.2でp<0.05である)。 AdCMV−TK+GCV又は生理食塩水+GCVで処置したマウスの転移腫瘍の平均重量は、他のグループのそれと統計的な差はなかった(図71)。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内発現及びガンシクロビル(GCV)の転移腫瘍肺組織に対する細胞傷害性作用:AdPPE−1(3x)及びGCVの投与のLLC転移腫瘍増殖に対する作用の機構を確認するために、ヘマトキシリンとエオシンによる染色を転移腫瘍の肺由来の肺組織に実施した(図72a−72c)。 GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK又は生理食塩水+GCVで処置したマウスから採取した転移腫瘍に軽度の辺縁壊死が検出された(図72a)。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウスから採取した肺組織は、肺胞及び気管支周辺に単核浸潤を示したが、GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK又は生理食塩水+GCVで処置したマウスから採取した転移腫瘍には浸潤は全く検出されなかった。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウスから採取した肺転移腫瘍は、GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK又は生理食塩水+GCVで処置したマウスから採取した転移腫瘍に比べて、単核浸潤のクラスターを示した(図72b,c)。 AdCMV−TK+GCVで処置したマウスから採取した検体にも、小さい壊死と単核浸潤が検出された。 この結果は、AdPPE−1(3x)−TK+GCVが、肺転移腫瘍に中心部壊死及び単核浸潤を増大することを示唆している。

LLC肺転移腫瘍に対するAdPPE−1(3x)−TK+GCVの阻害作用の原因である細胞死の特徴を確認するため、TUNELと抗カスパーゼ−3の染色を肺組織に実施してアポトーシスを評価した。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウス由来の肺の転移腫瘍は、GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK又は生理食塩水+GCVで処置したマウスに比べて、多数のアポトーシス腫瘍細胞を示した(図73aと73b)。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウスの肺から採取した検体の組織病理切片は、腫瘍細胞のアポトーシスを示すDNAの損傷の程度(TUNEL,図73a)とカスパーゼ−3(図73b)が両方とも、AdCMV−TK+GCVで処置したマウス由来の検体より有意に高いことを示した。 さらに具体的に述べると、転移腫瘍の肺由来の組織病理切片をTUNEL及びカスパーゼ3で染色したところ、AdPPE−1(3x)−TK+GCVを静脈注射して処置したマウス由来の肺転移腫瘍の血管(内皮)領域に促進されたアポトーシスが見られ(図74)、これは、PPE−1(3x)プロモーターの制御下でのTKの生体内発現及びガンシクロビル(GCV)の投与によって転移腫瘍細胞のアポトーシスが相乗的に促進されたことを示している。 これらの結果は、AdPPE−1(3x)−TK+GCVの全身投与が、腫瘍細胞の広大なアポトーシスを誘発することを示唆している。 さらに、血管形成内皮細胞のアポトーシスが、中心部塊状転移腫瘍の壊死及びアポトーシスの機構であろう。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現及びガンシクロビルの投与は、生体内で転移腫瘍疾患に抗血管形成作用を有している:CD−31は、血管形成の特徴的な内皮細胞マーカーである。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVの全身投与の抗腫瘍転移作用に対する内皮細胞の関与を確認するため、抗CD−31染色を実施した。 図75a−75dは、AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウス由来の肺の転移腫瘍の新生血管が、短く、連続性又は分枝が無くかつ境界が不明瞭であったことを示している(75a−75c)。 GCV無しのAdPPE−1(3x)−TK又は生理食塩水+GCVで処置したマウス由来の肺の転移腫瘍の新生血管は、多数の分枝及び明確な境界を有する長い血管を示した(図75a)。 また異常の程度が微小な血管系が、AdCMV−TK+GCVで処置したマウスの肺転移腫瘍にも検出されたが、AdPPE−1(3x)−TKで処置したマウスのそれに比べてその程度ははるかに小さかった(図示せず)。 増殖中の内皮組織に対するこの抗血管形成作用の特異性は、肝臓血管に対する作用が無いことによって示されている(図75c)。 コンピュータベースで血管密度を測定した結果(Image Pro−Plus,Media Cybernetics Incorporated)、AdPPE−1(3x)−TK+GCVグループの肺転移腫瘍の血管密度は、GCVなしAdPPE−1(3x)−TKで処置したグループより1.5倍小さいことを示した(それぞれ、40107.7μm 及び61622.6μm )(図75d)。

これらの結果を総合すると、AdPPE−1(3x)−TK+GCVを全身投与すると、血管形成内皮細胞のアポトーシスの高度に選択的な誘発によって中心部転移腫瘍の壊死及びアポトーシスを誘発することを示している。

AdCMV−TK+GCVを全身投与すると、LLC肺転移腫瘍を有するマウスに肝毒性を誘発する:アデノウイルスベクターの全身投与の主要な副作用の一つは肝毒性であるから、LLC腫瘍を誘発させたC57Bl/6マウスの肝臓の形状を検定した。 処置した肝臓組織と対照の肝臓組織のヘマトキシリンとエオシンで染色した切片を分析した結果、構成プロモーターの制御下のTK(AdCMV−TK+GCV)で処置したマウス由来の肝臓は、門脈及び門脈周囲の単核浸潤及び小さい集密壊死領域を示したが、AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウス及び対照グループのマウス由来の肝臓は、ごく小さい単核浸潤及び肝細胞の核の拡大しか示さなかった(図76)。 これらの結果は、CMVプロモーターの制御下でのTKの構成性発現は明らかに肝細胞毒性であるが、血管形成特異的なAdPPE−1(3x)−TK+GCV処置により肝臓の形状に対する悪性副作用は全く見られなかったことを示している。

生体内でのPPE−1(3x)プロモーターの制御下TKの発現の明確な器官特異性:PPE−1(3x)プロモーターの制御下HSV−TKの発現の抗転移腫瘍作用の器官及び組織特異性の程度を評価するため、HSV−TKとβ−アクチンプライマーを使うPCR分析を、アデノウイルスベクターで処置したLLC肺転移腫瘍を有するマウスの各種器官由来の各種組織に対して実施した。

15週齢の雄のC57BL/6マウス9頭を登録した。 LLC肺転移腫瘍は、左足に腫瘍細胞を接種して原発腫瘍が発生したとき直ちに切断することによって誘発させた。 アデノウイルスベクター(AdPPE−1(3x)−TK及びAdCMV−TK)又は生理食塩水を、原発腫瘍を除いた後14日目に静脈注射した。 そのマウスは、ベクターを注射した後6日目に殺し、次いで記載されているように収穫した器官からRNAを抽出した。 逆転写酵素PCRをRNAに対して実施し、続いてHSV−TKとβ−アクチンプライマーを使ってPCRを実施した。 陽性HSV−TKの発現が、AdPPE−1(3x)−TKで処置したマウスの肺に検出されたが、その肝臓に、HSV−TKの発現は全く検出されなかった。 対照的に、高度に陽性のHSV−TK発現がAdCMV−TKで処置されたマウスの肝臓に検出されたが、その肺には発現が全く検出されなかった(図77)。 β−アクチンについて修正したコンピュータベースの密度計測(Optiquant,Packard−Instruments)を実施したところ、肝臓/肺発現比が、AdCMV−TKで処置したマウスの場合5.8であるのに比べてAdPPE−1(3x)−TKで処置したマウスでは11.3であることを示した。 これらの結果は、AdPPE−1(3x)−TKで処置したマウスは、HSV−TK遺伝子を、血管形成の多い器官すなわち転移腫瘍の肺に優先的に発現するが、CMVプロモーターの制御下でのTKの発現は(AdCMV−TKで処置したマウス)、肝臓のような、コクサッキーアデノウイルス受容体の豊富な器官に顕著であったことを示している(図77)。 また、強い陽性のHSV−TKの発現が、AdPPE−1(3x)−TKで処置されたマウスの睾丸に検出された。 一つだけの仮説に限定されたくないが、AdPPE−1(3x)−TKで処置されたマウスにおける陽性の発現は、性腺におけるエンドセリンプロモーターの高い発現によって恐らく説明されることは分かるであろう。 AdCMV−TKで処置されたマウスにおける陽性発現は、高い陽性のβ−アクチンのバンドによって反映されるように、比較的高いRNAのエリューション(elution)によって説明される。

総合すると、これらの結果は、AdPPE−1(3x)−TK+GCVを全身投与すると、中心部転移腫瘍の壊死の誘発及び血管形成内皮細胞のアポトーシスの選択的誘発によって、癌の高侵襲性の転移腫瘍の拡大さえも、安全にかつ組織特異的に有効に阻害できることを示している。

実施例35
放射線療法を併用した、ガンシクロビル及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下でのTKの投与:生体内での内皮細胞に対する相乗細胞傷害性 複合様式(multiple modality)抗癌療法は、必要な投与量の減少と治療期間の短縮及びそれらによってもたらされる有害な副作用の低下、並びに異なる治療機序の相乗集中から生まれるより大きな治療効力によって、個々の治療法を超える有意な利点を提供する(最近の総説については、Fang et al.,Curr Opin Mol Ther 2003;5:475−82を参照)。 複合様式療法におけるAdPPE−1(3x)−TK+GCV投与の効力を試験するため、Balb/Cマウスのゆっくり増殖する原発CT−26結腸癌及びC57Bl/6マウスのルイス肺癌の転移腫瘍に対する、単一線量の放射線療法を併用したAdPPE−1(3x)−TK+GCVの全身投与の効果を評価した。

単一線量5Gyの局所放射線療法は原発CT−26結腸癌を有するBalb/Cマウスに対して非毒性で治療量以下である:治療量以下でかつ非毒性の放射線線量を見つけるため、8週齢の雄のBalb/Cマウス20頭の左大腿部にCT−26結腸癌を接種した。 腫瘍の直径が4−6mmに到達したとき直ちにそのマウスを、局所の単一線量放射線で処置した。 4種の放射線量すなわち、0 Gy(黒丸)、5 Gy(白丸)、10 Gy(黒三)又は15 Gy(白三角)を試験した。 腫瘍の容積[式V=π/6xα xβ(αは短軸でありβは長軸である)に従って計算した]は、長軸と短軸を測定することによって、毎日算定した。 マウスの良好な生活状態を観察と体重測定で毎日監視した。 10Gyと15Gyの線量は、腫瘍の進行の発展を、未処置のマウスと比べて抑制した(それぞれp=0.039、p=0.029)。 しかし、5Gyの線量は、ごく部分的な統計的に有意でない腫瘍の進行の遅延(図78a)を誘導したに過ぎずかつ有意でない体重減(図78b)を示し、又は5Gyで処置されたマウスには異常行動は全く検出されなかった。 これらの結果に基づいて、一回の5Gy線量の放射線療法を、併用治療実験に使用した。

5Gyの局所放射線療法を併用した、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内発現とガンシクロビル(GCV)の投与による原発結腸癌腫瘍の進行の抑制:8週齢の雄のBalb/Cマウス100頭にCT−26結腸癌腫瘍細胞を接種した。 腫瘍の軸が4−6mmに到達したとき直ちに、10 11 PFUのウイルスベクター[AdPPE−1(3x)−TK又はAdCMV−TK]を尾静脈に注射し、次いで指示された場合、14日目まで、毎日GCVを腹腔内注射した(100mg/kg体重)。 ベクターを投与した後3日目に、そのマウスは5Gy線量を局所照射された。 腫瘍の容積は式V=π/6xα xβ(αは短軸でありβは長軸である)に従って算定した。 殺したとき、マウスの写真を撮り、腫瘍と肝臓の検体を収穫して組織学的分析を行なった。

AdPPE−1(3x)−TK+GCV+放射線療法によって、腫瘍の進行が、他の治療法に比べて抑制された。 平均の腫瘍抑制期間は約2週間であったが、これはアデノウイルスの活性期間と一致している。 AdPPE−1(3x)−TK+GCV+放射線療法で処置されたグループの腫瘍容積の平均進行度は、AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置されたグループ(p=0.04)及びAdCMV−TKで処置されたグループ(p=0.008)のそれより小さかった。 さらに、このグループ(AdPPE−1(3x)−TK+GCV+放射線療法)の平均腫瘍容積の進行は、他のすべてのグループの平均累積腫瘍容積の進行(p=0.0025)、すべての非照射グループ(Ad5PPE−1(3x)−TK+GCV、Ad5CMV−TK+GCV、GCVなしのAdPPE−1(3x)−TK及び生理食塩水+GCV)の平均累積腫瘍容積の進行(p=0.0005)並びに他の照射グループ(Ad5CMV−TK+GCV+放射線療法、GCVなしのAdPPE−1(3x)−TK+放射線療法及び生理食塩水+GCV+放射線療法) の平均累積腫瘍容積の進行(p=0.041)より小さかった(図79a,b)。 放射線療法は、非標的化ベクターAdCMV−TKに比べて、血管形成内皮細胞転写標的化ベクターAdPPE−1(3x)−TKだけを有意に強化した(p=0.04)(図79c−f)。 全ウイルスベクターによる処置法は、放射線無しでは無効であった。

これらの結果は、総合すると、生体内でのCT−26結腸癌腫瘍増殖に対するAdPPE−1(3x)−TKと放射線療法の併用の著しい相乗腫瘍抑制作用を示している。

放射線療法を併用したAdPPE−1(3x)−TK+GCVは塊状腫瘍壊死を誘発する:AdPPE−1(3x)−TK+GCVと放射線療法の併用の抗腫瘍形成作用の機序を確認するため、腫瘍組織に対してヘマトキシリンとエオシンの染色を行った。 腫瘍組織は、細胞過多で凝縮した組織であり分裂指数が高かった。 全グループに二つの要素すなわち壊死及び壊死領域中の肉芽組織が検出された。 放射線療法を含む方法で処置したマウスから採取した腫瘍は、非照射マウスから採取した腫瘍より大きい壊死領域と肉芽組織を示した。 これらのグループでは、壊死(図80a)及び肉芽組織(図80b)はほとんど中心部のものであった。 放射線療法を併用したAdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウスは、最も広い壊死と肉芽組織を示し(図80aと80b)、検体の面積の約55%−80%と推定される(図80)。 放射線療法無しのAdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウスから採取した腫瘍は、他の非照射グループより比較的大きい壊死面積を示した(データは提示せず)。 これらの結果は、AdPPE−1(3x)−TK+GCV+放射線療法が、部分的に肉芽組織で置換されている塊状の中心部腫瘍壊死を誘発することを示唆している。

放射線療法を併用したAdPPE−1(3x)−TK+GCVは内皮細胞と塊状腫瘍のアポトーシスを誘発する:結腸癌腫瘍に対するAdPPE−1(3x)−TK+GCVと放射線療法の阻害作用に関与する細胞死の特徴を決定するために、TUNELと抗カスパーゼ−3の染色を腫瘍細胞に実施してアポトーシス細胞を示した。 TUNEL染色は、照射グループの中心部壊死領域の周りのアポトーシス腫瘍細胞を示した。 放射線療法を併用したAdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウスから採取した腫瘍に、他のどのグループより多いアポトーシス腫瘍細胞を検出した(図81a)。 その腫瘍の切片を抗カスパーゼ−3で染色することによって、同じアポトーシス細胞のパターンを検出した。 さらに、アポトーシス腫瘍細胞に囲まれている壊死領域(白矢印)は、蛇行形であり、血管密度が増大していることが特徴であった(図81b)。 アポトーシス領域内の血管の内皮細胞は、陽性の抗カスパーゼ−3染色性を示した(図82)。

これらの結果を総合すると、放射線療法を併用したAdPPE−1(3x)−TK+GCVは、結腸癌腫瘍の壊死領域を囲む塊状腫瘍細胞アポトーシスを誘発することを示唆している。 さらに、腫瘍アポトーシス領域内の増大した新生血管密度、壊死領域とアポトーシス領域の形状及び内皮細胞アポトーシスの存在は、血管形成組織の損傷に派生する血管周囲の壊死を示している。

放射線療法を併用したAdPPE−1(3x)−TK+GCVは、生体内での腫瘍の発達を抑制する抗血管形成作用を有する:CD−31は、血管形成の特徴的な内皮細胞のマーカーである。 この併用療法の内皮細胞に対する直接効果を証明するため、抗CD−31免疫染色法を実施した。 放射線照射だけを含む方法で処置したマウスから採取した腫瘍の切片の新生血管は、短く、連続性又は分枝が無くかつ境界が不明確であった。 GCV無しでベクターのみ投与したときは異常を起こさなかったが(図83b)、放射線療法を併用したAdPPE−1(3x)−TK+GCVは、最も広範な血管の異常を示した(図83a)。 肝臓の血管は影響を受けなかった(図83b)。 これらの結果は、放射線療法を併用したAdPPE−1(3x)−TK+GCVの投与は新生血管の広範な血管破壊を誘発することを示している。

AdCMV−TK+GCVを全身投与するがAdPPE−1(3x)−TKを投与しないと、CT−26結腸癌腫瘍を有するマウスに肝毒性を誘発する:アデノウイルスベクターの全身投与の主な副作用の一つは肝毒性であるから、ベクターで処置したマウス、併用療法を実施したマウス及び対照マウスに、ヘマトキシリンとエオシンの染色を実施した。 あらゆる処置グループの肝臓検体は、拡大した肝細胞の核及びクッパー細胞の過形成を示した。 最も特徴的な変化は、放射線療法あり又は無しのAdCMV−TK+GCVで処置したマウスに見られた(図84)。 肝機能の血漿マーカー(肝臓酵素のSGOT、SGPT)又は腎機能の血漿マーカー(尿素、クレアチニン)の差はグループ間に見られなかった。 肝臓内皮細胞は、放射線療法を併用したベクターAdPPE−1(3x)−TK+GCVによる影響を受けなかった(図84の右パネル)ことに注意すべきである。 これらの結果は、CMVプロモーターによって制御されてHSV−TKを発現するアデノウイルスベクターが比較的肝毒性であることを示している。

これらの結果を総合すると、AdPPE−1(3x)−TK+GCVは静脈投与するのに安全であることを示唆している。 さらに、このベクターは、非毒性であり局所的に送達される放射線療法を併用するときのみ、ゆっくり増殖する原発腫瘍の進行を有効に抑制する。 単一の仮説に限定されたくないが、腫瘍の血管形成のアポトーシスによる特異的抑制は、腫瘍抑制の機構のようである。 さらに、AdPPE−1(3x)−TKベクターの細胞傷害活性は、GCVの投与と放射線療法に依存している。

実施例36
放射線療法を併用した、ガンシクロビル及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの投与:生体内で転移中の癌における生存の相乗的促進 AdPPE−1(3x)−TK+GCVの抗血管形成活性及び単一線量の放射線療法の、癌における長期間の生存に対する併用効果を評価するため、迅速に転移中のルイス肺癌モデルへのベクターとGCVの全身投与及び放射線療法を選択した。

単一線量5Gyの局所放射線療法は、ルイス肺癌転移腫瘍を有するC57BL/6マウスに対して非毒性でかつ治療量以下である:8週齢の雄のC57BL/6マウス35頭の左足足蹠にLLC細胞を接種した。 原発腫瘍が発生したとき直ちに、その足を全身麻酔下で切断した。 足を切断した後8日目に、そのマウスの胸壁に対して単一線量の放射線療法を、全身麻酔下で実施した。 5種類の放射線量すなわち0、2、5、10及び15Gyを試験した。 原発腫瘍を除去した後3−4週目に、非照射マウスは体重が減少し始めたが、これは転移疾患の症状である。 したがって、マウスを殺す日は、原発腫瘍を除いた後28日目にした。 マウスの健康状態は、観察と体重測定で毎日監視した。 15Gyで処置した6頭のマウスのうち5頭が、肺転移腫瘍の症状無しで、照射した後5日目以内に死んだ。 以下のようにマウスを除外した。 1頭のマウスを他のグループに比べて原発腫瘍の発生が2週間遅れたため除外した。 3頭のマウスが継続管理中に死んだが検死は行なわなかった。 除外したマウスのうち3頭、すなわち、非処置グループ由来の1頭、2Gyグループ由来の1頭及び5Gyグループ由来の1頭は登録する前に除外した。 10Gyで処置したマウスの転移腫瘍の平均重量は、他のグループのそれより低かったが、5Gyで処置したグループとだけ統計的に差があった(p=0.001)(図85a)。 先に述べたように、15Gyの放射線で処置したマウスは、転移腫瘍の痕跡を全く残すことなく5日目以内に死んだ。 10Gyで処置したマウスは、放射線照射後4日目に、有意でない一時的な体重減少を示した(図85b)。 放射線療法の単一線量5Gyは治療量ではなく(図85a)又は毒性でなかった(図85b)ので併用処置実験に使用した。

治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーター制御下のTKの発現とガンシクロビルの投与の併用によるマウス肺癌の転移疾患の相乗抑制効果:8週齢の雄のBalb/Cマウス180頭の左足足蹠にLLC細胞を接種した。 原発腫瘍が発生したとき直ちに、その足を全身麻酔下で切断した。 足を切断した後5日目に、10 10 PFUのベクター[AdPPE−1(3x)−TK又はAdCMV−TK]を尾の静脈に注射し続いて14日目まで毎日GCV(100mg/kg)を腹腔内に注射した。 ベクターを注射した後3日目に、マウスの胸壁に単一線量5Gyの放射線照射を、全身麻酔下で実施した。

マウスを6グループに分割した。 すなわち1. Ad5PPE−1(3x)−TK+GCV、2. Ad5CMV−TK+GCV、3. 生理食塩水+GCV、4. Ad5PPE−1(3x)−TK+GCV+放射線療法、5. Ad5CMV−TK+GCV+放射線療法及び6. 生理食塩水+GCV+放射線療法に分割した。 マウスの除外:4頭のマウスは足を切断してからまもなく死に、4頭のマウスは原発腫瘍が登録するには大きすぎるため除外し、7頭のマウスは原発腫瘍の発生が遅いため除外し、12頭のマウスは肺転移腫瘍の痕跡が全く無しに死に、1頭のマウスは両眼のディスチャージのため除外した。 除外されたマウスのうち14頭、すなわち、グループ1由来の2頭、グループ2由来の2頭、グループ3由来の2頭、グループ4由来の4頭グループ5由来の3頭及びグループ6由来の1頭は登録する前に除外した。

AdPPE−1(3x)−TK+GCV+放射線療法で処置したマウスは、他のどの処置グループのマウスより有意に永い期間生存した(p=0.05)(図86a)。 さらに、放射線療法は、非標的化ベクターAdCMV−TKに比べて、血管形成内皮細胞転写標的化ベクターAdPPE−1(3x)−TKだけを有意に強化した(p=0.04)(図86b−d)。 これらの結果は、全身投与のAdPPE−1(3x)−TKベクター+GCV及び単一線量の放射線療法を併用した処置によって、転移腫瘍疾患の場合の生存が相乗的に延長されることを示している。

実施例37
PPE−1(3x)プロモーターの制御下のFas及びTNFRのキメラ遺伝子による二重療法:ドキソルビシンを用いた、生体外での内皮細胞特異性の相乗的促進 化学療法とHSV/TK以外の「自殺遺伝子」の血管形成内皮特異的発現との併用の効力を試験するため、Fas−キメラ(Fas−c、上記の詳細な説明参照)とともにPPE−1(3x)プロモーターを有するAdPPE−1(3x)−Fas−cを、BAE細胞に投与し次いでアントラサイクリン系グリコシドのドキソルビシン(DOX)をともに投与した。

BAE細胞の細胞生存(生存率%、クリスタルバイオレット染色で評価)で測定したときのアポトーシスは、AdPPE−1(3x)−Fas−c+DOXで処置したマウスの方が、AdPPE−1(3x)−Fas−c又はDOXだけで処置したマウスより有意に大きかった(図90)。

これらの結果は、PPE−1(3x)プロモーターを使って、追加の治療用遺伝子構築物の有効な内皮特異的発現を指向させることができ、そしてPPE−1(3x)に依存するアポトーシス誘発Fas−cの発現及び化学療法の併用によって、非常に有効な相乗的内皮アポトーシスが起こることを示している。

実施例38
条件付きで複製するアデノウイルスベクター材料と実験方法 細胞培養:ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)及びヒトの正常な皮膚の繊維芽細胞−NSF細胞系を、10%の熱不活性化FCS、100μg/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンを含有する低グルコースDMEM中で培養した。 HeLa(ヒト子宮頸上皮腺癌)、ルイス肺癌細胞(D122−96)及び293(ヒト胎生腎)細胞系を、10%の熱不活性化FCS、100μg/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンを含有する高グルコースDMEM中で培養した。 ヒト臍内皮細胞−HUVEC(Cambrex ,Bio Science Walkersville,Inc.)を、EGM−2 Bullet kit(Clonetics,Bio−Whittaker,Inc.,米国メリーランド州所在)で培養した。 ヒト肺癌細胞系(A549)を、10%の熱不活性化FCS、100μg/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンを含有するMEM中で培養した。 細胞はすべて、37℃、5%CO の湿潤大気中で増殖させた。

プラスミドとウイルスベクターの構築:
プラスミドのクローン化:ホタルのルシフェラーゼのcDNAを、pcDNAIII発現プラスミド(CMVプロモーター領域を含有している。Invitrogen)のマルチプルクローニングサイト中及びPPE−1(3x)プロモーターとアデノウイルス−5のDNA配列の一部とを含有するpPACPPE−1. plpA中にサブクローン化した。 第三のプラスミドを、pPACPPE−1. plpAプラスミドからPPE−1プロモーターの第一イントロンを除くことによってクローン化した。 これら3種のプラスミドは、本発明の発明者らの研究室で以前にクローン化されて細胞培養トランスフェクションに利用されていた。

複製不全ベクターのクローン化:FAS−キメラのcDNAを、pPACPPE−1. plpAプラスミドとpPACCMV. plpAプラスミド中にサブクローン化した。 これらのプラスミドをアデノウイルス−5のゲノムの大部分を含有するpJM17でコトランスフェクトし、次いでリン酸カルシウム法によって、293ヒト胎生腎細胞系(ATCC)中にコトランスフェクトした。 この細胞系は、ウイルスを複製するのに必要であるがpPAC. plpAプラスミド又はpJM17プラスミドには含まれていないE1遺伝子を含有するように設計された。 これらのプラスミドは、これら細胞中で相同的組換えを起こし、約2週間後、組換えウイルスが形成され次いで複製を開始して最終的に細胞崩壊を起こす。 ウイルスのコロニーを分離して増殖させ次いでそれらの正確な挿入配向をPCRで証明した。 この複製不全ベクターは、以前に、従来技術のクローン化法で製造されていた。

条件付きで複製するアデノウイルス(CRAD)の構築:CRADを、AdEasy method(Stratagene,米国カリフォルニア州ラホーヤ所在)を使って構築した。 pShuttle−MK(アデノウイルス−5のDNA配列の一部を含有するプラスミド)を以下のようにして修飾した。 すなわち、pShuttle(Stratagene,米国カリフォルニア州ラホーヤ所在)のマルチプルクローニングサイトと右アームを、Midkine(mk)プロモーター及び構成的アデノウイルスE1領域で置換した。 次いで、そのMKプロモーターを、イントロン無しのPPE1−3xで置換した。 IRES配列(pIRES−EYFPプラスミド由来、BD Biosciences)とFAS−キメラのcDNAを、前記プロモーターとE1の間にサブクローン化することによって、第二のプラスミドを構築した。 IRESは、同じ転写産物から2種類のタンパク質を翻訳できる。 得られた2種のshuttleを、PmeIで消化することによって線状化し、続いてこれでエシェリキア・コリ(Escherichia coli)BJ5183ADEASY−1(Stratagene)を形質転換した。 この種の細菌は、E1及びE3の遺伝子領域を除くアデノウイルス−5の配列の大部分を含有するpADEASY−1プラスミドで、すでに形質転換されている。 これらのプラスミドは、前記細菌中で、相同的組換え(pShuttleとpADEASY−1の間)を起こし、完全なベクターゲノムを生成する。 次にその組換え体をPacIで消化し、次いでリン酸カルシウム法で、293ヒト胎生腎細胞系(ATCC)中にトランスフェクトした。 残りの手順は、複製不全ベクターについて述べたのと同じである。

E1遺伝子の前にジェネラルプロモーターCMV(サイトメガロウイルス)をサブクローン化することによって陽性対照のウイルスCMV−E1を構築した。 CMV−E1ウイルスは遍在しておりかつ内皮細胞に対する特異性は全く持っていない。

下記の複製不全ベクターとCRADを上記方法で構築した。
複製不全ベクター: PPE−1(3x)−FAS、CMV−FAS、CMV−LUC(LUC−ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子の略語)、PPE−1(3x)−LUC。
CRAD: PPE−1(3x)−CRAD、PPE−1(3x)−Fas−CRAD、CMV−E1。

トランスフェクションの実験:BAECとHeLa細胞を、24ウエルのプレート中で60−70%の集密度になるまで培養した。 0.4μg/ウエルの発現構築物及びトランスフェクションの効率を知るための対照としてのpEGFP−C1ベクター0.04μg/ウエル(米国カリフォルニア州パロアルト所在のCLONTECH)を使って、コトランスフェクションを実施した。 リポフェクタミン(Lipofectamine)及びリポフェクタミンプラス(Lipofectamine plus)(米国カリフォルニア州カールズバッド所在のInvitrogen)をトランスフェクションに使用した。 37℃で3時間インキュベートした後、トランスフェクション混合物を増殖培地で置換した。

形質導入の実験:感染多重度(moi)を10、100、1000、10000に到達させるため、ベクター(PPE−FAS、CMV−FAS、CMV−LUC、PPE−LUC)を、感染増殖培地(通常の増殖培地の10%ではなくて2%のFCSを含有している)で希釈した。 その感染多重度は、ウイルスの数/標的細胞として計算した。 標的細胞(BAEC及び293)は、形質導入を実施する24時間前に接種した。 形質導入を行なう日に、細胞の増殖培地を、96ウエルのプレート又は60mmのプレートそれぞれに使用する0.1又は2mlの感染培地に混合した所望のmoiのウイルスを含有する溶液で置換した。 これらの細胞を4時間インキュベートし、続いて新しい培地を、形質導入された細胞に添加した。

ベクターの複製とアポトーシスの誘発はそれぞれ、PFU滴定法(下記参照)及び(ApoPercentage kit(Accurate Chemical,米国ニューヨーク州ウエストバリー所在)によって評価した。またクリスタルバイオレット染色法を利用して、プレートの表面に付着した細胞の量を、細胞生存率の指標として評価した。

ウイルスの力価の検査−プラーク形成単位の検定(PFU):ウイルス株を滴定し−80℃で貯蔵した。 準集密度(80%)の293細胞の培養物に、感染培地で段階希釈された(10 −2 −10 −13 )ウイルスベクターを、2時間感染させた。 2時間後、培地をPBSで洗浄し次いで寒天の上層で置換した。 プラークが約2週間後に明らかになる最高の希釈度は、PFU/mlの単位(PFU−プラーク形成単位)における濃度と考えられる。

試験結果 細胞傷害性遺伝子の発現によって、アデノウイルスの複製が促進される:アポトーシス誘発の、ウイルス複製に対する影響を検査するため、293(ヒト胎生腎)細胞系におけるCMV−FASの複製を検査した。 この細胞系内で、このウイルスは、その複製の結果としてのFAS−cの又は細胞の崩壊によって、アポトーシスを誘発できる。 早期(ウイルスが感染してから数時間後)アポトーシスは、ウイルスの複製を妨げることができるが、遅発アポトーシス(ウイルスが感染してから数日後)はウイルスの拡張を促進するかもしれない。

アポトーシスを誘発するCMV−FASの能力を検査するため、BAECに形質導入を行い次いで細胞のアポトーシスを、生存率をELISA−クリスタルバイオレット法で検定することによって評価した(図89)。 より高い濃度(10000moi)のCMV−FASが活性化リガンド(TNF−α)無しでアポトーシスを誘発したが、より低濃度の場合は、アポトーシスを誘発するためリガンドを添加する必要があった。

細胞から細胞へのCMV−FASの広がりは293細胞におけるプラークの増殖によって検定した。 プラークは、プラークの増殖速度とプラークの大きさによって観察されるように(図88と89)、非アポトーシス誘発ベクターのCMV−LUCと比べて、CMV−FASベクターによってより高速度で増殖する。

イントロン有り及び無しのPPE1−3xプロモーターの、RNA転写を誘発する能力は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子で評価した(提示せず)。 有意差は見られなかった。

これらの結果は、FASなどのアポトーシス誘発「キラー」遺伝子を有する上記のような血管形成内皮特異的ウイルス構築物AdPPE−1(3x)のようなアデノウイルスの複製は、宿主細胞の追加のアポトーシス崩壊によって促進できることを示している。

実施例39
PPE−1(3x)の制御下でのVEGFの発現は遺伝子工学的に処置された組織の血管新生と生存率を高める 遺伝子工学的に処置された組織構築物の生体外及び生体内での血管新生に対する、エンドセリンプロモーターの制御下でのVEGFの発現の効果を試験するため、細胞を、Ad5PPEC−1−3xVEGFに感染させ、構築物を分析して、血管新生に対する効果を調べた。

図91aは、細胞に対するAd5PPEC−1−3xVEGFの感染が、その遺伝子工学的に処置された構築物に形成された血管様構築物の数と大きさに対して誘導効果があることを示している。 構築物は、培地にVEGFの補充(50ng/ml)あり又は無しで増殖させた。 平行構築物にAd5PPEC−1−3xVEGFウイルス又は対照のGFPアデノウイルスを感染させた(4時間)。 2週間培養した後、構築物を固定し、包埋し、切片をつくって染色した。

培地に対するVEGFの添加と細胞に対するAd5PPEC−1−3xVEGFの感染とを比較すると、Ad5PPEC−1−3xVEGFウイルスで処置した試料の血管の数及び血管領域の百分率は4−5倍増大することが分かった(図91a)。

生体内の試験で、3種のモデルを使って、生体内移植体の生存、分化、統合及び血管新生を分析した。 これらのモデルとしては、(i)SCIDマウスの背中の皮下移植、(ii)ヌードラットの四頭筋中への移植及び(iii)ヌードマウスの前腹筋部分の前記構築物による置換がある。

その構築物には、宿主の血管が侵入していた。 Ad5PPEC−1−3xVEGFウイルスが感染した構築物は、血管構造が対照の構築物と比べて増大していることを示した。

組織を遺伝子工学的に処置した構築物の生体内での生存と統合を評価するため、本発明の発明者らはルシフェラーゼベースのイメージングシステムを利用した。 その生体内イメージングシステム(IVIS)は、全身投与されたルシフェリンと局所で産生されたルシフェラーゼとの相互作用によって生成した光を検出することによって作動する。 移植する前に、構築物に、ルシフェラーゼをコードするアデノ随伴ウイルス(AAV)を48時間感染させた。 次にその構築物を、その場で、ヌードマウスの前腹筋壁中に入れた。 AAV−ルシフェラーゼを、正の対照として働くように各マウスの左下肢に手術時に注射した。 手術してから3−4週間後、マウスにルシフェリンを投与して、組織を遺伝子工学的に処置した構築物への灌流を評価した。

Ad5PPEC−1−3xVEGFに感染させた構築物(その後AAV−ルシフェラーゼに感染させた)は、AVV−ルシフェラーゼのみに感染させた対照構築物より高いシグナルを示していた(結果は提示せず)。 これらの結果は、総合すると、生体外でのAd5PPEC−1−3xVEGFの感染は、移植された、遺伝子工学的に処置された組織構築物の生存と血管新生を改善できることを示唆している。

実施例40
血管形成処置による、PPE−1(3x)プロモーターの生体内での活性化 血管形成の退行に対する多くの組織の通常の応答は、血管のホメオスタシスを支配する自己調節オートクリンフィードバックループによって生成する複雑なシグナリングに応答する内因性血管形成経路のアップレギュレーションである(Hahn et al,Am J Med 1993,94:13S−19S及びSchramek et al,Senim Nephrol 1995;15:195−204参照)。 このような機構が、PPE−1(3x)プロモーターの制御下での核酸配列の発現にどのように影響するかを確認するため、PPE−1(3x)制御下のルシフェラーゼ(LUC)遺伝子を含む本発明の核酸構築物で形質転換されたトランスジェニックマウスの組織中のルミネッセンスの生体内レベルを、強力な抗血管形成薬剤のBosentanの投与有り及び無しで測定した。 Bosentan(Tracleer(商標))は、各種の徴候(最も重要なものは肺動脈高血圧及び肺線維症)について臨床で認可されている二重エンドセリン受容体(ETA及びETB)アンタゴニストである。

本発明のPPE−1(3x)−1−LUC構築物またはHaratsら(J Clin Invest 1995;95:1335−44)によって詳細に記載されるPPE−1−LUC構築物を有するトランスジェニックマウスを、先に詳述したように、当該技術分野で周知のクローン化法でつくった。 10週齢のPPE−1(3x)−1−LUCまたはPPE−1−LUCトランスジェニックマウス(各グループn=5)に、固形飼料又は100mg/kg/dayのBosentanを含有する固形飼料を30日間経口給餌した。 処置の最終日にマウスを殺し、次いでマウスの器官を取り出し、上記方法の章で述べたようにしてルミネッセンスの強度を測定した。

図94は、PPE−1(3x)プロモーターが、トランスジェニックマウスに組換え遺伝子の組織特異的過剰発現を提供することを示している。 心臓及び大動脈などの通常高いエンドセリン活性を有する器官並びに比較的低いエンドセリン活性を有する脳、気管及び肺は、肝臓又は腎臓に比べて、高いルミネッセンス強度を示した。 しかし、大部分の器官のルミネッセンス強度は、Bosentanの投与によって著しく増大した(心臓組織の場合40%まで)(図94)ので、特にエンドセリン受容体のアンタゴニスト及び血管形成の阻害剤は、一般に本発明の内皮特異的プロモーターを活性化して、PPE−1(3x)による転写の制御下での導入遺伝子の発現を、組織特異的方式で一層高めることができることを示している。 細胞内プレプロエンドセリン−1 mRNA及び循環エンドセリン−1のレベルの測定は、PPE−1プロモーターの制御下でルシフェラーゼを発現するトランスジェニックマウスへのエンドセリン受容体アンタゴニスト(Bosentanの如き)の投与は、実際に増大した組織エンドセリン−1転写を生じ(図97A)、血漿において検出される増大した免疫反応性エンドセリン−1を生じる(図97B)ことを示す。

PPE−1プロモーターの制御下での遺伝子産物の発現の増大の特異性をさらに決定するため、二重エンドセリンアンタゴニストBosentanでのエンドセリン受容体活性の阻害効果が、ET−1 (BQ123,Sigma−Aldrich,St.Louis,Missouri,米国)及びET−1 (BQ788,Sigma−Aldrich,St.Louis,Missouri,米国)の個々の特異的なアンタゴニストによる阻害効果と比較された。 図96は、PPE−1プロモーター(プラスミドpEL8−LUC、上述)又は対照SV40プロモーターの制御下のルシフェラーゼ発現プラスミドで形質導入され、ET−1受容体アンタゴニストBosentan,BQ123又はBQ788で1時間処置されたウシ大動脈内皮細胞(BAEC)培養物中で測定されたルシフェラーゼ活性(未処置細胞の割合として表される)を示す。

PPE−1プロモーターの制御下でルシフェラーゼ活性の有意な増大は、Bosentan及びBQ788処置では測定されたが、BQ123(ET−1 アンタゴニスト)処置では測定されなかった。 Bosentan及びBQ788処置(1μMでの)は、それぞれ未処置細胞と比べて1.6倍及び1.3倍のルシフェラーゼ活性の増大を生じた(図96)。 SV40−ルシフェラーゼ形質導入細胞では有意な増大は観察されなかった(データは示さず)。

総合すると、これらの結果は、ET 遮断に応答したプレプロエンドセリン−1 mRNAレベルの増大は、増大したPPE−1プロモーター活性によって媒介されており、ET−1受容体遮断に応答したPPE−1制御下の遺伝子の増大した転写を意味する。 さらに、増大したPPE−1プロモーター活性は、インビトロ及びインビボの両方で、短期間及び長期間処置について検出されることができる。

ここに示されるように、PPE−1 mRNAレベルは、PPE−1プロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子を発現するトランスジェニックマウスにおけるルシフェラーゼ活性と相関している。 従って、このモデルは、高血圧、癌及び急性腎不全を含む様々な病気状態におけるET−1発現を評価するためにも使用されることができる。

実施例41
PPE−1(3x)プロモーターの制御下にて生体内で発現された導入遺伝子は免疫性ではない:
上記のように、遺伝子治療は、他の長期間の治療方法と同様に、発現されたトランスジェニックタンパク質に連続的に暴露されたために起こる宿主の内因性免疫反応によって複雑になることが多い。 トランスジェニックタンパク質による免疫刺激は、減少された処置の効力、炎症及び時には重篤な副作用を生じることがある。 本発明のシス反応調節因子を使って、発現された導入遺伝子に対する宿主の免疫応答を試験するため、アデノウイルスのヘキソンとTNF−R1に対する抗体の力価を、LLC微小転移腫瘍を有しかつFas−TNF−R1キメラ(Ad5PPE−1(3x)Fas−c及びAd5CMVFas−c)又はLUCレポーター遺伝子(Ad5PPE−1(3x)Luc)を有するベクターで処置したマウスで検定した(1グループ当り6頭のマウス)。 対照のマウスは生理食塩水で処置した。

ベクターは、5日間の間隔を置いて3回注射した。 最後のベクター注射を行なってから10日目にマウスを殺して、アデノウイルスに対する抗体、ヒトTNF−R1に対する抗体、挿入された導入遺伝子によって発現されたタンパク質それぞれのレベルを、ELISA検定法を使って測定した。

予想外であったが、ヒトTNF−R1に対する抗体のレベルは、Ad5PPE−1(3x)Fas−cで処置したマウスに検出されたレベルより低いことが分かったが、これらのレベルは、非特異的なAd5CMVFasベクターで処置したマウスでは比較的高かった(図95b)。 アデノウイルスのヘキソン抗原に対する抗体の力価は、異なるウイルスを注射したグループ間では類似していた(図95a)。 これらの結果は、本発明のPPE−1(3x)構築物を使って発現された導入遺伝子は、系統の近接性のいかんにかかわらず宿主の免疫系によって良好に許容されることを示している。

実施例42
コルチコステロイド処置は、内皮細胞における導入遺伝子の発現を増大させる 最近、コルチコステロイド(デキサメタソン)投与は、組換えアデノウイルスに感染された内皮の免疫及びアポトーシス関連傷害をいくらか予防することができ(Murata,et al Arteriscler Thromb Vasc Biol 2005;25:1796−803)、プロ炎症性遺伝子発現を抑制し、インビトロ及びインビボで組換え遺伝子の発現効率を最適化することが示されている。 コルチコステロイドが内皮細胞におけるウイルス媒介導入遺伝子発現を増大することができるかどうかをテストするため、ルシフェラーゼレポーターコード配列又は緑色蛍光タンパク質(GFP)レポーターコード配列を含むアデノウイルス構築物で形質導入されたBAEC細胞は、形質導入に先立ってデキサメタソンで処置された。

図98は、μg総タンパク質あたりのルシフェラーゼの割合として測定されるルシフェラーゼ発現が、CMVプロモーターの制御下でルシフェラーゼを発現するアデノウイルス(Ad−CMV−LUC)での感染に先立って3μMのデキサメタソンで処置されたBAEC細胞より3倍以上増大したことを示す。 最も顕著な効果は、1000のMOIで観察された。 図99は、コルチコステロイド処置細胞の増大された緑色によって示される、PPE−1プロモーターの制御下での活性組換え緑色蛍光タンパク質(GFP)の内皮BAECにおける発現を示す。

従って、コルチコステロイドは、内皮細胞におけるウイルス媒介導入遺伝子発現を増大させることができ、本発明の方法と共に使用されることができる。

本発明のいくつかの特徴は、分かりやすくするため別個の実施態様で記載してあるが、組み合わせて単一の実施態様で提供できることも分かるであろう。 逆に、本発明の各種特徴は、簡潔にするため単一の実施態様で記載してあるが、別個に又は適切なサブコンビネーションで提供することもできる。

本発明を、特定の実施態様と併せて記載してきたが、多くの代替物、修飾、及び変形が、当業者には明白になるだろう。 従って、そのような代替物、修飾、及び変形は、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲に含まれるものとする。 この明細書において言及された出版物、特許、及び特許出願は、全て、個々の出版物、特許又は特許出願が、各々、参照により本明細書に組み込まれると特別に個々に示されたかのごとく、参照により、完全に、本明細書に組み込まれる。 さらに、本願における任意の参照の引用又は同定は、そのような参照が、本発明に対する先行技術として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。

TNFR1の細胞外領域ならびにFasの膜貫通領域及び細胞内領域から構築され、pcDNA3プラスミドにクローン化されたFasキメラ遺伝子(a)又はアデノウイルスベクターにクローン化されたFasキメラ遺伝子(b)の概略図である。

プロアポトーシス遺伝子(Fasキメラ及びTNFR1)のアポトーシス活性を例示する。

プロアポトーシス遺伝子でトランスフェクションされたBAEC細胞の電子顕微鏡観察像である。

トランスフェクションされたBAEC細胞及び293細胞における示されたプロアポトーシス遺伝子のアポトーシス活性を定量するヒストグラムである。

図5aは、AdPPE−Fas−cのPCR分析を示す。 図5bは、AdPPE−Fas−cでトランスフェクションされたBAEC細胞のウエスタンブロット分析である。

内皮細胞のアポトーシスに対するFas−キメラの過剰発現の影響を例示する顕微鏡写真である。

内皮細胞のアポトーシスに対するFas−キメラの過剰発現の影響を例示する顕微鏡写真である。

内皮細胞に対するAd−PPE−1−3x−Fas−キメラのアポトーシス特異的作用を例示するヒストグラムである。

Fas−キメラにより媒介されるアポトーシスに対するTNFα投与の用量応答作用を示す。

TNFαリガンド及びFas−c受容体の共同作用により媒介される内皮細胞特異的なアポトーシスを例示する顕微鏡写真である。

TNFαリガンド及びFas−c受容体の共同作用により媒介される内皮細胞特異的なアポトーシスを例示する顕微鏡写真である。

図10aは、内皮細胞に対するAd−CMV−Fas−cのTNFα依存的アポトーシス作用を例示する用量応答曲線である。 図10b〜図10dは、非内皮細胞NSFに対する、TNFαリガンド及びAd−CMV−Fas−キメラのアポトーシス作用を例示する。

Ad−PPE−1−3x−Fas−cのインビボ抗腫瘍作用を例示する。 図11a−処置期間中に測定された腫瘍面積。 図11b−処置期間が終了した時の腫瘍重量。 図11c−Ad−PPE−1−3x−Fas−c処置マウス及び対照マウスにおける腫瘍の状態を表す画像。

対照としてB2B細胞系(エンドセリンを発現する気管支の細胞系)を使用した、ウシ及びヒト両方の内皮細胞系におけるルシフェラーゼ発現に対する、本発明のエンハンサー因子の効果を例示するヒストグラムである。

様々な細胞系におけるルシフェラーゼ発現に対する、アデノウイルスベクター内の本発明のプロモーターの内皮特異性を例示するヒストグラムである。

BAEC細胞系における、本発明のAd5PPE−1−3X(14A)及びAd5CMV(14B)対照構築物の調節下でのGFP発現を例示する光学顕微鏡写真である。

内皮細胞及び非内皮細胞におけるpACPPE−1−3Xp55、pACPPE−1−3Xルシフェラーゼ、及びpCCMVp55により誘導されたアポトーシス率(%)のヒストグラムである。

本発明に係るエンハンサー因子のプロモーター構築物への導入の、低酸素応答に対する効果を例示するヒストグラムである。

本発明に係るエンハンサー因子の、アデノベクター構築物のプロモーターへの導入の、低酸素応答に対する効果を例示するヒストグラムである。

本発明に係るエンハンサー因子のプロモーターへの導入の、ウシ及びヒトの内皮のエンドセリン発現細胞系における発現レベルに対する効果を例示するヒストグラムである。

内皮プロモーター(PPE−1)又は対照(CMV)プロモーターいずれかを含有しているアデノウイルス構築物の注射後に、様々な器官において観察されたレポーター遺伝子の発現レベルを例示するヒストグラムである。

構築物を注射されたマウスの肝組織におけるAd5CMVGFP構築物(図20A)及びAd5PPE−1−GFP構築物(図20B)の細胞発現を例示する二つの光学顕微鏡写真である。

本発明に係るエンハンサー因子のプロモーターへの導入の、内皮細胞系及び非内皮細胞系における発現レベルに対する効果を例示するヒストグラムである。

本発明に係るエンハンサー因子のプロモーターへの導入の、内皮細胞系及び非内皮細胞系における発現レベルに対する効果を例示するヒストグラムである。

Ad5PPE−1−3XGFPにより形質導入された細胞、Ad5PPE−1GFPにより形質導入された細胞、及びAd5CMVGFPにより形質導入された細胞におけるGFP発現を例示する顕微鏡写真である。

moi−1のAd5PPE−1−3XGFP及びAd5CMVGFPによりそれぞれ形質導入されたSMCにおけるGFP発現を例示する。

HeLa細胞において行われた図24A〜Bの実験と類似の実験の結果を示す。

HepG2細胞において行われた図24A〜Bの実験と類似の実験の結果を示す。

NSF細胞において行われた図24A〜Bの実験と類似の実験の結果を示す。

Ad5PPE−1GFP及びAd5PPE−1−3XGFPを注射されたマウスの血管を裏打ちしている内皮細胞におけるGFP発現を例示する顕微鏡写真である。

注射されたマウスの腎組織からの結果を例示する顕微鏡写真である。

脾組織切片に対して行われた、図29A〜Cに図示された実験と類似の実験を例示する。

生理食塩水を注射された対照マウス(図31A)、Ad5CMVGFPを注射されたマウス(図31B)の転移肺におけるGFP発現を例示する。

Ad5PPE−1GFPを注射されたマウス(図31C)、及びAd5PPE−1−3XGFPを注射されたマウス(図31D)の転移肺におけるGFP発現を例示する。

マウスPPE−1プロモーターを含有しているプラスミドによりトランスフェクトされたBAECにおけるルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)が、トランスフェクトされた細胞を低酸素条件下でインキュベートした場合に、有意に高くなることを例示するヒストグラムである。

Ad5PPE−1Luc及びAd5CMVLucが利用されたことを除き、図32と同様のヒストグラムである。

種々の細胞系における低酸素の効果を示す、図33と同様のヒストグラムである。

本発明の3X配列の、BAEC細胞におけるPPE−1低酸素応答に対する効果を例示するヒストグラムである。

大腿動脈結紮後のPPE−1−Lucトランスジェニックマウスの様々な組織におけるルシフェラーゼ発現のレベルを示すヒストグラムである。

本発明と併せて利用された構築物のプラスミド地図である。

本発明と併せて利用された構築物のプラスミド地図である。

マウスの虚血肢における血液灌流及び血管形成に対するAd5PPE−1−3XVEGF及びAd5CMVVEGFの効果を示す。

マウスの虚血肢における血液灌流及び血管形成に対するAd5PPE−1−3XVEGF及びAd5CMVVEGFの効果を示す。

マウスの虚血肢における血液灌流及び血管形成に対するAd5PPE−1−3XVEGF及びAd5CMVVEGFの効果を示す。

マウスの虚血肢における血液灌流及び血管形成に対するAd5PPE−1−3XVEGF及びAd5CMVVEGFの効果を示す。

Ad5PPE−1Luc(白バー)及びAd5CMVLuc(黒バー)により形質導入された増殖期及び休止期のウシ大動脈内皮細胞(BAEC)におけるルシフェラーゼ活性を例示するヒストグラムである。

VEGF添加後の正常増殖中、休止状態、及び急速増殖中のAd5PPE−1Lucにより形質導入されたBAECにおけるルシフェラーゼ活性を例示するヒストグラムである。

Ad5PPE−1Luc及びAd5CMVLucを注射された正常C57BL/6マウスの大動脈(図41A)及び肝臓(図41B)におけるルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。

注射された正常なBALB/Cマウスにおける、Ad5PPE−1Luc(白バー)又はAd5CMVLuc(黒バー)の注射後5日目(図42A)及び14日目(図42B)(各時点についてn=10)に検出された相対ルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。

スーダン−IVにより着色されたApoE欠損マウスから解剖された大動脈を図示する先行技術の画像である。

Ad5PPE−1Luc(白バー;n=12)又はAd5CMVLuc(黒バー;n=12)のApoE欠損マウスへの全身注射後5日目に検出された絶対ルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。

創傷治癒中のC57BL/6誘導マウスへのAd5PPE−1Luc(黒バー)又はAd5CMVLuc(白バー)の全身注射後5日目の絶対ルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。

ルイス肺癌誘導マウスの正常肺、転移肺、及び原発腫瘍におけるルシフェラーゼ活性を例示するヒストグラムである。

Ad5PPE−1GFPの腫瘍内注射後のLLC保持マウスの肺及び腫瘍におけるGFP発現及び組織形態学を例示する顕微鏡写真である。

Ad5PPE−1GFPの腫瘍内注射後のLLC保持マウスの肺及び腫瘍におけるGFP発現及び組織形態学を例示する顕微鏡写真である。

Ad5CMVLuc、Ad5PPE−1Luc、及びAd5PPE−1−3X−Lucを注射されたルイス肺癌誘導マウスの正常肺及び転移肺におけるルシフェラーゼ発現を例示するヒストグラムである。

Ad5CMV、Ad5PPE−1Luc、及びAd5PPE−1(3X)を注射されたルイス肺癌誘導マウスの正常肺及び肺転移における肝臓活性に対する比率(%)(肝臓を100%とした場合)としてのルシフェラーゼ活性を例示するヒストグラムである。

Ad5PPE−1−3X−GFPを注射されたLLC肺転移を有するマウスにおけるGFP発現(図50A)及びCd31免疫染色(図50B)の共局在を例示する顕微鏡写真である。

大腿結紮後2日目、5日目、10日目、及び18日目のPPE−1ルシフェラーゼトランスジェニックマウスの筋肉(虚血及び正常)、並びに対照(非結紮動物−0日目;各群n=8)におけるルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。

大腿結紮後5日目(n=6)、10日目(n=6)、及び18日目(n=8)のPPE−1ルシフェラーゼトランスジェニックマウスの肝臓、肺、及び筋肉内(虚血及び正常)大動脈、並びに対照(非結紮動物−0日目)におけるルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。

Ad5CMVLuc(黒バー)又はAd5PPE−1Luc(白バー)を原発腫瘍内に注射されたLLCマウスの肝臓、肺、及び原発腫瘍において検出されたルシフェラーゼ活性(光単位/μgタンパク質)を例示するヒストグラムである。

様々なトランスジーンの組織特異的又は構成的発現の組織分布を示すインサイチュー(in−situ)ハイブリダイゼーション画像である。

様々なトランスジーンの組織特異的又は構成的発現の組織分布を示すインサイチュー(in−situ)ハイブリダイゼーション画像である。

マウスの虚血肢における血液灌流及び血管形成に対するAd5PPE−1−3XVEGF又はAd5CMVVEGFの長期間の効果を示すヒストグラムである。

マウスの虚血肢における新生血管形成に対するAd5PPE−1−3XPDGF−Bの初期及び長期間の効果を示すヒストグラムである。

マウスの虚血肢における新生血管形成に対するAd5PPE−1−3XPDGF−Bの初期及び長期間の効果を示すヒストグラムである。

マウスの虚血肢における新生血管形成に対するAd5PPE−1−3XPDGF−Bの初期及び長期間の効果を示すヒストグラムである。

マウス虚血肢における新生血管形成及び血液の流れに対する内皮特異的又は構成的プロモーターの制御下での、PDGF−B及びVEGFを単独で又は組合せて用いた血管形成治療の長期間の効果を示す。

マウス虚血肢における新生血管形成及び血液の流れに対する内皮特異的又は構成的プロモーターの制御下での、PDGF−B及びVEGFを単独で又は組合せて用いた血管形成治療の長期間の効果を示す。

動脈結紮後50日目のマウス虚血肢における血液灌流に対するPDGF−B単独での又は血管形成因子VEGFとの組合せでの効果を示す。

遺伝子によって指向された酵素プロドラッグ治療(GDEPT)の基本原理を示す模式図である。

プラスミドpEL8(3x)−TKの構造を示す模式マップである。

AdPPE−1(3x)−TKベクターのPCR産物をアガロースゲルで分離しUV蛍光で可視化したものを示す図である。

ベクターのAdPPE−1(3x)−TK(図62A)、AdPPE−1(3x)−Luc(図62B)及びAdCMV−TK(図62C)の線状模式マップである。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの上部内皮細胞の細胞傷害性を示す一連の顕微鏡写真である。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの内皮細胞の細胞傷害性を示すグラフである。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTK及びガンシクロビルの投与の内皮細胞の細胞傷害性の優れた相乗作用を示す一連の顕微鏡写真である。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTK及びガンシクロビル投与の内皮細胞の細胞傷害性の相乗作用を示すグラフである。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTK及びガンシクロビル投与の内皮細胞の細胞傷害性の特異的相乗作用を示す一連の顕微鏡写真である。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTK及びガンシクロビル投与の内皮細胞の細胞傷害性の特異的相乗作用を示すヒストグラムである。

極端に高い感染多重度におけるPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTK及びガンシクロビル投与の内皮細胞傷害性の選択的相乗作用を示す一連の顕微鏡写真である。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による転移腫瘍増殖の相乗抑制効果を示す一連の写真である。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による転移腫瘍増殖の相乗抑制効果を示すヒストグラムである。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による転移腫瘍病状の相乗抑制効果を示す肺への転移腫瘍塊の代表的な組織病理学的切片を示す。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による転移腫瘍病状の相乗抑制効果を示す肺への転移腫瘍塊の代表的な組織病理学的切片を示す。

誘発させたLLCの肺転移腫瘍をTUNELと抗カスパーゼ−3で染色したものの代表的な組織病理学的切片であり、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による腫瘍アポトーシスの相乗促進を示している。

肺転移腫瘍をTUNEL及び抗カスパーゼ−3で染色した、誘発させたLLCの肺転移腫瘍の代表的な病理組織の切片であり、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による内皮特異的の腫瘍アポトーシスの相乗促進を示している。

マウスの肺癌由来の代表的な免疫病理組織の切片であり、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による、血管形成の内皮特異的相乗阻害を示している。

マウスの肺癌由来の代表的な免疫病理組織の切片であり、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与による、血管形成の内皮特異的相乗阻害を示している。

肺転移腫瘍の血管新生(血管形成)のコンピュータを利用して行った血管密度の評価結果を示すヒストグラムである。

マウスの肝臓の組織の代表的な病理組織の切片であり、PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内の発現及びガンシクロビル(GCV)の投与に肝毒性がないことを示している。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現の器官特異的発現及びガンシクロビル(GCV)の投与を説明するRT−PCR分析の結果を示す。

Balb/cマウスの結腸癌の腫瘍モデルの治療量以下で非毒性の照射の範囲を示すグラフである。

治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、マウス結腸癌の腫瘍増殖の相乗抑制効果を示す。 ベクターを注射後14日目の平均腫瘍容積±S. E. を示す。

治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、マウス結腸癌の腫瘍増殖の相乗抑制効果を示す。 放射線療法で処置したグループの平均腫瘍容積の経時変化を示す。

治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、マウス結腸癌の腫瘍増殖の相乗抑制効果を示す。 AdPPE−1(3x)−TK+GCVで処置したマウスの平均腫瘍容積の経時変化を示す。

治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、マウス結腸癌の腫瘍増殖の相乗抑制効果を示す。 図79dは、AdCMV−TK+GCVで処置したマウスの平均腫瘍容積の経時変化を示す。 図79eは、対照の生理食塩水+GCVで処置したマウスの平均腫瘍容積の経時変化を示す。

治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、マウス結腸癌の腫瘍増殖の相乗抑制効果を示す。 図79fは、GCV無しのAdPPE−1(3x)−TKで処置したマウスの平均腫瘍容積の経時変化を示す。 図79gは、殺した日のBalb/CマウスのCT−26原発腫瘍の肉眼で見た病状の代表的例である。

治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、マウスの結腸癌の腫瘍壊死の相乗誘発を示す原発CT−26腫瘍の代表的な病理組織の切片である。

誘発された原発結腸癌腫瘍をTUNELと抗カスパーゼ−3で染色したものの代表的な病理組織切片であり、放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、内皮細胞と腫瘍のアポトーシスの相乗促進を示している。

抗カスパーゼ−3で染色された誘発原発結腸癌腫瘍の代表的な病理組織の切片であり、放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、内皮細胞と腫瘍のアポトーシスの相乗促進効力を示している。

抗CD−31で染色した肝臓組織及び誘発された原発結腸癌腫瘍の代表的な病理組織の切片であり、放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの生体内発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用によって、腫瘍の血管新生の阻害が相乗的に促進されたことを示している。

放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現及びガンシクロビル(GCV)の投与の組織特異的細胞傷害性を示すマウス肝臓組織の代表的な病理組織の切片である。

C57B1/6肺癌転移腫瘍モデルにおける治療線量以下の非毒性照射の範囲を示すグラフである。

治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、マウス肺癌の転移腫瘍疾患の相乗抑制効果を示している。 図86aは放射線を照射しベクター無しで55日間にわたって処置したマウスの生存率を示す。 図86bはAdPPE−1(3x)−TKで処置したマウスの生存率を示す。

治療線量以下の放射線療法及びPPE−1(3x)プロモーターの制御下のTKの発現とガンシクロビル(GCV)の投与の併用による、マウス肺癌の転移腫瘍疾患の相乗抑制効果を示している。 図86cはAdCMV−TKで処置したマウスの生存率を示す。 図86dは生理食塩水で処置した対照マウスの生存率を示す。

CMVプロモーターの制御下のFas−cの内皮細胞の細胞傷害性を示す一連のヒストグラムである。

CMV−LUC(赤色正方形)に比べて、CMV−FAS(青色菱形)による293細胞におけるウイルスの複製の増大した拡張を示すプラーク発生のグラフである。

CMV−ルシフェラーゼと比べて、CMV−Fas−cによるウイルス感染の細胞間の拡張(プラー−キング)の高い比率を示す293細胞培養物の一連の写真である。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下のFas−c及びドキソルビシンの投与の特異的相乗内皮細胞傷害性を示すヒストグラムである。

エンドセリン(PPE−1 3x)の制御下のVEGFによる、遺伝子工学的に処置された組織構築物における血管形成の高い誘発を示すグラフである。

野生型のマウスPPE−1プロモーターのDNA配列である。

マウスの修飾されたプレプロエンドセリンプロモーターの3xフラグメントの配列である。

トランスジェニックマウスのPPE−1(3x)プロモーターの制御下のLUC遺伝子の発現が細胞特異的にBosentanによって誘発されて増大することを示すヒストグラムである。

PPE−1(3x)プロモーターの制御下で発現される導入遺伝子に対する宿主の免疫応答が無いこと(ELISA法で測定)を示すヒストグラムである。

内皮細胞におけるPPE−1プロモーターの制御下でのLUC遺伝子の発現のET−B特異的増大を示すヒストグラムである。

二重ET−1

及びET−1

阻害剤Bosentanトランスジェニックマウスによるプレプロエンセリン合成及び分泌の増大を示す、トランスジェニックマウスの肺から抽出されたトータルRNAのヒストグラムを示す。

二重ET−1

及びET−1

阻害剤Bosentanトランスジェニックマウスによるプレプロエンセリン合成及び分泌の増大を示す、プレプロエンドセリン−1 mRNAレベル(半定量的RT−PCRによって測定された)のヒストグラムを示す。

アデノウイルスベクターで形質転換された内皮細胞における組換えタンパク質発現のコルチコステロイドでの増大を示すヒストグラムである。

PPE−1プロモーターの制御下での組換えタンパク質の内皮細胞中の発現のコルチコステロイドによる増大を示す蛍光顕微鏡写真である。

配列番号2、3及び9〜12は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドの配列である。
配列番号4は、Nhe−1制限部位の配列である。
配列番号5は、低酸素応答因子E−boxの配列である。
配列番号6は、マウス内皮特異的エンハンサー因子の配列である。
配列番号7は、PPE−1プロモーター由来のマウスエンハンサー配列のトリプリケートコピーの配列である。
配列番号8は、EDCフラグメントの配列である。
配列番号15及び16は、内皮転写因子の配列の一部である。

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